経済状況が厳しく、インフラも十分に整っていない農村地域で子どもの健康を守るためには、住民自身の子どものケアについての知識や行動が改善され、住民に最も近い医療機関である保健センターのスタッフが、栄養不良の子どもを早期に発見し、適切に対応できる仕組みが必須です。シェアは保健センターや保健ボランティア、自治体といった地域の人々と協力しながら、子どもの健康増進を目指し①予防、②診断、③治療を3 本柱とした活動を実施しています。
プレアビヒア州は、2018 年に実施したベースライン調査では、4 人にひとりの2 歳未満児が慢性的な栄養不良の状態であることがわかりました。さらに、乳幼児の栄養に関して適切な実践ができる養育者の割合は30%にとどまっています。農村地域での子どもたちの健康を、現地の住民自身で守れるように、シェアは保健センタースタッフや保健ボランティア、自治体と協力しながら、母親の胎内に命が宿ってから2 歳の誕生日を迎えるまでの1000 日間に焦点を当てた「子どもの栄養改善1000 日アプローチプロジェクト」を実施しています。
コミュニティでの子どもの健康増進活動(包括的乳幼児健康診断、妊産婦および養育者への健康教育、離乳食教室等の啓発活動)定着により、2 歳未満児の栄養状態が改善される
プレアビヒア州トゥバエンミエンチェイ郡保健行政区内、4 保健センター管轄区(39 ヶ村)
・直接対象者:プレアビヒア州トゥバエンミエンチェイ郡保健行政区内4 か所の保健センターとそのスタッフ48 名、保健ボランティア80 名、自治体女性子ども委員会11 名、計131 名
・間接対象者:2 歳未満の乳幼児1,100 名とその養育者および妊産婦約
890 名
シェアは住民が自らの健康を自らで守るプライマリ・ヘルス・ケアの考え方に基づき、これまで地域の中で保健に関わる人材を育成することに力を注いできました。現在は2002年に保健省が導入した制度で、地域の保健センターと住民とをつなぐ役割を果たす「保健ボランティア」と呼ばれる人たちの人材育成に取り組んでいます。
住民から選ばれる保健ボランティアが、予防接種や妊婦健診など保健センターの提供する保健サービスの情報を村の人たちに伝え利用を促すことや、住民への保健教育を通じて病気の予防についての知識を広めることが出来るようになることを目指しています。
写真(左):体重測定方法についての実習。
写真(中央):保健ボランティア研修の様子。理解度をフラッギング(旗振り)で評価。
写真(右):保健教育について練習する保健ボランティア。
写真(左):健診活動で積極的に保健セターに協力する保健ボランティア。
写真(中央):体重を測ったら、イエローカードという子どもの健康手帳に記入する。
写真(右):年2回発行する、保健ボランティアの活動の様子が報告されたニュースレター(クメール語)を読む保健ボランティア。
住民に最も身近な保健施設は、約1万人の地域住民に対し1棟の割合で配置されている保健センターです。保健センターのスタッフは、各村の保健ボランティアと協力して巡回予防接種や妊婦健診などの保健サービスを住民に提供し、地域保健を推進する役割を担っています。そのためには、保健センターのスタッフと保健ボランティアとの緊密な連携が不可欠ですが、必ずしも全ての地域で協力関係が構築されているわけではありません。
シェアは、保健センターのスタッフが、地域の保健ボランティアや伝統助産師(*)からの協力を得て、円滑な保健センター運営が出来るようになることを目指し、活動計画策定やモニタリング・評価、また保健ボランティアや伝統助産師への支援、指導、モニタリングに係る研修や実地訓練を通して側面からの支援をおこなっています。
仕事の効率性、スタッフ間や関係者との情報の共有やチームワークの重要性、あるいは保健ボランティアとの良好な協力関係構築の大切さについて、現地の人たちと共通の認識を持ち活動を進めることは短期間に出来ることではありません。シェアは長期的視点に立ち、将来的に現地の人たち自身で継続的に円滑な保健センター運営が可能となるように、時間はかかりますが、現地の人たちとの対話を重ね、着実に成果につながる地道な協力を続けています。
* 医療資格を持たないで出産の介助をする村の産婆さんを指します。助産師としての正規の訓練を受けていません。
写真(左):保健ボランティアとの協力体制を学ぶため、スタディツアーを実施。
写真(中央):シェアスタッフと乳幼児健診活動に向けた活動計画を考える保健センタースタッフ。
写真(右):シェアスタッフから子どもの成長に必要な栄養について学ぶ保健センタースタッフ。
写真(左):保健ボランティア向けの乳幼児健診研修でファシリテーターをつとめる保健センタースタッフ。
写真(右):郡保健局との保健センター運営強化会議。
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