【ブログ】母子保健事業のその後:活動終了後も続いている想い――フォローアップを続ける現地スタッフの記録
日本のみなさま、こんにちは。オクトです。
12月に入り、今年も残すところわずかとなりました。私たちが外務省の「日本NGO連携無償資金協力」を受けて実施していた“母子保健サービス活性化事業”が終了してから4か月が経ちました。
事業そのものは終わりましたが、私たちは“フォローアップ活動”として現地の先生や保健ボランティアと共に、日々小さな一歩を重ねてきました。
本日のブログでは、“その後”に焦点を当て、現場で起きている変化と、私たちがこれから目指す道についてお伝えします。
年末のこの時期、「振り返り」と「これからへ」の思いを込めて、どうぞお付き合いください。
母子保健事業「HAKBESIK」が終了してからも、私たちはフォローアップ活動を続けました。村や学校、ボランティアたちのもとを訪ねて、事業が終わった後の“今”を見届けるためです。
けれど、現実は厳しいものでした。
活動をやめてしまった保健ボランティアが多く、以前のような地域の動きはなかなか見られません。生活のために他の仕事を探す人も多く、「もうやる気が出ない」と語る人もいます。
そんな声を聞くたびに、私自身も心が沈みます。「続けてほしい」と願う一方で、インセンティブ(報酬)がない状況で活動を続けることの難しさを、痛いほど理解しているからです。
それでも、すべての活動が止まったわけではありません。学校では先生たちが保健教育を続けてくれています。手洗いや環境整備、給食前の衛生習慣など、私たちが提供した研修の中で学んだ内容を先生が授業で伝え、生徒たちが実践しています。「子どもたちの健康を守ることは、教員の役割の一部だ」と、先生たちは話してくれます。
学校を訪れると、子どもたちが手を洗ってから給食を食べたり、校庭を掃除したり、給食用の野菜を育てたりする姿が見られます。その光景に出会うと、私は心からうれしくなります。たとえ小さな変化でも、それが確かな希望の芽に見えるのです。
保健ボランティアの活動が止まってしまった現実には、正直、疲れと悔しさを感じています。私自身、フォローアップを続ける中で、「もう(この活動を)やめたい」と思ったことも一度や二度ではありません。相手がもうやる気をなくしてしまっているとき、こちらの声が届かないこともあります。
それでも私は、現地を回り続けています。
プロジェクトが終わっても、「SHAREとしての役割はまだある」と思うからです。それは、現場の人たちとつながり続け、医療者、ボランティア、先生たちの間をつなぐこと。彼らがもう一度立ち上がるきっかけをつくることが大切だと思います。
最近では、先生たちが自分たちで学校の水設備を修理したり、限られた予算の中で衛生環境を守る工夫をしています。これは、地域の自立への第一歩です。子どもたちが少しずつ健康的な生活習慣を身につけ、その姿を見た大人たちが変わっていく——そんな連鎖を感じる瞬間があります。
もしもう一度プロジェクトを行うことができるなら、私は学校保健を中心に続けたいです。子どもたちの健康を守ることは、未来をつくることだから。
プロジェクトが終わっても、すべてが終わるわけではありません。活動を続ける人がいて、変わっていく子どもたちがいます。現場は静かに、でも確かに前へ進んでいます。私たちはその歩みを見届け、彼らの新しい一歩を支えていきたいと思います。

東ティモール事務所 フィールドオフィサー
オクタビオ・コルテ レアル(オクト)