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Healthcare

保健システムとは

WHOは保健システム(ヘルスシステム)を「ヘルスプロモーション、疾病治療および健康維持を第一目的としたすべての組織、人員や行動」、または、「健康の改善を主目的とするあらゆる活動-個人、公共サービス、分野間のイニシアティブによる活動を問わず-を生みだすための機関、組織、資源の総体」と定義としました。保健システムは様々な疾病対策、保健プログラム、公衆衛生サービス提供の基礎となっています。保健システムの目的は、健康の絶対水準の向上のみならず、異なる社会経済的グループ間での健康格差の減少も重要な目標であり、さらに保健医療サービスを受けることで財政危機に陥いるような状況から人々を保護すること、人々を中心としたヘルスケアを提供すること、資源効率利用なども広い意味での保健システムの目的と考えられます。

保健システムの歴史

1978年、WHO及びユニセフが中心となり、世界の国々の政府代表と国際会館が集い、「Health for all by 2000(2000年までにすべての人に健康を)」を目標に掲げたアルマ・アタ宣言において採択されました。その後、この中で推奨されたプライマリー・ヘルス・ケア(PHC)の実践が行われました。PHCでは、コミュニティにおける基本的な予防及び治療の保健医療を提供することを目的に、保健センターなどの基本医療施設の設置と人材の配置を行い、具体的な活動として健康教育、母子保健、予防接種、栄養の改善などの活動が行われ、これまで保健医療サービスが届かなかった人々への健康状況が改善されました。しかしながら、基本的な保健医療サービスでは治療が困難な例や妊産婦の重篤な合併症の人々を治療することは困難であり、また、これらの患者を搬送する、上位の病院の医療レベルが低いことが課題となりました。PHCが終了した2000年以降、コミュニティレベルの保健医療サービスだけではなく、さらに上位の病院をふくめた保健システムの強化が必要と考えられ、2007年WHOより、新しい保健システムが提唱されました。

保健システム

健康システムは、健康を促進、回復、または持続することを主な目的とする、全ての組織、人びと及び行動で構成されています。 WHO 2007(一部改変)

保健システムを構築するサブシステム

WHOが提案した保健システムは、リーダーシップとガバナンス、保健医療人材、情報とコミュニケーション、技術と機材、財政、そしてサービスの供給6つのコンポーネントが相互に適切に機能する必要があります。特に、サブシステムといわれる薬品と機材の供給システム、医療情報システム、搬送システムが強化、確立が重要です。末梢の保健センターや保健ポストに基本薬剤を定期的に提供するためには、住民に一番近いコミュニティの一次医療施設の保健センターから、必要な薬品の請求、必要な薬品の保存するための倉庫、在庫管理、薬品の輸送のため車両の整備等の管理が必要です。医療情報システムは、感染症や主要疾患の統計を取り、これらの情報をデジタル化するとともに、感染症の流行に対しての対応が必要になる。また、最も重要なのは、重症患者を搬送するための救急車等のリファラルシステムの構築と維持です。出血等に対応するためには、血液銀行を含む輸血システムが必要になります。
重症患者を、コミュニティの一次医療説から、さらに上位の二次医療施設に搬送し、さらに高度の医療のためには、国レベルの三次医療施設に搬送するリファラルシステムを確立させ、患者への質の高い医療を提供することを目的とします。
2015年に国際目標とした持続可能な開発(SDGs)として提唱され、保健関連目標としてゴール3として統合されたが、プライマリーヘルスケアと同じ概念として提唱されたユニバーサルヘルスカバレッジの達成のためにも保健システムの強化が重要です。

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シェアは、いのちを守る人を育てる活動として、保健医療支援活動を現在
東ティモール・カンボジア・日本の3カ国で展開しています。