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(認定)特定非営利活動法人 シェア=国際保健協力市民の会 シェアは、保健医療を中心として国際協力活動を行っている民間団体(NGO)です。

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[沖縄平和賞連載vol.8]乳幼児健診-地域、保健機関と連携図る-

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住民参加で健康づくり

シェアは、カンボジア国東部に位置するプレイベン州の農村地域で、「子どもの健康を守る」という目標のもと、公的保健センターで行われる乳幼児健診の強化に取り組んでいる。

内戦後30年近く経過し首都の経済発展は目覚ましく、多くの国際援助により全般的な保健医療状況は徐々に改善されつつあるものの、子どもの健康状態は近隣諸国と比べても劣悪である。10人に1人の子どもは5歳まで生き延びることができず、その大半が下痢や肺炎が重症化する前に治療を受ければ助かる命である。

本来ならば農村地域の住民にとって最も身近であるはずの公的保健サービスは、質・量ともに未だ不十分である。健康状態が悪化してから首都の病院に受診するため、子どもの命が助からないばかりか、後に残るのは交通費や付添の費用などで嵩んだ借金だけということも起こる。首都プノンペンの病院に行くために救急車を呼んだ場合、60ドルかかり(首都から車で3時間の距離にあるプレイベン州テックトラー地区の場合)、これは公務員である助産師の月給45ドルをはるかに上回る。とてもではないが、農村地域の住民が支払うことのできる額ではない。

乳幼児健診は公的保健サービスの一環であるが、1万人の住民に対し一つしかない保健センターの限られた保健スタッフのみでは定期的な実施は難しいため、保健ボランティアと呼ばれる地域住民の協力が必須となる。しかしながら、保健スタッフの大半が「報酬を払わないと保健ボランティアは働かない」と言って連携を避け、健診も全く行われていなかった。カンボジアの子ども健康状態を悪化させている要因の一つである。

そこで、シェアは、健診実施のための基本的な知識や技術の能力を高める研修に加えて、保健スタッフと保健ボランティアのコミュニケーションを円滑にするための取り組みとして、定期的な会議の支援や、協力関係がうまくいっている地域への視察などを行ってきた。この働きかけを通して、保健スタッフと保健ボランティアが共通の目標を持って一緒に活動する場ができた。また、積極的に活動に参加する保健ボランティアの様子を実際に見たことで、保健スタッフの姿勢も以前より協力的になった。更に、今まで一度も子どもの体重を測ったことがなかった親や養育者たちは、健診を通して子どもの成長を知ることができると、自ら定期的に参加するようになった。健診参加者同士も、「8kgになったのよ。あなたの子はどう?」とお互いの子どもの成長を喜び、最近では離乳食や家庭でのケアについて情報交換する姿も見受けられ、村人同士の学びあいが生まれている。一方、村に入り込んで行う健診活動により、今までほとんど把握されていなかった、重症化のリスクが高い栄養不良児の発見にも繋がってきている。 シェアは過去20年以上にわたり、既存の医療制度との調和を目指し公的保健サービス向上のための支援を続けているが、とかくトップダウンになりがちな仕組みの中で、関係する地域の人々が「健康なコミュニティづくり」の当事者となることを目標とした、人と場づくりに取り組んでいる。この、住民が健康づくりの中心となるプライマリ・ヘルス・ケアのアプローチは、時間はかかるが、確実に活動が地域に定着し、地域の健康の課題を解決に導く鍵なのだ。


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写真:乳幼児健診にて子どもの成長について説明するカンボジアの保健スタッフ(2010年12月、カンボジア・プレイベン州)


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虎頭恭子(シェアカンボジア プログラム・アドバイザー)

沖縄平和賞連載
沖縄タイムス 2011年9月4日(日) 掲載
この記事はシェアが2010年に第5回沖縄平和賞を受賞したことをきっかけに、1年にわたり沖縄タイムスに掲載いただいたコラムです。
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