新型コロナウイルス感染症(COVID-19 )について(3)
1.世界及び日本国内感染状況
2.新コロナウイルス感染症の病態(なぜ、早期に重症化して死亡するのか)
- 新型コロナウイルス感染症の一つの課題は、多くの症例が軽症にもかかわらず、特に高齢者、基礎疾患がある例では、急速に悪化し、死亡に至る例が多いことである。コメディアンの志村けんさんの例のように、最初の症状から、4日目には急速に肺炎が悪化し、意識不明となり、人工呼吸器、人工心肺装置を使用しての高度な治療によっても助けることができなかった。
- アメリカのシアトルの症例報告でも、集中治療をした24例中12例が早期(平均7.5日)に死亡している。
- 特徴としては、悪化のスピードの速さである。もちろん、肺が主に攻撃され、重症肺炎が起こるのであるが、肺炎だけではなさそうである。肺炎とともに血圧もさがり、ショック状態に陥っている(シアトル)。新型コロナウイルスは単に肺を攻撃するのではなく、全身の他の臓器(腎臓や肝臓等の重要な臓器)も攻撃しているのではないかと考えられる。
- シアトルの症例、武漢の症例では、多くの場合、リンパ球(免疫をつかさどる血球)の減少が著しく、急性の免疫不全も原因の一つとも考えられる。
【参照】
■ Covid-19 in Critically Ill Patients in the Seattle Region -- Case Series
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2004500?query=featured_coronavirus
■ Clinical characteristics of 2019 novel coronavirus infection in China
https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.02.06.20020974v1
3.人工呼吸器および人工心肺装置に(ECMO)ついて
- 新型コロナ重症肺炎の治療に人工呼吸器及び人工心肺装置(ECMO: Extracorporeal
membrane oxygenation)が使われる。人体は、呼吸をすることにより、体内の二酸化ガス(CO2)を排出し、酸素(O2)を空気中から取り入れる。酸素を取り入れた血液は心臓により、体中に運ばれる。人工呼吸器は高い濃度の酸素を機械的に肺に送り込むことにより、肺をサポートして、肺の回復を待つ。人工心肺装置は、血液を酸素化するとともにこの血液を体中に送り出すポンプ機能も果たす装置である。重症化したコロナウイルス肺炎では、心臓のポンプ機能も低下し、ショック状態(循環不全)にもなり、肺と心臓の代わりを果たすための人工心肺装置が必要となる。
- アメリカのシアトルの症例報告でも、集中治療をした24例中12例が早期(平均7.5日)に死亡している。
- 人工呼吸器及び人工心肺装置による治療の課題は、これを正しく使える医療従事者(医師、看護師、臨床工学技士等)が必要なことである。これらの技術は簡単に身につくものではなく、長期の訓練を受ける必要がある。
- 人工呼吸器の製造だけではなく、その人材の確保も考える必要がある。
4.世界における根拠のないデマ (WHO)
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https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/advice-for-public/myth-busters
- 日光浴、25度以上の暑い気候により、新コロナ感染症を防ぐことができる
- 多くの人は新コロナ感染症から回復し、2度と感染しない
- 咳や不快感を感じずに10秒以上息を止めることができれば、新コロナウイルス感染症ではない
- アルコールを飲むと新コロナ感染症を防ぐことができる
- 寒さや雪は、新コロナウイルスを殺す
- 熱いお湯にはいることにより、新コロナ感染症を防ぐことができる
- 新コロナウイルスは蚊から、感染する
- ハンドドライヤーにより、新コロナウイルスを殺すことができる
- 新コロナウイルスは、紫外線ランプで殺すことができる
- アルコールや塩素を全身にかけることにより、新コロナウイルス感染を防ぐことができる
- 生理食塩水で定期的に鼻をすすぐと、新コロナウイルスによる感染を防ぐことができる
- ニンニクを食べると新コロナウイルス感染を防ぐことができる
2020.04.03
文責:仲佐 保
NGOシェア共同代表・医師