今回の震災では、多くの国際NGOも被災地支援に入っている。しかし、国際NGOが日本国内で活動することに違和感を持つ市民も多いだろう。受け入れる側がNGOという組織やその活動について予備知識を持たない中、外部者であるNGOが被災地に入って支援活動を進めるのは想像以上に難しい。
支援というと、物資や労力を提供する側が心理的に上位に立ってしまいがちであり、結果として、受け入れる地元の人々に対し、予期せぬ苦痛を与えることになってしまう危険性がある。支援とは、極論すれば他者の生活空間に対する干渉であり、混乱やトラブルを回避するには慎重な態度と一定の知見が求められる。
多くの国際NGOが支援を開始する中、5月9日には、JANIC(国際協力NGOセンター)が主催する東日本大震災支援NGO情報交換会が、NGOが災害支援をする上での重要ポイントをまとめた。
1.地元の社会福祉協議会や行政を尊重する、2.現地のニーズから出発する、3.現地のキャパシティ・ビルディングを重視する、4.現地の価値観、文化などを尊重する、5.災害ボランティアセンターにおけるボランティア・コーディネーションの重要性。6.脆弱なグループへの支援、の6点である。
これらは「ガイドライン」ではなく、あくまでも阪神・淡路、中越地震などで活動した経験ある有志グループからの「リコメンデーション」(推奨項目)として出されたものであるが、NGOが考える緊急支援活動の理念が良く現れている。シェアもまた、概ねこの6項目に沿った形で活動を進めている。
行政や自衛隊、DMAT(災害派遣医療チーム)など、大規模支援の重要性は言うまでもない。避難所を短期間に設置し、生活支援や医療支援を提供したのはこのような大規模支援活動である。その一方で、小規模避難所での不自由な生活を余儀なくされた人々や、自宅で茫然自失の状態で座り込んでしまった人々に声をかけ、寄り添いながら黙々と手を差し伸べてきたのは、ボランティアやNGO/NPOのスタッフたちである。電気もなく、重機も使えない状況では、文字通り、人間の「手」だけが頼りである。被災地でNGOに求められるのは、このような「手助け」であって、そもそも、大規模な物資の支援などが期待されているわけではない。国際NGOの多くは、ふだんから住民に寄り添い、その地域の文化的特性や価値観を尊重しながら活動している。その特性を生かした活動は地味で理解されにくい面もあるが、生活者中心の復興の実現には無くてはならないものだと考えている。国内外を問わず、NGOが目指す地域支援は、常に地元住民が主役である。

写真:気仙沼市の仮設住宅入居者への巡回訪問。一戸、一戸訪ね健康相談を行う(2011年6月6日、宮城県気仙沼)

小林由紀男(シェア事務局長)
沖縄平和賞連載
沖縄タイムス 2011年6月26日(日) 掲載
この記事はシェアが2010年に第5回沖縄平和賞を受賞したことをきっかけに、1年にわたり沖縄タイムスに掲載いただいたコラムです。