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(認定)特定非営利活動法人 シェア=国際保健協力市民の会 シェアは、保健医療を中心として国際協力活動を行っている民間団体(NGO)です。

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vol.18.ベリーズ

旅する世界の保健室

ベリーズ

1.青年海外協力隊への参加のきっかけ
大学在学中、スロバキアで訪れたロマ の人々たちがあからさまな差別を受けているのを目の当たりにしました。私の教授が、彼ら彼女らの自立支援活動をしているのを見たことが、国際協力に携わりたいと思ったきっかけです。その後、「命の格差」の問題に興味を持つようになりました。特にエイズは偏見や差別が大きく影響していることを知り、医療従事者でない私にも何かできるかもしれないと、就職と同時に国内でエイズの電話相談ボランティアに取り組みました。そして社会人4年目、学生時代からの夢だった青年海外協力隊へ参加しました。

2.エイズ対策隊員としてベリーズへ
青年海外協力隊ではこれまでのボランティア経験を活かせる「エイズ対策」の職種を選び、中米のベリーズへ派遣となりました。配属先は、ベリーズ家族生活協会(通称BFLA)というNGO。私はベリーズ最大の町・ベリーズシティーに位置する本部の青少年部で、リプロダクティブ・ヘルスの啓発活動に取り組みました。当時、ベリーズでは中米一高い約1.8%のHIVの有病率や、若年妊娠が大きな社会問題となっていました。

3.主な活動の三つ
●地域での啓発活動
BFLAは定期的に地域のイベントでブースを出展して啓発活動を行っていましたが、 パンフレットやコンドームを配っているだけで、訪れる人の関心を惹くようなブースではありませんでした。そこで私は同僚たちと、楽しみながら学べるゲーム形式の教材や展示教材を多く開発しました。その結果、BFLAのブースには沢山の人が足を運ぶようになりました。
●ユースグループの能力強化
BFLAのユースグループは、情報テレビ番組の運営や、地域での啓発活動といった役割を担っていましたが、メンバーの保健知識が不十分でした。そこで私はグループ・ミーティングの際、保健クイズやゲームを実施すると同時に、共に啓発活動を実施することで、メンバーの能力強化に取り組みました。
●高校でのピア・エデュケーション
BFLAは地域の高校で「ピア・ヘルパー」という、日本で言えば学校保健委員会にあたるグループの活動の支援をしていました。BFLAの同僚が定期的にこれらの学校を訪問して授業をしていたのですが、マニュアルが長年アップデートされておらず、参加型の教材もほとんどありませんでした。そこで、私は内容の大幅な改定を行うと同時に、ゲーム形式のアクティビティーを多く導入しました。その結果、生徒のより積極的な参加を促すプログラムになりました。

3.ベリーズでの経験と今
草の根レベルの活動にどっぷりつかる日々で、やりがいは大きかったです。その一方、未成年者がリプロダクティブ・ヘルス・サービスにアクセスするのを妨げる法律、「男性・女性はこうあるべき」とった考え、宗教的価値観などの影響により、人々の保健行動を変えることの難しさも痛感しました。現在私は東ティモールで仕事をしていますが、協力隊時代の経験は、困難な環境下でどのようなアプローチが有効なのか考える上で役立っています。 ベリーズに赴任する前は「私が何か貢献したい」という意識でしたが、同僚たちの、「誰もがリプロダクティブ・ヘルスを享受できる環境を作りたい」という強い思いに刺激を受ける毎日で、彼女らから学ぶことの方が多かったです。彼女らのおかげで、私の国際保健の道に進む扉が開けたと思っています 。

※リプロダクティブ・ヘルスとは、「生殖の仕組み、機能、過程のすべての事柄について、ただ単に疾患がないというだけでなく、身体的、精神的、社会的に完全に良好な状態」をいう
協力隊写真_秋山.jpg  
写真:大学での啓発イベントにて

シェア広報 比田井純也
機関誌「Bon Partage」No.161(2018年4月)掲載

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