menu

キーワードで探す

カテゴリで探す

【在日外国人支援事業配信】母子保健医療通訳サービスの意義を再認識 ~活動報告会より

  • 医療通訳者や保健ボランティアと共に妊産婦や母子の健康をまもる
  • 在日外国人支援
  • 東京事務所 在日外国人支援事業 村田浩子
【在日外国人支援事業配信】母子保健医療通訳サービスの意義を再認識 ~活動報告会より

こんにちは。在日外国人支援事業の村田です。
少しずつ梅雨の気配を感じますが、ただいまキャンペーン中の東ティモールのコーヒーを飲みながらリラックスした時間を過ごしませんか。(東ティモールコーヒーの情報はこちらhttps://share.or.jp/event/timorcampagin2025.html
今回は、初めて運営メンバーとして参加した活動報告会について報告します。

活動報告会の概要
シェアは、2021年4月から母子保健分野において、医療通訳の活用を進める活動を始めています。そして、2024年4月から、社会福祉振興助成事業(WAMモデル事業助成)の支援を得て、「自治体等との連携で目指す母と子の健康のための医療通訳体制構築事業」として、母子保健場面での医療通訳活用の促進や、保健師の方々との連携を対象地域都内4区から10区に増やし、活動しています。今回の活動報告会は、それらの活動の1年間の報告として、去る3月26日(水)に「医療通訳サービスを活用した母子保健活動」というテーマで、オンラインで開催しました。
まずはシェアの松尾から1年間の活動報告、続いてこの1年間で医療通訳を日頃より活用してくださった江東区と、医療通訳の活用だけでなく地域での活動なども連携してくださった中野区の保健師さんから医療通訳の活用状況や現場の母子保健サービスの状況についてお話いただく、という形で行いました。

2024年度の医療通訳の状況
シェアの松尾より、母子保健場面での医療通訳活用の促進や自治体と開催した情報交換会など様々な活動を報告しましたが、ここでは通訳の活用状況について報告したいと思います。
昨年度の母子保健医療通訳の活用実績は年間306件となり、この数字は前年比1.35倍です。21市区の自治体や13施設の医療機関などからご依頼いただき、需要は拡大傾向にあります。シェアの医療通訳は17言語に対応しており、現在64名の方が通訳者として登録されています。活用が一番多かったのは英語でした。



母子保健通訳の活用状況を説明するシェアの松尾

情報を届けることの難しさ
江東区の保健師さんからは、妊娠に関する情報は外国人に届きにくい、というお話がありました。自治体が対象者と関わるのは、対象者が役所に母子手帳を取りに来るタイミングですが、その前の妊娠する前や妊娠したタイミングで出会っていれば、例えば、留学生の立場で子どもを育てる環境をどう作るか、などの相談にも一緒に解決方法を探ることができたのではないか、と感じているそうです。妊娠に関する情報については、英語の説明資料も作成しているそうですが、今の時代、冊子やパンフレットの活字から情報を得る、という方法では、日本人同様になかなか浸透しないそうです。インターネットで情報を得ていても部分的な情報のみになりがちで、本来伝えたい内容とは違った解釈になってしまう恐れがある、とのことでした。
それを聞いて、妊娠に関する情報に限らず、情報を届けるということの難しさを感じました。たくさんの情報があふれる中で、情報を届けたい人と情報を得たい人のすれ違いはたくさん起きているのだと思います。妊娠に関する情報は、命や健康、また、人生に大きく関わります。外国人を孤立させることのないように、取り残される人が出ないように、正しい情報を必要な人に届けることは重要であり、そのために、必要な時にすぐ活用できる医療通訳の体制を整えることが大切だと感じました。

文化の違いについての理解の大切さ
中野区の保健師さんからは、外国人妊婦と日ごろ接する中で、外国人に日本の制度を理解してもらうにあたり言語の壁以外に文化の違いも壁になっている、というお話がありました。
例えば、フィリピンには離婚制度がなく、婚姻解消の手続きはフィリピンにて裁判で行う必要があり、正しい婚姻状況がわかりにくいため、しっかり確認しているというお話があったり、ネパールでは兄弟だけでなく血縁関係になくても親戚を“ブラザー”、“シスター”と呼ぶ習慣があることが分かったので、家族関係を丁寧に確認している、とのお話がありました。また、心配をかけてはいけない、との謙虚なお国柄から、理解ができていなくても常に「大丈夫、大丈夫」と言っている外国人のお母さんが多いので、本当に理解しているのか状況を詳しく聞くようにしているなど、一つ一つのケースに時間をかけている様子がよくわかりました。他に、日本で出産したのち、自分たちが日本で働き続けるために、子どもを母国のおばあちゃんに預けて養育してもらうケースも多くて、最初は戸惑った、というお話もあり、保健師さんたちが文化の違いを感じながら日々現場で対応されていることを知りました。



現場でよくあるやり取りについて説明する中野区の保健師さん

支え合いで成り立つ地域
「支援はその場限りのものではなく、対象者の人生や家族に継続的に関わるものであり、地域という輪の中で子どもと親が支えられるシステムになっている」という保健師さんの言葉が印象的でした。地域の状況は、規模や住民の属性などによって変わってきます。母子保健サービスの内容が各地域の特徴に合わせたもので、同じ東京都内でも地域によりサービスが異なることも知ることができました。
私自身は医療従事者でなく、今まで保健師さんのお仕事については地域住民が健康でいるための業務、という、大まかなイメージしか持っていませんでしたが、今回の活動報告会で保健師さんからお話を聞き、個々の様々なケースに対し、ひとつひとつ丁寧にサポートを行っていることを理解しました。
江東区の保健師さんからは、医療通訳サービスを活用することで意思疎通を図ることができ、また医療通訳者の存在によりお母さんが安心感を持って笑顔でやり取りできる環境が作られている、というお話があり、医療通訳サービスの大きな意義も改めて認識しました。



地域でこどもと親を支えるシステムについて説明する江東区の保健師さん

この事業は、4月から2年目に入りました。これからも、多くの保健医療福祉従事者の方々が、医療通訳サービスを活用できるよう、シェアはさらに活動を発展させていきます。

東京事務所 在日外国人支援事業担当
村田 浩子

*応援よろしくお願いいたします*
在日外国人の健康支援

↓↓↓過去の在日外国人支援事業
ブログアーカイブ↓↓↓

旧スタッフブログ一覧(~2024.3)

旧スタッフブログ一覧(~2022.5)

「知っているシェア」から
「一緒に活動するシェア」に
しませんか?

シェアのメルマガ「うさぎクラブ」では、さまざま最新情報を配信します。

Donation

シェアは、いのちを守る人を育てる活動として、保健医療支援活動を現在
東ティモール・カンボジア・日本の3カ国で展開しています。