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(認定)特定非営利活動法人 シェア=国際保健協力市民の会 シェアは、保健医療を中心として国際協力活動を行っている民間団体(NGO)です。

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COVID-19(13)

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19 )について(13)

2020月05月20日 配信
1.世界の感染状況
*統計データは、WHO Situation Reportを使用。(グラフを作成)
** 地域は、WHOの分類による。西太平洋地域には、日本、中国、韓国、フィリピン、マレーシア、ベトナム、ラオス、カンボジアなど、南東アジア地域には、インド、タイ、マレーシア、インドネシア、ミャンマーなど、東地中海地域には、中東、イラン、サウジアラビア、パキスタン、地中海沿岸のアフリカの国々などが含まれる。
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  • 5月10日のデータは、調整のため。

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▶アジアの国々:
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  • 世界の累積のCOVID-19陽性者数は、漸増している。また、新規陽性者数も増加傾向に転じている。主に米国の再度の増加傾向、ロシアの流行増大傾向、南米(ブラジル等)、地中海沿岸、中東の国々(サウジアラビア、クウェートなど)、また、ヨーロッパでは、イタリア、フランス、スペイン、ドイツの新規陽性者数の減少が続いているものの、夏季バカンスに向けての外出制限の撤廃の方向による再拡大が心配される。
  • 東南アジア地域では全体的に新規陽性者は減少傾向となっており、フィリピン、シンガポール、インドネシアを除き、一日の新規陽性者が100人以下となっている。
  • 南アジア地域では、インド、パキスタン、バングラデシュでの新規陽性者の増加傾向が継続している。


2.日本、東京都国内感染状況
▶日本全体:
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▶東京都:
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(東京都 新型コロナウイルス陽性患者発表詳細より作成)

  • 全国規模では、東京などの大都市も含め、明らかに毎日の新規陽性者数は減少しつつある。
  • 東京、北海道、神奈川などを除き、大阪、京都、兵庫等の緊急事態宣言も解除される方向となっている。


3.日本の新型コロナ死亡者が欧米より少ない理由、高齢者施設でのケアの実態
  • ヨーロッパにおけるCOVID-19による死亡者が多い原因として、通常、医療的なケアは行われていない高齢者施設(介護関連施設)におけるクラスターが指摘されてきた。
  • 米国でも高齢者施設がクラスター化している例の報告が多く、報道(2020年4月20日)によれば、全米の死者の5分の1を占める約7000人に上るという。
  • ヨーロッパは介護関連施設(細かくはいろいろ区分があるが本稿では高齢者施設とする)が充実している。そして北欧では介護従事者の数も多い。高福祉国家の面目躍如といったところであろうか。
  • 海外に比べ、日本は病院以外の高齢者施設が少ない。世界一高齢者の比率が高い国でなぜこれが成り立っていたかというと、病院に高齢者が入院していたからである。すなわち、病院が高齢者施設の代わりをしているのは「日本の特殊性」ということになる。さらにいえば、急速な高齢化に伴い高齢者施設を増やしており、かつ日本の医療保険制度や介護保険制度を見習っている韓国でも同じように、病院が高齢者施設を代替している。ちなみに韓国も日本と同様、人口当たりの死亡者数が少ない。
  • このような背景に加え、老人の医療費自己負担額が極めて低かったこともあり、患者が望む間は、病院で面倒を見るという「社会的入院」という事象が生まれた。現在も、「医療介護連携」が叫ばれ、医療と介護の連続性が比較的保たれている。例えば、介護老人保健施設(老健)には医師が常駐しているし、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)においても契約している医師がおり、定期的に診察に訪れる。その他の高齢者対応の集合住宅も同様に定期的に訪問診療が行われるなど、医療の役割が充実している。日本の高齢者施設に新型コロナのクラスター感染が少なく、死亡者数が少ない理由は、介護施設従事者が必ずしも得意ではない感染管理に対して、医療従事者からのアドバイスがあったことが大きいのではないかと考えられる。
  • 医療崩壊を起こさずにピークアウトした韓国は、近年の急速な高齢化に伴い、高齢者対応施設を36.1%増加させているが、その中で療養病床を急速に増加させ、高齢者対応に占める病院の割合は60%以上と世界最大である。
  • 欧米では、スウェーデンなどで見られるように、日本に比べると、欧米では高齢者施設から病院への搬送が少ないことが想像される。また、海外では総じてICU(集中治療室)への入室基準が厳しく、特に北欧などでは、高齢者はICUで治療を受けることが難しい。
  • 高齢者医療施設でのケアがアジア(日本、韓国等)での死亡率の低さに貢献している可能性は高い。

  • 参照:真野俊樹:中央大学大学院戦略経営研究科教授、医師
      ・https://diamond.jp/articles/-/236988?page=2


4.合唱練習による暴露後の高いCOVID-19感染率
  • 米国における感染爆発が世界的に広く報道される前の2020年3月17日、ワシントン州スカジット郡合唱団のメンバー122名の合唱団におけるクラスターに関する報告である。
  • 3月10日の合唱練習に参加した61人のうち、それ以前に症状があった1名を含め、53例に症状が出現し、33例が検査によって確認された。この53人のうち3人が入院し(5.7%)、2人が死亡した(3.7%)。
  • 2.5時間の歌唱練習では、メンバーが互いに近くに座ったり、おやつを共有したり、練習の最後に椅子を積み重ねたりするなど、飛沫と家族の伝染の機会がいくつかあった。歌うこと自体が、発声の音量に影響されるエアロゾルの放出による伝達に寄与した可能性があったと考えられる。
  • 発話中に通常より多くのウイルスを(エアゾール粒子)放出するスーパーエミッター(スーパー感染者)と呼ばれる特定の人が、これに寄与した可能性がある。他の人との直接の接触を避け、グループとして集まらず、混雑した場所を避け、少なくとも6フィート(1.8メートル)の物理的な距離を保ち、感染を減らし、マスクをするというソーシャルディスタンスをする必要がある。
  • クルーズ船、ライブハウス等でのクラスターの発生でも指摘されているように、三密によるCOVID-19 の強い感染性は明らかである。

  • 参照:
    ・High SARS-CoV-2 Attack Rate Following Exposure at a Choir Practice -- Skagit County, Washington, March 2020 Weekly / May 15, 2020 / 69(19);606-610
    https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/mm6919e6.htm?s_cid=mm6919e6_e&deliveryName=USCDC_921-DM28272


2020.05.20
文責:仲佐 保
NGOシェア共同代表・医師


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