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[Dr.本田徹の世界保健紀行vol.4]アフガニスタン

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アフガニスタンでの医療倫理ワークショップ、看護や医の現場でいのちの大切さをもう一度見直すために

アフガニスタンへの2度の旅
昨年の私の世界保健紀行は、5-6月がスタートでした。アフガニスタンのニングラハル県でJVCが行っている地域保健プロジェクトのトレーナー・評価者として呼んでいただき、農村地域での保健ボランティア養成や医療の質とアクセス改善活動に3週間参加しました。その詳細は、シェアのホームページにある小生のブログ「ひとりごと20」をご覧ください。私ごとですが、このアフガンミッション最後の日に、1年半肉腫とたたかってきた、敬愛する義兄の訃(ふ)が届き、いのちのかけがえなさを痛切に思ったことです。

保健紀行の棹尾(とうび)は再びアフガニスタンで、11月末から12月にかけて首都カーブルとバーミヤンで開かれた、医療倫理(Medical Ethics)のワークショップでした。本体は、JICAの母性保健(Reproductive Health)プロジェクトで、2004年以来彼の地で藤田則子医師と佐藤真理助産師らが地道に進めてきた母子保健サービスの質改善活動としてあり、医療倫理はその大切な一環をなすものと位置づけられてきました。実は2005年に国立国際医療センターで開始された、アフガニスタンやマダガスカルなどの国々からの、医師、助産師、看護師、医療行政官などを対象としたリーダー研修の中で医療倫理が取り上げられ、私自身、臨床医やNGOの人間としての体験に基づいて、このテーマについて講義をする機会を与えられていたのです。保健副大臣や看護局長、母性保健局長らがこの研修に参加されていたことが、今回の私のミッションの伏線、味方になったとも言えます。

保健省での指導者研修会(TOT)
アフガニスタンでは、2005年以降、欧米や日本からの莫大な援助をもとに、国の地域医療政策が制度と実質の両面で復興整備され、人々の医療へのアクセスはすこしずつ改善しています。とは言え、母子保健ひとつとっても、病院や保健センターで受ける医療サービスやケアは、スタッフの医療技術、患者接遇、倫理的配慮などの面で数々の問題を抱えています。この母性保健プロジェクトでは、保健省やマラライ病院(アフガニスタン最大の産科系教育病院)のスタッフがトレーナーとなって、第一線の母性・小児医療を担う現場スタッフに、たとえば安全な助産技術に関して講習するといったことを行ってきました。そこで養成されたトレーナーが、さらに末端の保健施設でみずからトレーニングを実施するという、いわゆるTOT(Training of Trainers)を展開していくためのマニュアル作成も進んでいます。

2008年11月末から2週間ほどの滞在中、私は医療倫理ワークショップのコーチとして、①「現代世界における医学と看護学の倫理的側面」という講義、②事例に基づくグループワークやロールプレイのファシリテータ、③医療倫理TOTの学習プランやマニュアル作りへの助言、などをさせていただきました。これらの成果に基づいて、08年はじめからは、カーブル市内の病院・保健センターでTOTが始まり、参加者の関心や反応もなかなかよいと聞いています。アフガニスタンのように、長年の戦乱で人のいのちを大切にすることが困難だった社会だからこそ、医療現場でそうした価値観を生かし、ケアの質を高め、真に患者さんの負託に応えたいという、医療者の気持ちや問題意識も芽生えているのです。

これからの時代のバイオエシックス
木村利人先生(恵泉女学園大学長)がおっしゃっているように、バイオエシックスは、人のいのちはもちろん、さらに地球生命界のいのち全体を大切にする21世紀の時代の価値観を表すものです。その意味で、UNESCOによる「生命多様性(Biodiversity)に関する世界宣言」(2001年)と、「バイオエシックスと人権に関する世界宣言」(2005年)とは、不可分の「対」(つい)になったもの、と言えます。今なお戦火が絶えないアフガニスタンの人々の平和と健康が回復し、この国にバイオエシックスの貴重な明かりが灯り続け、広がっていくことを祈ってやみません。

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写真:医療倫理ワークショップ バーミヤン 終了時記念写真

2008年10月

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