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(認定)特定非営利活動法人 シェア=国際保健協力市民の会 シェアは、保健医療を中心として国際協力活動を行っている民間団体(NGO)です。

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vol.6中国

旅する世界の保健室

中国のエイズ対策NGO

中国のエイズ問題
中国でもエイズの問題は深刻化しています。貧困地域では、農村の貧困住民が自分の血液を売っていた際に、不衛生な輸血を行っており、感染が拡大しました。国境の省では、国外から流入した麻薬の使用が原因で感染が拡大しました。都市では同性愛間での感染が広がっています。人口抑制政策により中国では一人っ子の家庭が多く、同性愛者への偏見は強く、これが予防・ケアの対策を妨げます。また、農村から都市への出稼ぎ労働者が就労先でHIVに感染し、その配偶者に感染してしまう例もあります。このように中国におけるエイズ問題は、貧困、出稼ぎ労働、「一人っ子政策」等、中国特有の問題を反映しています。人口全体からいえば感染率は低いのですが、近年では、ハイリスクグループから一般人口に感染が拡大しています。

中国政府も近年ではあらゆるエイズ対策をとり始めています。しかし、中央政府がエイズ対策を重視していても、地方での着実な実施は難しく、また、エイズ問題は社会問題も複雑にからむので、政府機関だけでは、適切な対策を徹底することは困難です。中国政府もこの点を理解し、NGOやボランティアといった市民社会をエイズ対策の重要なパートナーとして期待しています。


中国のエイズ対策NGO
中国のエイズNGO東珍スタッフ70年代末の市場経済化による公益サービスの民営化に伴い、その空洞を埋めるように、NGOの活動が活発化しました。ただ、中国のNGOの大勢は、「(Government-Organised NGO)」といわれる、政府からのコントロールを受けている「上から」のNGOです。GONGOは政府との間に様々な関係を持ち、依存しています。一方で、草の根NGOといわれる民間の自発性による「下から」のNGOもあります。草の根NGOは民間からの立ち上げから、公益サービスの提供やコミュニティ活動を直接行っており、自治が強く、ボランティア精神も強いといわれています。
写真:中国のエイズNGO東珍の代表の李丹さん(左)と土居さん(右)。

中国では、HIV対策NGOは多くなく、その中でもGONGOが大勢を占めています。しかし、2000年以降、中国の性病とエイズの感染が増加するのに伴い、草の根NGOが成長しています。

大都市や地方都市を中心に、同性愛者グループによる予防啓発、スティグマ軽減の活動やHIV陽性者団体によるエイズ相談の活動が増えています。ほかにも、エイズ孤児のための教育支援、陽性者へのケア、法律相談等を行う団体があります。また、政策の提言型のNGOもでてきており、中国のエイズ対策において市民社会の声が反映される可能性を反映しています。

しかし、課題も少なくありません。多くの草の根NGOでは資金も人材も不足しています。中国では、組織・団体の管理が厳しく、NGOとしての法人格を得られない組織も大勢います。また、エイズ問題は政治・社会的に敏感なので、地元政府から妨害や嫌がらせにあうNGOもいます。


日中NGOのパートナーシップ-より健康な両国のために
日本にとって隣国である中国の健康問題は国境を越えて、日本にも影響を及ぼします。日中のNGO同士のパートナーシップが両国の人々の健康や福祉にとってより重要になると思います。例えば、日中NGOの連携強化により、在日中国人でHIV陽性者の人の中国帰国後のサポートが受けられるようになることも考えられるでしょう。日中の人々の交流が高まる中で、日中の保健NGOの一層の協力強化が必要になると思います。
シェア会員 土居健市
機関誌「Bon Partage」No.147(2010年4月)掲載
コンドーム自動販売機。











写真:コンドーム自動販売機。側面に、「為了中華民族、遏制艾滋病(中華民族のために、エイズを食い止めよう)」と書かれている。
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