新型コロナウイルス感染症の予防接種(ワクチン)について
予防接種の効果
- 新型コロナウイルス感染症対策には、予防と治療がある。感染予防のためには、接触感染を避けるため、環
境を消毒し、手洗いをしっかりすること、感染者からのウイルスとの接触を減らすためにマスクを着用する
こと、3密(密閉・密集・密接)の環境で多くの人と接することを避けることがあげられる。根本的な予防と
しては、予防接種(ワクチン)により、体内にウイルスと戦う抗体を作ることが最も有効である。予防接種に
より、感染しても新型コロナウイルスが体内で増加せず、発症を予防できる。また、発症しても重症化せず、
死亡を予防することができる。
- ・感染症は、多くの人が感染すれば、集団免疫ができ、流行が収まると考えられているが、新型コロナウイル
ス感染症の場合には、感染者の体内にできた抗体が 6 か月ほどしかないことから、集団免疫が難しいと考え
られている。
ワクチンの承認
- ・2020 年 4 月以来、70 種類以上のワクチンが開発され、臨床試験が行われてきた。
- ・2021 年 2 月 12 日厚生労働省はファイザーの新型コロナウイルスワクチンについて、臨床試験のデータで
有効性や安全性を確認し製造販売の「特例承認」を了承した。日本での承認は欧米から 2 カ月遅れとなる。
ファイザーのワクチンは 16 歳以上に 3 週間の間隔で 2 回接種する。医師らへの先行接種の後、3 月に医療従
事者約 370 万人に接種し、4 月に高齢者約 3600 万人への接種を始める計画である。コロナワクチンでは英ア
ストラゼネカも 2 月 5 日に国内で製造販売の承認を申請し、政府はこのほか米モデルナからもワクチンの供
給を受けることを決めている。
ワクチンの副反応
- 一般的にワクチン接種には、副反応による健康被害が極めて稀ではあるものの、発生が避けられない。日本
への供給を計画している海外のワクチン(ファイザー社、アストラゼネカ社、モデルナ社、ノババックス社
が開発中のワクチン)では、現在のところ、重大な安全性の懸念は認められなかったと考えられる。一方で、
ワクチン接種後に、ワクチン接種と因果関係がないものも含めて、接種部位の痛みや、頭痛・倦怠感・筋肉痛
等の有害事象がみられたことが報告されている。また海外で既に実施されている予防接種においては、まれ
な頻度でアナフィラキシー(急性アレルギー反応)が発生したことが報告された。アナフィラキシーが起き
たときには、接種会場や医療機関ですぐに治療を行うことになる。
ワクチンの被接種者
- 新型コロナウイルスワクチンの接種は、各地域で住民向けの接種体制を構築することから、 住民票所在地の
市町村で接種を受けることを原則とする。一方 、やむを得ない事情があり、 自治体から接種券の発行が受
けられない者について、居住の実態が認められた場合は 居住地の市町村が接種券を発行し、接種を行うこと
とすることが各自治体に通知されている。ホームレス、在日外国人で住民票を持ってない人が対象になる可
能性がある。
■参考資料:
日経ニュース首相「来週半ばに接種開始」 ファイザー製ワクチン
厚生労働省:新型コロナウイルス感染症の"いま"についての 10 の知識(2021 年 1 月時点)
文責:仲佐 保
NGOシェア共同代表理事・医師
■「新型コロナウイルス(COVID-19)影響下におけるシェアの活動」
※新型コロナウイルス(COVID-19)影響下におけるシェアの活動ページへ移動します。