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(認定)特定非営利活動法人 シェア=国際保健協力市民の会 シェアは、保健医療を中心として国際協力活動を行っている民間団体(NGO)です。

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[沖縄平和賞連載vol.1]私たちの出発-市民主体の医療活動-

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カンボジア情勢に触発

NGO・シェア=国際保健協力市民の会が誕生した1983年は、日本が経済的な急成長を遂げ、先進国の仲間入りを果たし、ODA(政府開発援助)による途上国への開発協力を本格化させていく時期と重なる。またこの時代に、日本の市民社会に覚醒を迫る重大な事件も起きた。インドシナ戦争の悲劇的な結末としての、何十万という難民の発生だ。とくにカンボジア難民の窮状は、広く伝えられ、多くのボランティアを現地に駆り立てることとなった。シェアの草創期のメンバーもまた、カオイダン難民キャンプで、医療活動に従事しており、日本に市民主体の援助活動を興していくことへの強い志を、彼らの心に醸し出した。

シェアの生成期の大恩人に、故・栗野鳳(おおとり)氏がおられる。外交官としてカンボジア大使、シリア大使などを歴任され、外務省退職後は広島大学の平和科学研究センター長を務められ、国連と日本をつなぎ、多くの後進やNGOの育成に尽力された。温容のなかに、いつも襟を正さざるを得ないような、情理を兼ね備えたお話を諄々と説かれる方だった。栗野氏には、一生向きあうことになる痛切な体験があった。1974年、ポルポト軍が、プノンペンに入城する直前まで、和平のために悪戦苦闘された末に、涙を呑んで国外脱出したことだ。その後に、ポルポトによって二百万人とも言われるカンボジア人の尊いいのちが奪われたことに、栗野氏は一生をかけて、人類の一人として償いたいという気持ちを保ち続けられた。

シェアに対しても、やさしさと温かい支援の実を示される一方、本気でいのちを守り、育てるために奮闘しなければNGOの価値はないと、叱咤された。こうした方々の貴重な助言や励ましをいただいて、シェアはその後、エチオピアや、カンボジア、タイ、日雇い労働者の寄せ場・山谷などで、Health for All(すべての人に健康を)の理念に基づいて、地道な保健活動を展開していくことになる。そのような私どもの活動の一端を、これから、具体的な記録とともに、読者にお示ししていきたい。

シェア発足から三十年近くの歳月が流れた後、今回沖縄平和賞という、私どもNGOの人間にとって、もっとも栄誉ある賞を授けられることになり、県民の皆さまになんと感謝申し上げればよいのか、言葉に尽くしがたい。二十一世紀の日本が、真に世界に開かれ、名誉ある位置と役割を引き受けていくためには、私たちは「琉球弧」の豊かな視点や平和思想を、今後の国際協力の活動に生かしていかねばならないと、改めて強く感じている。

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写真:母子保健活動で、村の母親たちに妊婦健診の大切さを訴える保健教育もシェアの活動の一つ(1990年、カンボジア)


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本田徹(シェア代表理事、医師)

沖縄平和賞連載
沖縄タイムス 2011年1月30日(日) 掲載
この記事はシェアが2010年に第5回沖縄平和賞を受賞したことをきっかけに、1年にわたり沖縄タイムスに掲載いただいたコラムです。
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