【ブログ】帰還を待ち望む人々へ、プレアビヒア州での緊急支援
カンボジア事務所プロジェクトマネージャーの菅原です。
2025年12月中旬以降、カンボジアとタイの国境地域において武力衝突が激化し、61万人以上が避難を余儀なくされる深刻な人道危機が発生しました。(カンボジア首相官邸 2025年12月24日午後1時時点)。これを受け、カンボジア事務所では、支援物資の配布を中心とした緊急支援の準備を進めてきました。
その後、12月27日に両国が停戦合意に署名しました。
報告(Humanitarian Response Forum (HRF) - Situation Report 13: Cambodia-Thailand Border Situation (2 January 2026))によると、避難者数はピーク時の649,163人から減少し、避難者の3分の1以上にあたる240,014人が帰還したとされています。
一方、安全面への懸念から、カンボジア当局より居住地への帰還が許可されていない人々もいます。また、一度帰還したものの、安全状況への不安を理由に再び避難所へ戻る人々も確認されており、避難所内外で生活する人々の間では、人道支援のニーズが依然として高い状況が続いています。
1月上旬時点で、シェアが活動するプレアビヒア州では36,397人の避難民が確認されています。避難先はパゴダ(仏舎利塔)、学校、親戚宅など多岐にわたり、避難生活の長期化に伴い、郡やコミューン(集合村)の限られた予算を用いた支援が行われています。いくつかのNGOも支援を実施していますが、避難民が分散して暮らす地域では、支援が十分に行き届いていないのが現状です。
シェアは、これまでプレアビヒア州で築いてきた行政との信頼関係を活かし、避難状況の調査を実施しました。その結果を踏まえ、食料および衛生物資の配布を開始しています。
1月12日には、プレアビヒア州クーレン郡の3つのコミューンにおいて、親戚宅などに分散して避難している約100世帯、400人を対象に、米、調味料、食用油、洗剤、バケツなど、生活に欠かせない必須物資を配布しました。


これらのコミューンでは、7月から避難生活を続けている世帯も多く、避難者からは「家が国境近くにあり、なかなか帰還の許可が下りない」「田畑が心配だが、収穫ができず収入もない」といった切実な声が聞かれました。
今回配布した物資には10kgの米も含まれており、ある避難者は感謝の言葉を述べつつ、数日間の食料を確保できたことに安堵した様子を見せていました。シェアの支援は、生活を維持するために最低限必要な必須品目を中心としていますが、収入のない状態で避難生活が長期化する中、生鮮食品を含むさらなる支援ニーズが高いことも明らかになっています。

現在、停戦合意はなされているものの、国境地域の安全状況は依然として不透明で、多くの避難者が帰還の判断を保留したまま、不安定な生活を続けています。避難生活の長期化により、食料不足、栄養状態の悪化、衛生環境の低下といったリスクが、今後さらに高まることが懸念されます。特に、収入源を失った世帯にとっては、自助努力だけで生活を維持することは極めて困難な状況です。
こうした状況の中、避難者が尊厳を保ちながら生活を続け、将来的に安全に帰還できる環境を整えるためには、一度きりではなく、継続的な人道支援が不可欠です。しかし、地方自治体やコミューンの限られた予算だけでは対応しきれず、外部からの安定した支援が強く求められています。
シェアは今後も、現地行政や地域住民と連携しながら、避難者の実情に即した支援を継続していきます。
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引き続き、温かいご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。