新型コロナウイルス感染症(COVID-19 )について(6)
1.世界及び日本国内感染状況
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世界的には、新規陽性者数と死亡者数は、減少傾向、アメリカ(特にアメリカ合衆国は漸増)は、相変わらず増加しているが、ヨーロッパ全体においては、減少傾向。
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途上国では、西太平洋地域、東南アジアにおいても減少傾向であるが、アフリカ地域では漸増傾向。
2.日本、東京都国内感染状況
▶日本全体
(NEWS DIGEST)
(NEWS DIGEST)
東京都 2020年4月13日現在
(東京都 新型コロナウイルス陽性患者発表詳細より作成)
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4/13の新規陽性者は、91例と減少しているようにみえるが、週末の検査体制のためとも考えられ、必ずしも実数として減少しているとは言えない。
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緊急事態宣言、それに伴う東京都の緊急事態措置により、公共交通機関の利用率が半減(都営地下鉄4路線のラッシュアワー時に自動改札出場数が、約50%)等の効果がでている。
3.第1回「新型コロナ対策のための全国調査」より)
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https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10798.html
- 本調査は、厚生労働省がLINE株式会社に協力を頼み「新型コロナウイルス感染症のクラ
スター対策に資する情報提供に関する協定」を締結し、この協定に基づく情報提供に資するため、LINE株式会社の公式アカウントにおいて、サービス登録者に対して第1回「新型コロナ対策のための全国調査」を3月31日~4月1日に行った結果である。
- 本調査は、全国のLINEユーザー約2400万(日本の人口の約20%)からの回答を得たもので、短期間にコストをかけずに多数のデータを収集することができ、画期的なものである。ただし、対象がLINEユーザーであることから、重症者は回答しづらいこと、感染症予防の意識が高い人ほど回答する傾向にあることなどの可能性が考えられる。特に、平時における職業・職種別の発熱傾向(発熱のしやすさ)や回答傾向は不明であり、本結果は必ずしも、新型コロナウイルス感染拡大の特異な状況下における職業・職種別の発熱状況を捉えているとは限らない。
- 質問項目は、体調(普段通り、37.5度以上発熱、のどの痛み強いだるさ、せきがある、それ以外の不調あり)年齢、住所(郵便番号)、性別等である。
- 回答者2400万人を、①現状の業務体制では3密回避や社会的距離の確保が難しいと思われる職業・職種 (例:比較的長時間の接客を伴う飲食店を含む対人サービス業、外回りをする営業職など)、②業務の中で3密が発生し、社会的距離の確保も困難だが、個人として感染症対策についての専門的知識を有する対人援助職 (例:医療職、介護職)、③3密回避や社会的距離対策の一定の導入が進んでいる職業・職種(例:内勤営業(オフィスワーク中心)、流通・物流業システム(卸・小売り、運送業等)など)、④通常3密、社会的距離の確保が難しい環境下だが、休校措置などで一定期間対策はなされている (例:教職員、学生・生徒)、⑤自粛条件下で、個人での3密回避や社会的距離対策が比較的容易 (例:専業主ふなど)、⑥その他 の6つのグループに分け、分析したものである。
(結果1)
- 3密回避や社会的距離の確保が難しいと思われる職業・職種(飲食店を含む対人サービ
ス業、外回りをする営業職など)において、他グループと比較し、発熱者(37.5度以上の発熱が4日間以上)の回答者における割合(発熱率)が比較的に高い傾向(0.23 %)が全国的に認められた。
グループ1(0.23%)、グループ2(0.09%)、グループ3(0.10%)、グループ4(0.12%)、
グループ5(0.05%)、グループ6(0.12%)
(結果2)
- 現在最も新型コロナウイルス感染症者数の多い東京都において、最も発熱者数の多かっ た地区(上位20郵便番号区を抽出)のみの分析でも、結果1と同様の傾向が認められた。
緊急事態宣言が出された都府県 グループ1の割合(率)
東京都(0.38%)、千葉県(0.21%)、埼玉県(0.20%)、神奈川県(0.22%)、大阪府(0.24%)、兵庫県(0.18%)、福岡県(0.19%)
その他の都道府県
北海道(0.31%)、岩手県(0.24%)、石川県(0.13%)、長野県(0.14%)、三重県(0.15%)、鳥取県(0.32%)、高知県(0.18%)、鹿児島県(0.17%)、沖縄県(0.29%)
(緊急事態宣言に伴い求められる対応)
- グループ(5)(専業主ふなど)は、他のグループと比較して、全国的に低い発熱率だった。個人での3密回避や社会的距離対策が比較的に容易と考えられるこのグループの熱発率が一律に低いことは、「不要不急の外出を避けること」が、新型コロナウイルスの感染リスクを避ける上でも、他者に感染を拡げないためにも有効である可能性を示唆している。
- グループ(1)(長時間の接客を伴う飲食店を含む対人サービス業、外回りをする営業職など)は、地域レベルで新型コロナウイルスの感染リスクが上がったときに、最も脆弱になりうる可能性がある。3密を避け、社会的距離を管理できる働き方に調整することが直ちに必要である。例えば、定期的な検温等による体調管理と発熱時の休暇取得の徹底、社会的距離を確保する働き方の導入(テイクアウト等の考慮、職場のレイアウトや座席の配置の調整、対面による協議や交渉を自粛、遠距離出張を控え遠隔会議で代替など)。また、経済的影響を受ける関係職業・職種の方々には、公的資金からの補償も含めて直ちに制度的なサポートを提供できるよう検討を進める必要がある。
- グループ(2)(医療職、介護職)および(3)(内勤営業(オフィスワーク中心)、流通・物流業システム(卸・小売り、運送業等)など)では、地域の感染リスクと連動して発熱率が上昇する可能性がある。3密を避けた就業環境の整備、社会的距離の確保は引き続き重要である。特に重大な局面に至っても働かざるを得ない職業・職種(医療・介護職種や食品・生活必需品関連の小売り業種、運送業など)には、感染リスクを管理するための対応が必要である。例えばマスクや防具服などの優先的な供給、体調不良時に休みやすい環境整備、労働衛生教育や作業環境の管理、公的資金からの特別手当なども考慮されるべき事項である。
- グループ(4)(例:教職員、学生・生徒)については、休校措置がとられているため、現状はある程度社会的距離が管理された状況である。今後、休校措置が限定的に解除される状況を想定して、新型コロナウイルスの感染対策を踏まえた授業を行うことが重要であり、3密を回避した対面授業の工夫、ICTを活用した遠隔教育、検温などの体調管理を通じたリスク管理の導入を準備する必要がある。
2020.04.14
文責:仲佐 保
NGOシェア共同代表・医師