HOME > シェアが賛同すること > 《日本の市民社会への呼びかけ》 "すべての人に、新型コロナに対する医療アクセスを!"
●内田聖子:アジア太平洋資料センター
http://www.parc-jp.org/freeschool/event/pdf/20201216_uchida.pdf
●稲場雅紀:アフリカ日本協議会
http://www.parc-jp.org/freeschool/event/pdf/20201216_inaba.pdf
●金杉詩子:国境なき医師団・日本
http://www.parc-jp.org/freeschool/event/pdf/20201216_MSF.pdf
●本田徹1:シェア=国際保健協力市民の会
http://www.parc-jp.org/freeschool/event/pdf/20201216_honda.pdf
●本田徹2
http://www.parc-jp.org/freeschool/event/pdf/20201216_honda_ppt.pdf
新型コロナウイルス(COVID-19)は今も世界で広がり、収束どころか第二波、第三波が押し寄せている国も少なくありません。
先進国の製薬企業は、新型コロナウイルスに対する医薬品とワクチンの開発を猛スピードで進める中で、有望なワクチンをめぐる国家間の争奪戦も激しくなっています。ワクチンの早期実用化を目指す米国は、6社と計8億回分の供給契約を結んでおり、契約額は合計で92.5億ドル(約9800億円)に上ります。EUは、予備的な合意も含め5社から14.85億回分の供給を確保。このうち4億回分を供給する英アストラゼネカには、3億3600万ユーロ(約420億円)の手付金が支払われました。
日本政府は、アストラゼネカと米ファイザーからそれぞれ1億2000万回分を確保。米モデルナからは4000万回分以上の供給を受ける方向で協議しているほか、武田薬品工業は提携先の米ノババックスのワクチンについて、年間2億5000万回分以上の生産能力を構築する見込みで、合計5.3億回分を確保したことになります。
こうした先進国の争奪戦の中、世界人口の半数以上を占める途上国・新興国は、医薬品・ワクチンの確保に大きな不安と課題を抱えています。先進国のように製薬企業と事前契約を結ぶ財源もないばかりか、新型コロナ以前から存在するHIV/エイズやマラリア、その他感染症の対応に医療を含む国内の様々な資源を割かなければならないからです。
途上国・新興国の公衆衛生を常に脅かしてきたのが「医薬品の特許」の問題でした。医薬品特許をめぐる国際的なルールは、1995年に設立された世界貿易機関(WTO)における知的財産権に関する協定(TRIPS協定)で決められています。ここでは医薬品の特許期間が20年と定められている他、様々な形で製薬企業の権利保護が規定されています。医薬品の開発企業の特許を保護する必要はあるものの、圧倒的な経済格差の中で特許保護のみが追求されれば、貧困者には命をつなぐ医薬品は届きません。
2020年10月、WTOの知的所有権に関する委員会にて、南アフリカとインドが、新型コロナ関連の医薬品、ワクチン、診断ツールなどかけられている特許の一部を停止するよう求める提案を行いました。この要請は、多くの途上国・新興国が新型コロナへの対応に苦慮する中、その声を代表するものとして、非常に画期的な要請でした。
この提案に対し、多くの途上国は賛同し、またUNAIDSなどの国連機関も支持を表明しています。しかし、日本、EU、米国などの先進国やブラジルなど一部の国は特許保護の立場から提案に反対し、議論は対立しています。
国際的には、すべての国に治療薬やワクチンを提供するための枠組みも創設されていますが、途上国に必ず行き届くことが確保されたわけではありません。一方、特許が壁となり経済的に余裕のある一部の国々だけが治療薬を独占する事態も起こりかねません。新型コロナはグローバルなパンデミックであり、一部の国々で感染が抑えられたとしても、途上国・新興国で感染が拡大し続ければ、巡り巡って私たちの日常にウイルスは蔓延し続けます。まさに、豊かな国が「ワクチン・ナショナリズム」を押し通せば、本当の意味での感染抑制はできません。
これまで医療・保健、公衆衛生、また貿易問題に取り組んできた私たち日本の市民社会団体は、国際市民社会の運動と連携しながら、「新型コロナに対する公正な医療アクセスをすべての人に!連絡会」を立ち上げました。すべての国の人々に医薬品やワクチン、技術を届けられるよう、インド・南アフリカの提案に賛同するよう、日本政府に働きかけていく予定です。つきましては別紙の呼び掛け文をご覧いただき、ぜひご参加、関心を持っていただきますようお願いいたします。
<呼びかけ>(五十音順)
(特活)アジア太平洋資料センター(PARC) 共同代表 内田聖子
(公財)アジア保健研修所(AHI) 事務局長 林かぐみ
(特活)アフリカ日本協議会 共同代表理事 津山直子・玉井隆、国際保健ディレクター 稲場雅紀
(特活)国境なき医師団日本 会長 久留宮隆
(特活)シェア国際保健協力市民の会 共同代表 本田徹、仲佐保
世界民衆保健運動(People's Health Movement) 日本代表幹事 宇井志緒利
(公社)日本キリスト教海外医療協力会 会長 畑野研太郎
※要請書への賛同団体を募集しています。要請書をご確認の上、登録フォームにご登録をお願いいたします。
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