シェアカンボジアスタディツアーの体験報告
皆様こんにちは!10月に入って秋らしい気温になってきましたね。
東京事務所インターンの今泉です。
今回は、8月に行われたスタディツアーに参加してくださった看護学生さんにスタディツアーの体験談を書いていただきました。
海外に行くのが今回初めてであったという彼女が、どんなことを感じ、学んだのか、ご報告させていただきます。
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この夏、シェアのカンボジアスタディツアーに参加させていただきました、越智向日葵と申します。
私は現在、大学で看護の勉強をしており、特に、子どもと親の健康に関心を寄せています。大学で、日本の母子保健活動の実際を学んだことをきっかけに、海外の母子保健の取り組みにも興味を持ち始めました。ちょうどそのタイミングで、先輩にシェアのスタディツアーを紹介していただき、ツアーへの参加を決めました。大学の夏休み中ということもあり、このツアーは、時期的な面でも私のモチベーションの面でも絶好のタイミングでした。
カンボジアでの4泊6日は、毎日が学びでした。シェアの活動に同行し、地域住民との交流の機会を設けていただいたことに加えて、州の病院や村の保健センターなど、カンボジアの医療事情についてもこの目で学んでくることができました。観光では決して経験できない貴重な機会を設けていただいた、シェアスタッフの皆さまに心から感謝しております。本当にありがとうございます。
カンボジアでの私の学びを、ご報告させていただきます。
活動見学を通して最も印象的であったのは、支援機関のつながりを感じることができた点です。
例えば、カンボジアの農村部では、子どもの慢性的な栄養不良が課題の一つとして挙げられています。実際に離乳食教室に参加したときも、年齢の割に体格が小さいなと感じる子どもがいました。健診で重度の低栄養がわかった子どもは、村の保健センターに送られ、そこで継続的な治療を受けますが、途中で断念する母子がほとんどだそうです。保健センターの職員は、その原因の一つに交通手段がないことを挙げており、より重度の子どもの場合は、女性子ども委員という村の母子の健康を支える担当者に連絡し、母子の保健センターまでの交通手段の手配をお願いしているようです。
また、シェアのスタッフも、村での乳幼児健診や離乳食教室の活動が継続的に実施できるよう、女性子ども委員に働きかけ、技能・知識獲得の支援、活動予算の獲得を実現していました。
こうした取り組みからは、皆誰かに働きかけ、「つながり」を大切に支援を展開していると感じました。住民の声を拾い上げる人、支援機関同士のつながりを強化する人など、それぞれの職種の強みを見つけ、地域を巻き込んで支えの手を増やして強化し、活動を広げていくこと、地域住民との溝を埋めていくことが、課題解決の根本にある考え方であると実感しました。そして、そのためには、その国の社会支援システムや地域住民の暮らしぶりに理解を示すことが非常に重要になると学びました。
さらに支援のネットワークを広げ、全ての母子が孤立することなく、切れ目のない支援を受けられる体制づくりが今後の課題になると感じました。
カンボジアの農村部で健在する健康課題は、経済状況や教育、労働、自然環境など、さまざまな問題が複雑に絡み合っていると感じました。ある家庭では、両親ともに小学校を中退しており、またその子どもも、学費や交通手段の面から毎日学校に通えていませんでした。子どもは、学校に通えない日はいつも涙を流しているようです。無償で学校に通えるようなサポートはありませんでした。教育を受けられないことで、仕事に就くことに苦労し、貧困に直面します。いくら保健教育で栄養バランスの重要性について知識を得ることができても、安定的な食料の確保がかなわず、栄養不良に陥ってしまいます。顕在化する健康課題の背景には、脆弱な生活基盤が存在していました。そして、将来生まれてくる子どもも、また教育を受けられず、貧困に陥り、健康が損なわれる、という負の連鎖を生むことが想像されました。どうか全ての子どもが公平に教育を受けられる環境であってほしいと強く感じます。
村の離乳食教室や家庭訪問の際、地域住民の方が皆、心から私たちを歓迎してくださったことが印象的です。こんなにも温かく迎え入れていただけるのは、シェア、女性子ども委員、保健ボランティアさんの、これまで積み上げてきた活動により信頼関係が築かれているからなのだと感じます。家庭訪問の際、母親が「保健ボランティアさんが洗濯物を一緒に洗ってくれることが嬉しい」と何度も口にしていました。ただ一方的に、健康課題解決のために地域住民と関わるのではなく、住民の生活上のニーズも受け止め、生活を支える視点を大切にすることで、地域住民と近い距離で関わっていけるのだと感じました。活動見学中には、地域住民と信頼関係を築くためのポイントを多く学ぶことができました。
私は、今回が初の海外渡航でした。現地スタッフの方、地域住民との交流の際には、言葉の壁がありましたが、私が笑顔を向けると皆、屈託のない笑顔で返してくれます。
また、カンボジアの人は、時間、物事に追われず生活しているように感じます。広大な自然の中で、家族、近所の人々との関わりを大切に、ゆったりと生活をする環境に魅せられました。そうした環境が、カンボジアの温かな国民性につながっているのだと感じます。私も、カンボジアの人々のように、人とのつながりや自然環境に目を向け、日々の幸せを感じながら生活していきたいと感じました。カンボジアの人々の優しく、しなやかな生き方に触れたことは、私の中で大切な思い出です。そして、荘厳な佇まいのアンコールワットを目の前にしたツアー最終日、「初めての海外が、カンボジアで良かった」、そう心から思いました。
充実した、豊かな時間を経験させていただき、本当にありがとうございました。これからも、シェアの活動のますますのご発展、そしてカンボジアの人々の健康と明るい未来を心から願っています。いつかまたカンボジアを訪れ、皆さまにお会いできることを楽しみにしております。
東京事務所 カンボジア事業
インターン 今泉
シェアは、いのちを守る人を育てる活動として、保健医療支援活動を現在
東ティモール・カンボジア・日本の3カ国で展開しています。