HOME > 私たちが考えていること > 沖縄平和賞連載 > [沖縄平和賞連載vol.11]NPO・NGOと市民社会-主体的取り組み手助け-
2011年1月から始まり、これまで10回にわたり紙面を借りて、シェアの活動を紹介してきた。東日本大震災における緊急支援、カンボジアの母子を守る取り組み、タイ農村のエイズ啓発及びケア活動、日本の医療サービスの隙間を埋める在日外国人健康支援。
どれも、活動の中心にいるのはシェアのスタッフではなく、そこで暮らす地域の人々だ。健康な暮らしの実現は、コミュニティ自らが主体的に取り組まなければ実現することは難しい。NPO/NGOにできるのはその手助けにすぎない。
シェアの正式名称は、「シェア=国際保健協力市民の会」である。活動には多様な市民が参加しており事務局スタッフの本来の役割は、そのコーディネーションである。例えば、東京近郊で行っている在日外国人を対象とした出張無料健康相談会には、医師、看護師だけでなく、学生や社会人、主婦等が、ボランティアとして参加し、協力して無料相談会を開催している。このように「市民」が活動に参加する意味は何だろうか。
東日本大震災では、公平に支援が行き届かないという状況の中、コミュニティの結束が多くの命を救い、人々の生活を支えていた。一方で、いまだにスロープの勾配が急なために、身体に障害を抱えた人が家に入ることさえ困難な仮設住宅がある。震災から8ヶ月がたち、支援が徐々に退いて行く中、地域の人々自身の立ち上がりが課題の解決には欠かせない。
本来、コミュニティには臨機応変に課題に対処する行動力と団結力、ニーズに即した活動を行う当事者としての問題解決能力を持っている。シェアが行う保健医療支援は、市民の自発的な参加の仕組みを整えることであり、市民活動の活性化に他ならない。市民が本来持っている力を、命を守る取り組みへと引き出すことがシェアの役割である。
健康を脅かす病や環境問題に対する対処方法持っているのは医療従事者だけではない。誰もが当たり前に健康に暮らせる社会とは、誰もが当たり前に健康づくりに参加するからこそ実現できる。これが、プライマリ・ヘルス・ケアのアプローチである。
人間を取り巻く環境は急速に変化している日本は既に超高齢社会に突入し、生活保護受給者の急増はその影響の一つである。このような社会変化が市民にもたらす影に、当事者として継続的に対応することができるのは市民以外にいない。生まれながらの人間としての権利を自ら守るために、その責任と義務を果たすことが、私たちひとりひとりに求められている。その一つの取り組みがNGOの活動である。
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