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[マイノリティと健康vol.2] 「マイノリティと健康」への参加と発達障害について、最近思うこと

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「マイノリティと健康」への参加と発達障害について、最近思うこと


20150216.jpg本田徹氏に声をかけていただいて、「マイノリティと健康」というテーマのもと、発達障害の部会に参加する機会をいただいた。
キャリア、個性、考え方は、当然ながらパネリストの皆さんは、まったく異なる。年齢にも幅がある。どんな進行ができるか不安が大きかったが、皆さんのご協力のおかげで大変に有意義な会とすることができた。
まず、発達障害当事者の方の声をじかに聞けたこと。そして本音で論議できたこと。得難い体験だった。治療を診察室に限らず様ざまな場所にアウトリーチして、みずからが患者さんを求めるように医療ケアを提供しようとしている医師。フットワークの軽さは学びたいと思った。そして旧知の医師の方々の、年季の入った応答。やはり安心感があった。
論議のときにはうまく言葉にできなかったが、発達障害像が、多様化し始めているのではないかという印象をもっていた。当然のことかもしれないが、発達障害が広く認知されるにつれ、その内容や概念は少しずつ軸を移していく。あるいは純粋型から混在型へと同心円の外周を移していく。どこを発達障害と見るか。自ずと多様性を帯びる。そういうことは、起こりうるのではないか。
そんなこと考えていたのだが、議論の途中から、そもそも多様な像を見せることこそ発達障害の特徴の一つではないか、と考えるようになった。ここでの「多様な像」とは、これまで言われてきたような「一人ひとり異なる個性」といったこととは、違うことを言いたいのだが、うまい言葉を見つけられずにいる。



20150212_3.jpg筆者はここ10年ほど、都内台東区に本部を置くあるNPO法人の、事例検討会議に参加してきた。元々ホームレスを支援する団体だったが、支援対象者の高齢化や実態の多様化により、高齢困窮者だけではなく、二〇歳前後の若い人たちの支援を求められる機会がいっきに増えてきたのである。
若年層の現状は、ほんとうに様ざまで、知的・発達障害やそのほかの精神疾患を抱える人(複数の診断名をもつ人もいる)、児童養護施設や刑事施設を出所した人。保護者が高齢化し、要介護化し、世帯分離をして生活保護を受給し、そこから自立へ向けようとしている人。ハローワーク経由で就労支援の枠に入って支援を受けている人など、ほんとうに各人各様である。そこに、特別支援学校の卒業生が、数名ほど含まれている。家庭での養育不能が著しいために、不和、暴力、貧困などの要因が重なり、児童養護施設へ。
詳細は省かせていただくが、事例検討会から得る彼らの印象は、統合失調症の純粋型、双極性障害の純粋型、発達障害・自閉症スペクトラム障害の純粋型、といったタイプが減少しているように見えることだ。さまざまの混合タイプ、一つ一つの症状は重篤というほどではないが、それぞれが複雑に組み合わさって多様な症状をつくりあげ、全体としては決して小さくない「生きづらさ」を作りあげている。そんなタイプなのである。 プチ抑うつ的なネガティブモードに入れば、思いがけなくも回復に長期間を要する。ハイテンション期に入ると、それこそ休息することを知らず、倒れるまで(これは比喩ではない)働き続ける。このサイクルが繰り返されながら、へとへとになっていく。
支援する側には、一つの典型的障害への支援パターンだけではなく、多軸的な支援や配慮が求められることになる。もちろんよりきめ細かな観察や見守り、声かけは、何よりも重要である。重装備をした重量級の支援というよりも、小さなケアを、丁寧に、きめ細かに継続していくことがとても重要のようなのだ。
素人の勝手を言えば、医師の方々にとっては、おそらく診断を付けにくい、という患者さんたちを多く診るようになっているのではないかと、ひそかに推測しているのだが。
私たちの社会は、おそろしく複雑なシステムと人間関係の網の目をつくりあげた。このことは、あるタイプの人たちにとっては、彼らの生きづらさ自体がとても複雑になってしまったことを意味しないか。この生きづらさは、まずマイノリティの人たちを直撃する。それが何か。「マイノリティと健康」の会に参加して以降の、筆者の宿題となっている。

2014年12月27日

satog.jpg佐藤 幹夫
フリージャーナリスト、フリー編集者。批評誌「飢餓陣営」主催。
著書『知的障害と裁き』『17歳の自閉症裁判』、『ルポ高齢者ケア』ほか。

DVD:第29回日本国際保健医療学会 東日本地方会「マイノリティと健康 いのちの格差をどう縮めていくか」

dvd.jpg2014年5月24日に国立国際医療研究センター(東京)で行われた、第29回日本国際保健医療学会東日本地方会「マイノリティと健康 -いのちの格差をどう縮めていくか-」の記録DVDです。6枚組みでの販売です。

<1巻>
Disc.1:開会式、基調講演、全体会
Disc.2:ホームレス
<2巻>
Disc.3:難民
Disc.4:在日外国人
<3巻>
Disc.5:HIV/AIDSとセクシャルマイノリティ
Disc.6:発達障害者

価格(税込): 4,320 円

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