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【東ティモール事業ブログ】東ティモールの医療現場から~院内勉強会をジブンゴトにできたワケ

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【東ティモール事業ブログ】東ティモールの医療現場から~院内勉強会をジブンゴトにできたワケ

日本の皆さん、お元気ですか?フレリアです!最後まで楽しく読んでいただけますように♪

日本では医療スタッフが日常的に病院内で勉強会をしていると聞きます。東ティモールでは院内勉強会というコンセプトがありませんでした。そんななか、シェアの活動を通してみんなが勉強会をジブンゴトにできた、そんなエピソードをお伝えします。

東ティモールで医療従事者になると

東ティモールでは大学を卒業したら保健省へ登録されます。国家試験などはなく、「医療従事者」として働くことが可能です。就職先はだいたい地方の保健センターもしくはヘルスポスト。首都のディリにあるプライベートクリニックで働く人もいますが、新人ではまずありえません(それなりに高度な技術=経験やクリニックを開設した外国人と会話できる語学が堪能であることが条件になるため)。

ヘルスポストの仕事を手伝っていた頃のフレリア

<写真1:ヘルスポストの仕事を手伝っていた頃のフレリア>

医療従事者の数は看護師が一番多く、地方のヘルスポストで働くにしても倍率は高いです(それが理由で外国への出稼ぎを選択してしまう人もいるほどです…)。まずは完全無給のボランティアとして保健センターで経験を積む人が多いです。シェアに入職する前は私もそうでした。

※東ティモールの行政区画は県→郡→村→集落の順であり、各郡に設置されているのが「保健センター」、村・集落レベルで設置されているのが「ヘルスポスト」。保健センターは人口約5,000人に1棟、ヘルスポストは約1,000人に1棟設置される。

医療現場の実情😢ヘルスポストと保健センター

新人医療従事者の登竜門となる職場、ヘルスポスト。僻地のヘルスポスト配属はだいたい一人であることが多く、知識や技術について教えてくれる先輩はいません。そんな新人医療従事者に待ち受けているのは、技術不足により起こる住民からの信頼不足、記録不足による評価低下…などマイナスなことばかり😢

<写真2:地方のヘルスポスト>

ヘルスポストよりも大きい保健センターでも学びの機会が少ないのは同じです。通常、日本では病院内でスタッフがお互い学びあえる院内勉強会がありますが、東ティモールにはそれがありません。そのため、卒後に学ぶ機会がないことで、医療者の技術不足が問題になった実例があります。
 
そのひとつが、パルトグラムの記載でした。東ティモール保健省では年に1度県保健局から施設評価を実施することが義務付けられています。昨年、ディリ県保健局が私たちシェアの対象地であるメティナロ保健センターの施設評価をおこなった結果、パルトグラムが分娩数よりも少ない、と指摘を受けました。
パルトグラムは分娩がどのように進んだのかを振り返ることができる大切な記録で、本来はすべての分娩でその記録がなされないといけません。記録の仕方がわからないことを口にできず、お産の取り上げだけを行ってしまう医療従事者は東ティモールでは多いです。メティナロ保健センターでも、パルトグラムの記載は幾度となく問題になっていました。お互いが知らないことを同僚間で学びあえたら状況は変わるのかもしれません。

<写真3:メティナロ保健センター>

知識・技術を共有する機会が大切であることを実感してもらえたかな?と思います。

保健センタースタッフ主催へと変化した理由

シェアの事業では院内勉強会を活動の一つとしています。勉強会実施は、当初シェア主体でした。勉強会開催について話にいくと「忙しい」「自分たちでファシリテーターもするなんて面倒」というコメントが返ってくることもありました…😿ですが、現在では保健センターで働く医療従事者が主体となり、勉強会を開催することができています👏👏


<写真4:計画作成中>

その理由は、勉強会の開催が高く評価されたことにあると思います。シェアでは毎年必ずディリ県保健局で活動報告会をおこないます。1年のなかでどんな活動をおこなったか伝え、課題についても話し合います。2024年3月におこなった活動報告会では、勉強会の報告をひとりの保健センター医師、デルフィーナさんに依頼しました。

<写真5:県保健局で活動報告をするデルフィーナ医師>

デルフィーナ医師は、報告の際に勉強会の例をあげ、トピックにパルトグラムを選び、知識や技術を共有したことを報告しました。県保健局の母子保健担当官から、デルフィーナ医師がファシリテーターとなって新人医療者そしてベテラン医療者へも指導したこと、保健センターでの正確なパルトグラムの記載について変化があったことが高く評価されました。

<写真6:勉強会でパルトグラムの記載について説明するデルフィーナ医師(右から2番目)>

その後、シェアが話にいかなくても、彼女が他の医師・助産師と計画をたて、勉強会を定期的に開催するようになりました!
実際に医療者たちと接する中でパルトグラム記載に変化がでていること、そして勉強会の実施が評価されたことが自分の自信につながった、とデルフィーナ医師は話してくれました。デルフィーナ医師のように勉強会の意味を理解し、主体的に運営する人ができたことで、医療従事者が行う診療が良くなり、地域からの信頼も厚くなり、よい循環がうまれると思います。
 
先日初めて保健センターの勉強会に参加した助産師さんに話を聞いてきました。参加した側はどのように感じているでしょうか♬

参加者の声

はじめまして。今年ヘルスポストに配属された助産師です。ジョアニナといいます。大学卒業後はボランティアとしてヘルスポストに勤務し、この春からメティナロにあるヘルスポスト勤務となりました。分娩介助の経験はありますが、パルトグラム記載に自信がなく、デルフィーナ医師に誘ってもらい、勉強会に参加しました。
記載に関して、怒られるのが怖くて先輩に聞けなかった経験があります。今回勉強会に参加し、今までの疑問点をすべて聞くことができて、とても満足です。これからは自信を持ってヘルスポストで勤務することができます。

<写真7:ヘルスポストで働くジョアニナさん>

妊婦さんたちが安心して医療サービスを受けて欲しいと思い、助産師になりました。赤ちゃんを抱きあげるとき、一番うれしいです。今後もいろいろなトピックがあるそうなので、勉強会には必ず参加します。
 
今月のブログはいかがでしたか?🌟東ティモール医療者の実情とシェアが保健センターで行った勉強会の活動が、今では保健センター勤務スタッフ主体で実施されるようになった変化をお伝えしました。デルフィーナ医師がすごくいい活動を教えてくれてありがとう!と言ってきてくれたことがあります😊彼女が主体的になってくれて、とても嬉しいです。勉強会では、パルトグラム以外にも感染予防や新生児ケア、予防接種などもとりあげられています。医療者たちにとって疑問や不安点をなくす機会になって欲しいと願っています✨

東ティモール事務所 ヘルスオフィサー(看護師)

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