新型コロナウイルス感染症(COVID-19 )について(8)
1.世界の感染状況
- 世界的な新規陽性者数は、全体的に減少傾向、4/20現在、アメリカ合衆国の数が、ヨーロッパの総数を超えた。現在、アメリカ大陸では、中南米(ブラジル、チリ、ペルー)での増加傾向がみられる。
- アメリカ合衆国の新規陽性者数の増加は、継続している。(ニューヨーク州は減少しているが、他の州ミシガン州等では増加)
▶アジアの国々
- ベトナム、ラオス、カンボジアは、ここ3-4日間は、新規陽性者はなし。
- 東南アジアでは、シンガポールが多く、減少傾向はみられない。
- タイは、漸減している。
- インドネシアは、相変わらず増加傾向。
2.日本、東京都国内感染状況
▶日本全体:2020年4月20日現在
▶東京都:2020年4月20日現在
(東京都 新型コロナウイルス陽性患者発表詳細より作成)
- 全国規模では、毎日の新規陽性者数の増加はないものの、東京、大阪を中心とした都会において、継続して増加中、また、死亡者も増加している。
- 東京都でも、毎日の新規陽性者数は、継続して7日間100例を数える。
3.検査について
- COVID-19の検査には2種類あり、病原体のウイルス(抗原:遺伝子)の存在を直接測定する抗原検査とウイルス(抗原)に対してこれを殺すために人間が産生するもの(抗体)を測定する抗体検査がある。
- 抗原検査の代表的なものが、現在行われているPCR検査(Polymerase Chain Reaction:ポリメラ-ゼ連鎖反応の略で、DNAの複製を人工的に繰り返すことで目的とするDNAを増やす技術)であり、新型コロナウイルスの感染が疑われるヒトの検体(気管支吸引液もしくは喀痰、鼻咽頭ぬぐい液等)から遺伝子を抽出し検査するものである。プロセスとしては、①ウイルスの遺伝子RNA抽出、②RNAをDNAに返還、③PCRによる増幅、④ウイルスの同定 というものである。リアルタイムPCRと呼ばれている。
- 抗原の遺伝子検査法には、これとは別に核酸増幅法(LAMP法)がすでに開発、新型コロナウイルス用遺伝子検出キットとして販売(4/15)されており、この方法は遺伝子抽出をする必要がなく、短時間でできる方法である。(リアルタイムPCR法が4-6時間に対して2時間)
- ウイルス抗体検査では感染初期(通常)に出現するIgM抗体検出、感染後期(通常は感染後1週間からの10日)に出現するためIgG抗体検出がある。イムノクロマト検査法は、遺伝子検査に較べて短時間でできるため(10分程度)、迅速簡易検査と呼ばれている。PCR法に較べて、血液を一滴たらすだけで検査でき、検査の手技としても容易であり、短期間に多くの人を検査することが可能である。また、これらの検査により、IgM抗体、IgG抗体が両方、同時に計測可能であり、便利である。
- ただし、COVID-19の場合には、現時点では、これらのIgM抗体、IgG抗体の出現の時期が、不十分に定まっていないため、陰性であった場合でも感染の可能性は否定できない。(擬陽性の可能性:感度30-80%)
- IgG抗体は、長く体内に残るため、現在の感染ではなく、過去に感染をしていたかの診断に使われるため、ある地域の感染率の推定等に使われる。
参照:http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_casereport_200414_2.pdf
4.在日外国人は、COVID-19の診療を無料で受けられるか?
- 新型コロナウイルス感染症は、SARS(重症急性呼吸器症候群)、MARS(中東呼吸器症候群)、鳥インフルエンザが属する二類感染症と考えられ、医療に関しては、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症予防法)」の適応をうける。
- COVID-19と診断され、公衆衛生目的で入院になった時は、「感染症予防法」の適用を受け、入院治療費は公費負担になります(入院勧告)。
また、PCR検査も、必要と認められて受けた場合は、無料になります。(ただし世帯の所得によって、月額2万円を限度として、一部負担があります。)
しかし、入院に至るまでの検査費用や、入院が必要と判断されなかった場合の費用は公費負担になりません(健康保険加入者は3割負担、非加入者は10割負担)。
この措置は、国籍、在留資格の種類や有無、健康保険加入の有無にかかわらず、適用になります。
参照:感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=410AC0000000114
2020.04.21
文責:仲佐 保
NGOシェア共同代表・医師