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COVID-19(2)
COVID-19(2)
新型コロナウイルス感染症 (COVID-19 )について(2)
1.世界及び日本国内感染状況
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世界的には、ヨーロッパ(イタリア5217、フランス2497、スペイン6549、ドイツ4751、 イギリス2433、スイス1122、オランダ1104、ベルギー1702、トルコ1869)及び中東(イラン2901、UAE102)での感染者増加とともに、アメリカ(19332)、特にニュ ーヨーク州での爆発的増加の状況となり、課題となっている。また、途上国(タイ136、マレーシア150、フィリピン343、インドネシア130)、においても徐々に広がりつつある。
(表記は一日感染者数:3月30日発表 WHO Coronavirus disease 2019 (COVID-19) Situation Report-70より)
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PPE(personal protective equipment::個人用保護具)が世界的に不足している。
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日本での状況は、全国の新規陽性者数は、3/28より100代(3/28:112, 3/29:194, 3/30:173)を維持しているが、特に東京都(3/28:63, 3/29:68, 3/30:13)での陽性者数の増加は継続しており、オーバーシュートの可能性が継続、都知事及び首都圏4県知事が外出自粛・週末の外出自粛要請を出した。
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台東区永寿総合病院での院内感染による感染者数はさらに増加(100名を超える感染)、同病院に入院していた陽性患者の1名の慶應大学病院への転院のため、慶応大学でも院内感染。
東京都
(東京都 新型コロナウイルス陽性患者発表詳細より作成)
2.東京での感染爆発(オーバーシューティング)予想の理由
現在、東京では、新規陽性者の日々の増加、複数の医療施設での集団発生(クラスター)が継続しており、ヨーロッパやニューヨークで起こってしまった感染爆発が懸念されている。
1)3月の欧米の観光旅行(卒業旅行その他)の帰国者からの感染
2)欧米の感染爆発により、留学生及び企業の出張者の帰国者からの感染
3)感染源不明陽性者の増加
4)公共交通機関(鉄道、バス)のシャットダウンは不可能(多分)
* 今後の予想としては、長期化(3ヶ月以上)、感染のピークは1ヶ月ごろが予想される。
3.症状のない人や風邪症状のある人が検査をしないほうが良い理由
感染爆発の可能性の報道を聞き、軽い感冒様症状があったり、無症状での検査をしようと考える人が増加する可能性が高いが、下記の理由で検査に行くべきではない。
1)現在、検査ができる施設が限られており、検査に来る人(疑いがある人)が集まり、そこで感染するリスクが高い。(韓国では、ドライブスルー方式を取っているが、人が集まって待つ環境でないため、この懸念がない。)
2)現在のPCR検査は、特異度は高い(陽性の場合、99%が確か)が、感度が低い(70%程度)ため、陰性だといっても、感染していないことは確実ではない。
3)多くの場合(80%)は、症状が軽いか無症状であり、自宅療養で治癒する。
→高齢者、基礎疾患がある場合で2日以上の症状が継続した場合、また、急性悪化した場合にはすぐに検査をすることが勧められる。
それ以外の場合でも、発症後4日以上症状が継続した場合は、帰国者・接触者相談センターへ電話相談して、検査の要否を確認する。
4.根拠による情報分類 山中伸弥(京都大学iPS細胞研究所所長、医学博士)
―証拠(エビデンス)があり、正しい可能性が高い情報
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感染後、症状が出るまでの潜伏期間は1から17日とばらつきがある(平均は7日程度)
- 感染しても症状が出ない場合がある
- 感染してもPCR検査で陰性となる場合がある
- 発症しても多くの場合は発熱や咳などの軽症
- 高齢者や持病を持つ患者を中心に一部の患者では肺炎等で重症化、致死率も高い
- 感染力(基本生産数)は、まだ確定していない
- 咳等の飛沫とドアノブ等を介しての接触で感染する
- 集団感染(クラスター)が世界各地で報告されている
- クラスター以外(家庭内など)でも感染する
- 症状がなくとも、他の人に感染させる場合がある
- 手洗いやマスクしていても感染することがある
- ワクチンはまだ開発されていない
- 効果の証明された治療薬はない
―証拠(エビデンス)の乏しい情報
- 暖かくなると感染は終息する
- 中国は対策に成功したので、感染拡大が再び起こることはない
- 感染者の報告されていない都道府県では、感染拡大の可能性は低い
- 屋外のイベントではクラスターの心配ない
(着替え、食事、トイレなど、室内で人が集まればクラスターの危険あり)
- 新型コロナウイルスは人工的に作られた
5.提言
- 新型コロナウイルス感染が増加し、都市封鎖、地域封鎖がおこるなかで、各個人のための感染予防(公共交通機関の利用や集会等への参加自粛)を強化
- 在宅勤務体制の強化
- 都会の中で取り残される人々が出てくる。在日外国人が十分な情報が得られなかったり、貧しい人が必要な物資を備蓄できなくなったり、医療制度の整っていないところでは、医療も十分受けられないことも考えられる。
NPO/NGOとしては、これらの情報を収集し、関係者に伝え、これらの人々への支援をしていく必要がある
2020.04.01
文責:仲佐 保
NGOシェア共同代表・医師
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