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《シェアは主張します》 いま、入管法成立によって在日外国人の「社会的健康」権がとても脅かされています

シェアが主張すること

《シェアは主張します》 いま、入管法成立によって在日外国人の「社会的健康」権がとても脅かされています

皆さま、WHOの健康の定義をご存じでしょうか?

「健康」とは、身体的、精神的、社会的に健康な状態をいい、また、到達しうる最高基準の健康を享有することは、人種、宗教、政治的信条又は経済的若しくは社会的条件の差別なしに、すべての人が有する基本的権利のひとつであると述べています。すべての人への健康権保障は人類共通の理念となっています。

私たちシェアはこれまで、この理念に従い、在日外国人の健康支援を30年以上行ってきました。
すべての外国人住民を地域で共に暮らす生活者として、隣人として、日本人と差別することなく、その命と人権と尊厳を守ることに日々奮闘しています。

しかし、いま、私たちはこれまでになく、すべての在日外国人の方々の「社会的健康」権がひどく脅かされていると感じています。

それは、2024315日に閣議決定された入管法「改正」案に含まれる永住許可の取消しについての法案で、入管法上の義務を履行しないときも、取消し事由のひとつとなっており、たとえば、在留カードを持ち歩いていない、在留カードの更新を忘れた、といったような場合も、在留資格の取消しの対象になっているからです。

日本で40年以上、実直につつましく暮らしてきたある高齢の方は、この法律の内容を知り、「なんということをするんだ、とんでもない、哀しい、どうして!」と叫びました。もし、この法律が成立してしまったら、それまで、日本で築いてきた生活基盤とその人生、社会的資源ネットワーク、人々との歴史が根こそぎ、奪われてしまうからです。どれほどの恐怖感でしょうか。

「永住者」の在日外国人の方には、高齢者の方々が多くおられます。もし、認知症になれば、常にカードを持ち歩くこと、在留期日を確認し、役場に行くことはほぼできなくなります。カードがどこに置いてあったのかも忘れてしまいます。そのカードの意味も理解できなくなります。孤独・孤立の中で生活し、支援者もいません。からだも不自由です。日本語で、話す、読む、書くことができません。そのような方から、このような些細な理由で「永住権」を剥奪するのでしょうか?日本から、どこか他国へ追放するのでしょうか?

それは、人道・人としての道から外れています。いったい、この国で何がおきているのでしょうか。

現在の入管法の中には、住所変更の届出に関する罰則規定があります。
中長期在留者の外国人は、住居地を定めた日から十四日以内に、住居地の市町村に届け出なければなりません。届出に遅れただけで、二十万円以下の罰金に処されます。

201279日、「住民基本台帳法の一部を改正する法律」が施行されたことに伴い、外国人住民も住民基本台帳制度の適用対象となりました。しかし、日本人が届出を遅れたら、五万円以下の過料ですみますが、外国人住民は、「罰金」に処され、刑事罰「前科」となります。過料は、行政法上の軽い禁令を犯した者に科される金銭罰で、前科が付きません。同じ地域住民でありながら、前科がつくか、つかないか、とてつもない差異です。この罰則規定の矛盾を当事者の方も支援する側もほとんど、気づいていなのではないでしょうか?

今回の法改定はこの罰則の上に、さらに永住権・生存権・社会権はく奪罰が「追加」されるのです。
当事者にとって、これほどの、恐怖はありません。世界中で、永住権を持っている外国籍の住民にこのような微細なことで永住権をはく奪し、在留資格を亡くさせ、国外追放することも可能になる法律がある国は他にあるでしょうか? 

この法案は、絶対的に不可避的に、「日本人の不利益」となります。もし成立してしまったら、日本は本当に世界の「先進国」から凋落します。あまりにひどい「人権ダブルスタンダード」は世界からの信頼を失うからです。日本人にとっても、とても残念で、悲しいことなのです。

昨年、開催された広島G7サミットでは、移民を含むすべての人の人権と尊厳を堅持すると宣言しています。

G7 Hiroshima Leaders’ Communiqué  May 20, 2023

<人権、難民、移住及び民主主義>

  1. 我々は、世界人権宣言に示された全ての人の人権と尊厳を堅持し、誰もが社会に完全にかつ平等に参加できるようにするとの我々のコミットメントを再確認する。我々は、人権侵害に対してしっかりと声を上げると同時に、対話と協力を通じて、人権を守り促進しようとする国々及び市民社会団体の声に耳を傾け、これを支援することにコミットする。

 

我々は、難民を保護し、避難を強いられた人々や受入国及びコミュニティを支援し、難民及び避難民の人権及び基本的自由の 完全な尊重を確保し、性的及びジェンダーに基づく暴力からの自由を含む紛争、危機及び避難により悪化した、脆弱な状況に直面する人々や疎外された人々の権利擁護と促進 に対するコミットメントを再確認する。

 

  1. 我々は、世界における安全で、秩序ある、正規の移住を確保することへのコミットメントを再確認する。我々は、移民が我々の国にもたらし得る重要な経済的及び社会的利益を認識する。我々は、移民としての地位にかかわらず、人権及び基本的自由への最大限の尊重を確保することにコミットする。

また、100年以上前の19192月パリ講和会議では、当時海外に移民する日本人が急増する中、日本政府は「国際連盟規約」に人種差別撤廃条項を入れることを求め、世界各国に、国籍・人種による差別待遇の撤廃を訴えています。

私たちは、「外国人」「日本人」の区別することなく、「人間人」として、このような非人道的な法律が、決して日本で成立しないように強く願います。

2024年610
シェア=国際保健協力市民の会
代表理事 仲佐保
理事 李節子

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シェアは、いのちを守る人を育てる活動として、保健医療支援活動を現在
東ティモール・カンボジア・日本の3カ国で展開しています。