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(認定)特定非営利活動法人 シェア=国際保健協力市民の会 シェアは、保健医療を中心として国際協力活動を行っている民間団体(NGO)です。

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vol.20.東南アジア

旅する世界の保健室

初めての船、東南アジア

1.東南アジア青年の船に従事したきっかけ
青年海外協力隊で同期の看護師の友人から「船の仕事あるけど、どう?」と何度か誘われていました。船上の看護師業務の不安がある理由でその誘いを断っていましたが今回は何事も経験かと思い、不安ばかり先に抱く私の傾向を払拭したい気持ちもあって、引き受けました。

2どんな仕事?
「東南アジア青年の船」とは
日本とASEAN 諸国11ヵ国、参加青年(18〜30歳) 約330 名が船内で生活を共にし、船内・訪問国での交流活動を行います。各国の青年相互の友好と理解の促進、国際社会において将来のリーダーとなりうる人材育成の目的があります。日本国内プログラム等を含め2018 年10月から12月まで参加青年の健康管理に看護師2名の1人として従事しました。
この間は職場の理解もあって休暇を取りました。主な業務は参加青年の毎日の健康状態を把握し船内活動や訪問国活動に参加できるかの判断、ナースルームに常駐し軽度の疾病の対応と船医の診察が必要かの判断と調整、インフルエンザ、発熱や下痢等の対応、必要時訪問国で受診の付き添いです。

ナースルームでの仕事
ナースルームに来る青年の症状は喉の痛みと風邪でした。日本の市販薬を内服してもらい症状が持続する場合は船内のクリニックに受診を促していました。船内は乾燥が強く、事前に健康管理として予防対策を説明しましたが外国青年はうがいの習慣がなく実践していませんでした。それなので来た青年達にうがいの仕方を説明する毎日でした。毎朝青年たちは集合して検温をし、37度以上だとナースルームに来てもらい活動に参加可能か判断しました。その日の活動内容で体調不良者数が変動するので気持ち次第な部分もあり参加を促していました。

訪問国での健康管理
訪問国はブルネイ、フィリピン、タイ、ベトナムで視察・ホームステイなどの活動があり、青年が 体調不良時に活動に参加可能かを判断しました。最後の訪問国のベトナムでは疲労、暑さからか高熱を出す青年が多く、ホームステイ直前や途中での中止を決めました。
私にとってこの判断はとても迷うものでした。参加を休ませるべきだったか、英語での会話では青年の訴えを正確に理解出来ていたか、と自問自答の繰り返しでした。

インフルエンザと船酔い
青年たちは一部屋に3人で生活するためインフルエンザにかかると、病室扱いの客室に移動し生活します。外出禁止のため活動が制限されるので自室に戻りたいと何度も懇願され、戻れる基準の説明の繰り返しでした。
また別の青年は解熱剤を服用したため発熱が隠れていた事があり問診の重要性を実感しました。波が荒れた時、青年たちは船酔いが酷く、毎朝の検温時に欠席の場合は部屋を訪問していましたが、時に部屋からの応答がなく船のスタッフに鍵を開けてもらい中に入ると全く身動き出来ず、ぐったりしたその姿は想像以上でした。酔い止めを内服していない青年もいて対策を促すべきだったと反省しました。

3.経験して良かった
東南アジア諸国の多くの人達と過ごした事は貴重な経験でした。今まで特定の地域に関心を向けていたのでそれを広げることが出来たと感じています。
そして改めて相手からみた健康管理の指導の大切さを実感しました。相手に合わせた説明を無意識に私の基準で実施していました。今、訪問看護に従事していますが独りよがりではないか基本に戻り看護していきたいと思います。

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写真右:山影美和さん




元シェアインターン / 訪問看護ステーションゆうあい 看護師 山影美和
機関誌「Bon Partage」No.163(2019年4月)掲載

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