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母子保健サービス活性化プロジェクト

活動中

東ティモール

プロジェクト背景

妊娠出産時に保健医療サービスをみんなが受けられる環境を

東ティモールは独立から20 年が過ぎ、開発が進む中で保健医療施設や医療従事者の数も増えてきました。しかしながら、妊婦健診や乳幼児健診を受け、専門家の立会いの下に行う出産ができていない住民もまだ多く暮らしています。特に農村部や僻地では、医療施設までが遠いだけでなく、住民の保健情報への理解が不足していたり、僻地での保健医療従事者が少なかったり、医療従事者がいたとしても母子保健サービスを提供できるスキルが無かったりして、住民のサービス利用の障壁となっています。その結果、アタウロとメティナロでは約半数の母子が未だ健康診断や施設分娩を利用できていません。また新型感染症の影響によっても保健医療サービス提供は影響を受けやすく、COVID-19の感染症拡大時には保健アクセスの悪化に拍車がかかりました。そこで東ティモール事業では2022 年から妊娠や出産を取り巻く母子保健サービスの課題への取り組みを開始しています。
保健ボランティアへ研修を行っているシェアスタッフ

プロジェクト内容

プロジェクトでは住民側、医療従事者側、医療従事者を管理する保健行政の三者が課題改善に向けて取り組むことで、母子保健への関心や理解を促進し、母子保健サービスが身近になることを目指しています。そのために住民リーダーや保健ボランティア、教員、医療従事者などの地域の保健人材の育成支援を行います。

教員による保健教育練習の様子

地域住民の母子保健理解向上のための保健教育活動

  • 地域住民の母子保健への理解を高めるための保健教育活動を推進しています。保健ボランティアへの研修や、村長などのリーダー向けワークショップを通じて、母子保健課題への意識を高め、学校での水道設備整備や感染症予防教育を促進しています。

研修を終えた保健ボランティアが住民に保健情報を伝える様子
整備された水設備で手洗いを実践する小学生
キーパーソン会議で地域の保健課題をを共有

保健医療従事者の母子保健サービス能力向上

  • 保健医療従事者の母子保健サービスに関する知識、態度、技術の向上を目指し、普通分娩研修の提供や保健センターでの勉強会支援、医療器材の整備を行っています。これにより、母子保健サービスの質が向上し、住民がサービスを利用しやすくなります。

キーパーソンからのリクエストに答える医療者
医療従事者は知識技術のアップデートをしケアへの自信を向上
保健研修参加者の発表

保健医療サービス管理システムの改善

  • 行政の母子保健サービス提供の管理能力強化を目指し、保健センターや保健省との協力を通じて、管理運営面での課題に対応しています。保健センターの母子保健支援会議立ち上げ、管理者研修、車両供与と維持管理、県保健局や保健省によるモニタリング活動などを支援しています。
保健省による保健センターのモニタリング活動
スタッフ同士でディスカッション
母子保健会議

今年度の報告/成果と次年度の計画

今年度の報告/成果

 

  1. 村長と協力!保健ボランティア活動を通じて地域の母子保健を向上!
    2023年、私たちは東ティモールのアタウロとメティナロにおいて、母子保健と妊娠ケアを推進するために、2回にわたる保健ボランティア研修を実施しました。この研修では、妊娠の基本知識、妊娠期の健康リスク、衛生管理など、実践的な保健教育に焦点を当てました。22集落から計45名が研修に参加し、母子保健の知識と技術を深めました。東ティモールでは妊娠に関する迷信が根強く、多くの妊婦が正しい健康情報にアクセスできていません。私たちの研修を受けた保健ボランティアは、村長らと協力し住民を集め、母子保健情報の普及に努めています。これにより、妊娠中の女性や赤ちゃんの健康改善を目指しています。
  2. 子どもたちを守るデング熱予防教育は、地域にも波及!
    202212月、学校保健を強化するための保健教育実践研修を実施しました。この研修に参加した教員たちは、20231月から、子どもたちを対象にCOVID-19、下痢症、デング熱予防に焦点を当てた保健の授業を各学校で展開しました。私たちは教員が予想以上に多くの授業を実施することに驚きましたが、これは参加型の手法と子どもたちが飽きないような工夫を取り入れた結果だと思います。アタウロの学校の教員からは、デング熱を媒介する蚊を減らすため生徒と掃除を積極的に行った事例が報告されました。この取り組みは、地域住民にも波及し、地区全体での清掃活動や蚊の発生予防のため窪地を埋めるなど住民の予防行動につながりました。
  3. 助産師さんも知らない?助産師と医師のための分娩研修
    2023年8月、国立保健研究所と共同で、妊娠と出産の知識を深めるための分娩研修を実施しました。この研修は、助産師や医師が正しい分娩介助の技術やパルトグラムの記録方法を学ぶことを目的としています。アタウロやメティナロで多くの医療従事者が、これらの重要な知識・技術を十分に理解していない現状に対応するため、座学と病院での実習を通じて集中的な学習の機会を提供しました。昨年の研修に参加した離島アタウロの助産師は、研修を通じてヘルスポストでの出産介助に必要な自信と技術を身につけました。これにより、地域の妊婦さんたちがヘルスポストでも安心して出産できるようになりました。

本プロジェクトの
NGOスタッフブログ

  • 東ティモールの医療現場から~院内勉強会をジブンゴトにできたワケ

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    • 東ティモール事務所 フレリア・ファティマ・ピント(Anene)
  • 給水設備支援のその後:「ものを大切にする心」を育むには

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    • 東ティモール事務所 フィールドオフィサー オクタビオ・コルテ‐レアル(Octo)
  • 教室で話す「性」: 東ティモールの学校で起きた教員の変化

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    • 東ティモール事務所 ロジーニャ・デ・ジェズス・ソアレス(Rojinha)

プロジェクト概要

活動期間 2022年3月~20253
活動目的 住民の母子保健に関する理解を深めるとともに、母子保健を中心とする保健医療サービスが改善される
活動対象者
  • 約18,000 名
活動地域 ディリ県メティナロ郡(全3村)、アタウロ特別県(全5村)
運営体制

25名(東京担当1名、現地駐在員2名、現地スタッフ15名、アドバイザー7名)

予算規模 約1億5千万円(事業費)
主な支援者・
ドナー・財源

日本NGO連携無償資金(外務省)、友愛援助(ベルマーク教育助成財団)、寄付収入

Support

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