質問の嵐!ひとりじゃないと感じたミャンマー人母親学級
シェアに入って1年9か月が経ちましたが、知らないことがどんどん出てきて、在日外国人支援の奥深さに日々勉強の必要性を感じる在日外国人支援事業部の山本貴子です。
1月21日に、「ミャンマー人妊婦のための母親学級」を開催しました。シェアでは、昨年からオンラインでの母親学級を開催しています。新型コロナウイルス感染症の流行により、保健センターや病院で母親学級が開催できない状況があった中、ますます情報へのアクセスが難しくなった外国人妊婦へ必要な情報を届けようと始め、今回が3回目の母親学級になりました。ミャンマー人を対象とした母親学級は今回が初めて。たくさんの質問が飛び交い、楽しい雰囲気で行われた母親学級の様子をお伝えします。
母親学級当日は、6名のミャンマー人妊婦と、1名のミャンマー人相談員の方がオブザーバーとして参加してくれました。
しかし、開催日の2週間前には、申込者が0人で心配しました。今回は、はじめてのミャンマー人を対象とした母親学級だったため、これまでミャンマー人コミュニティとのつながりが少なく、情報を拡散するのに苦労しました。主な対象地区としている4区(新宿区、豊島区、中野区、杉並区)の保健師や病院の職員だけでなく、シェアにつながりのある団体や関係者、通訳者に協力してもらい、ミャンマー人がよく見るSNSやメーリングリストや飲食店にチラシを掲載してもらいました。たくさんの方のご協力のおかげで、オンライン開催だったこともあり、関東から遠く離れた地域からも参加してくれました。
参加者からの質問に答える助産師でスタッフの松尾(中央)と通訳者(左右)
参加者は、最初の自己紹介から「実は聞きたいことが3つあるの」と積極的な姿勢で臨み、母親学級では終始、参加者からたくさんの質問がありました。質問は、妊娠中の体調のことや、食べて良い食品や分量、栄養のこと、お産の経過の疑問、産後の手続きについて等、多岐にわたりました。助産師、栄養士、保健師の講師陣も、参加者が知りたいと求めてくれるなら応えたいと会話や説明が増え、活発な雰囲気の母親学級となりました。
その中で、参加者同士で教えあう場面が何度かあり、印象的でした。 「便秘になりやすく、対処法を知りたい」という質問には、助産師が答えるだけでなく、他の参加者が、「自分はこんな薬を病院でもらっているよ」「私も同じお薬もらっている」と画面越しに見せてくれたり、「(私の場合は)梅干しを食べるとお通じが良くなるよ」と教えてくれました。
また、「引っ越し先で出産予定だが、英語が通じる病院を探したい」という参加者に、助産師から「担当の保健師に相談してみてほしい」と伝えると、「保健師とはどのようにつながるのか。担当の保健師がいない」との答えがあり、他の参加者も「私も担当の保健師を知りたい」と声をあげました。今回講師を担当した保健師から「妊娠届を出して母子手帳をもらうと保健師に連絡がいく。保健センターや役所に電話すると担当の保健師を教えてくれる」と話をし、参加者の一人が、「自分の経験を言いたい。母子手帳を取りに行く時に、何かあったら相談してねと書いてある紙をもらうはず。そこに担当の保健師の電話番号が書いてあった」と情報を共有してくれました。
母親学級の参加者で記念撮影
参加者から、「自分ひとりだけ悩んでいるのかと思ったら、他の妊婦も同じような悩みを持っていて、お互いの情報を共有できてよかった」、「他の人が質問したことも勉強になることがあった」という感想がありました。参加者は、お互いに妊娠中の悩みがわかるからこそ、自分が経験したことを教えてあげたいと思うし、一緒に学び助け合おうという気持ちにあふれているように感じました。
また、2人目を出産予定の参加者は、「来日間もなく、つわりもあり、ストレスが大きかったが、今日参加したことでストレスや心配事が減ったし、自分だけでなく他にも妊婦がいることを知れて良かった」という感想を話してくれました。母親学級を通じて「ひとりじゃない」と感じてくれたのは、母親学級を開催して何より良かったことだと思いました。
参加者は「またこのような機会があれば参加したい」と話してくれたので、オンライン開催でも、休憩時間に参加者同士が自由におしゃべりできるような場を用意したりなど、産後も励ましあえるような関係性を作れる場が持てるような工夫が出来たらいいなと思いました。
※この母親学級は、シェアが赤い羽根福祉基金のご支援を受けて実施している「外国人母子の健康を守る切れ目ない支援体制構築事業」の一環として行いました。
在日外国人支援事業担当
山本 貴子
シェアは、いのちを守る人を育てる活動として、保健医療支援活動を現在
東ティモール・カンボジア・日本の3カ国で展開しています。