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(認定)特定非営利活動法人 シェア=国際保健協力市民の会 シェアは、保健医療を中心として国際協力活動を行っている民間団体(NGO)です。

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COVID-19(12)

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19 )について(12)

1.世界の感染状況
*統計データは、WHO Situation Reportを使用。(グラフを作成)
** 地域は、WHOの分類による。西太平洋地域には、日本、中国、韓国、フィリピン、マレーシア、ベトナム、ラオス、カンボジアなど、南東アジア地域には、インド、タイ、マレーシア、インドネシア、ミャンマーなど、東地中海地域には、中東、イラン、サウジアラビア、パキスタン、地中海沿岸のアフリカの国々などが含まれる。
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  • 5/11のデータは、アメリカ集計数の訂正のため、数値として減少

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▶アジアの国々:
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  • 世界的な新規陽性者数は、増加傾向にはない。アメリカ合衆国の陽性者数の継続、ロシアの爆発的流行、中東諸国の増加(サウジアラビア、クウェート、UAEなど)、南米アメリカの増加(ブラジルの爆発的流行、ペルー、チリ)がみられる。また、ヨーロッパでは、イタリア、フランス、スペイン、ドイツの新規陽性者数の減少が続いている。
  • 西太平洋地域、南東アジア地域では全体的に新規陽性者は減少傾向となっているが、インド、パキスタン、バングラデシュでの増加傾向がみられている。
  • ラオス、カンボジア、ベトナム、東ティモールでは新規陽性者は出ていない。タイ、マレーシアでも新規陽性者は少なくなっている。
  • ンドネシアは、新規陽性者の増加率は同程度である。


2.日本、東京都国内感染状況
▶日本全体:
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▶東京都:
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(東京都 新型コロナウイルス陽性患者発表詳細より作成)

  • 全国規模では、毎日の新規陽性者数は減少しつつある。
  • 全国規模では、東京などの大都市も含め、明らかに毎日の新規陽性者数は減少しつつある。
  • 5月11日現在、東京15、北海道10、神奈川7、千葉3、埼玉2、石川2、大阪府1、兵庫1、愛知1、兵庫1、岡山1であり、その他の府県は新規陽性者が出ていない。


3.コロナ対策「日本モデルは」は有効か?
  • 中国、欧米で取られているロックダウンによるアプローチと、日本がとったアプローチ「日本モデル」は異なっている。

  • 現時点においては、日本におけるCOVID-19の感染確認者数や死亡者数が比較的少ないいことから、「日本モデル」が機能している証拠と見なすことができる。「日本モデル」は、一定レベルの経済活動を可能にし、人々が比較的自由に動き回れるようにすることから、ロックダウンなどの負担の大きいモデルよりもCOVID-19との長期的戦いのための実行可能な戦略となると考えられる。

  • 「日本モデル」のベースは、クラスターアプローチであり、これまでもエボラ出血熱の流行等で取られている方法であり、クラスターの感染者の同定、隔離、接触者の追跡を行うものである。今回の流行時の中国疫学調査からも得られたものであり、感染者の爆発的な増加は、クラスターを形成する特定の感染者からの高い感染性の結果であるという考え方である。対策として、2020年2月の北海道でも取られたこのクラスターアプローチが全国的に採用され、現在でも実施されている。

  • 「日本モデル」のもう1つの鍵は、3Cと呼ばれるソーシャル・ディスタンス(社会的距離)を取るアプローチである。3Cとは、通風の悪い閉鎖空間、近くに多くの人がいる混雑した場所、近距離の会話などの密接な環境を指し、緊急事態宣言に基づいた「外出自粛」によって達成しようとしたものである。これにより、東京では、銀座、渋谷、新宿などの通常は混雑する場所の混雑率が70%減少し、交通機関は動いているにかかわらず、乗車率が通常の30%いかになるという成果が出された。

  • 「日本のモデル」の根底には、欧米とは違った日本の習慣がある。日本では花粉症に苦しむ人が多く、マスクを着用する習慣は広く行われていること、握手、抱き合ったりキスしたりするなどの身体的な接触は、日本の伝統的な挨拶の一部ではないこと、密集した通勤電車などでの会話はマナーが悪いと考えられることなどがある。これらはまた、人々が飛沫によってウイルスに感染する可能性を制限するのにも役立つと言える。

  • クラスターアプローチと3C戦略による対策は、中国、欧米でのロックダウンとは異なり、工場の操業および他の特定の経済活動は制限の下で許可され、海外の観点からも緩やかに見えるかもしれないが、クラスターの発生源を閉鎖し、感染経路をブロックすることにより、非常にうまく機能していると言える。

  • 日本のCOVID-19 対策の弱点として検査数の少なさが指摘されている。しかしながら、基本的には、ある程度の感染は許容し、重症者に焦点をあてて、死亡者を減らすという戦略は変わっていないため、PCR検査も重症化の可能性がある者に制限している。PCRテストの数は非常に少なく、現在でも1日に10,000未満である。PCR検査の時間が4時間かかる事、検査をする人材が十分でないことがその理由と言える。今後、現在のPCR検査に変わる、より迅速にできる検査方法が承認される見込みであり、同じ人材、時間内での検査数の増加が期待される。ただ、必ずしも検査件数を増やすことは、現在の戦略の中でも重要とは、言えない。実際、欧米では、その感染者数が多いことから、軽症者には検査は行っていない。


  • 参照:COVID-19 Strategy: The Japan Model JAPAN TIMES 4/24
      ・https://www.japantimes.co.jp/opinion/2020/04/28/commentary/japan-commentary/covid-19-strategy-japan-model/#.Xrm-22j7Rhg


2020.05.12
文責:仲佐 保
NGOシェア共同代表・医師


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