新型コロナウイルス感染症(COVID-19 )について(5)
1.世界及び日本国内感染状況
▶ヨーロッパとアメリカ地域
▶その他の地域
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世界的には、ヨーロッパ、アメリカ(主にアメリカ合衆国)とも毎日の陽性者数の数がピークに達しているようであり、今後の日々の陽性者数の減少が見込まれる。
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東南アジア(特にインド、インドネシア、タイ)が増加傾向であり、心配である。このため、各国では、外国人の入国制限が強化されつつある。
2.日本、東京都国内感染状況
▶日本全体
(NEWS DIGEST)
(NEWS DIGEST)
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新規感染者も4/9は 578例と増加、都会(東京、大阪、神奈川)での増加率が高い。
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岩手県及び鳥取県の感染者は、ゼロ。
▶東京都
(東京都 新型コロナウイルス陽性患者発表詳細より作成)
- 東京の感染者数は、増加中で感染爆発に向かっている。4月9日からの緊急事態宣言後の外出自粛規制、これを受けた職種の休業要請による効果が得られなければ、感染爆発は避けられない模様。
3.日本がとっている新コロナウイルス感染症対策(厚生労働省)
- 新規陽性者が発生した場合、濃厚接触者(➀距離の近さと➁時間の長さに関係するが、必要な感染予防策をせずに手で触れること、または対面で互いに手を伸ばしたら届く距離(目安として2メートル)で一定時間以上接触があった場合)を確認して、隔離、観察すること。
- クラスター対策として、ある程度集団的に発生した場合には、特に濃厚接触者の確認を徹底的に行い、これを隔離・観察する。
- 国民の健康意識の高さ、手洗い等の感染予防に信頼を置き、公的機関やメディアを通しての感染予防に関して啓発をおこなうこと。
- 治療に関しては、症状が悪化した場合の入院治療、重症化した場合の集中治療(人工呼吸器や人工心肺装置の使用も含む)を行う。
- 緊急事態宣言後は、感染爆発も想定して、陽性者でも軽症者の場合には、病院から他の施設(ホテル等)に移る観察するという方法を取っている。
4.重症患者のトリアージュ
- 感染爆発が起きることにより、大きな問題が起きる。患者のトリアージュという方法を取る可能性がある。トリアージュは、救急医療や災害医療の中でよく用いられる言葉で、大規模な地震などの災害時なに一度に多くの治療患者が出た時、それに対応する医療従事者が十分確保できないときに使われる言葉である。患者の重症度に基づいて、治療の優先度を決定して選別を行うことである。
- 感染爆発がおこると現在の医療施設数、医療従事者だけではこれに対応できなくなる。ヨーロッパ(イタリア、スペインなど)やアメリカ合衆国でおこっているように、重症者でもこの患者を診られなくなる状況となる。
- 重症者には、人工呼吸器や人工心肺が必要になることがあり、その対応数は限られる。また、これらの機材を使うためには多くの医療人材(医師、看護師、医療工学士)が必要となる。その場合、重症者の中での優先度をつける必要がある。具体的に例えて言うと、志村けんさんのような意識がなくなった患者さんには優先度は与えられず、意識があり、助かる見込みのある人に人工呼吸器、人工心肺を使うことになる。日本の医療の中では、医療従事者や家族にとって、習慣的、感覚的に困難なことではあるが、それをせざるを得ない状況も考えられる。
5.正しい可能性があるが、さらなる証拠(エビデンス)が必要な情報
山中伸弥 (京都大学iPS細胞研究所所長、医学博士)
(病態)
- 年齢に関わらず、感染者の約半数では症状が出ない。
- 子供では感染して発症しても軽症が多い。ただし重症化することもある。
- 食欲不振や下痢が主な症状の場合もある。
- インフルエンザと同時に感染することがある。
- 心臓の筋肉にも感染し、心不全を起こす。
- 嗅覚や味覚異常が主な症状の時もある。
(感染)
- 感染力は季節性インフルエンザより高い。
- 微小粒子で数時間生存し、感染の原因となる。
- 帝王切開でも母子感染する可能性がある。
(対策)
- 手洗い、消毒は感染予防にある程度は効果ある。
- 感染している人がマスクをすることにより、他の人への感染を減らすことが出来る。
- 1~2年でワクチンが開発される。
- 抗HIV薬、抗インフルエンザ薬、抗ぜんそく薬など他の病気の薬が効果ある。
2020.04.10
文責:仲佐 保
NGOシェア共同代表・医師