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コロナ禍で取り組んだプロジェクトの成果を活かして開始した「外国人労働者の健康課題解決のための情報普及・保健医療サービスへの道筋整備・連携体制強化」プロジェクト(進捗報告)

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コロナ禍で取り組んだプロジェクトの成果を活かして開始した「外国人労働者の健康課題解決のための情報普及・保健医療サービスへの道筋整備・連携体制強化」プロジェクト(進捗報告)

こんにちは、代表理事の仲佐です。
トヨタ財団の「外国人材の受け入れと日本社会」の助成を受け、2023年5月から「外国人労働者の健康課題解決のための情報普及・保健医療サービスへの道筋整備・連携体制強化」が開始され、6か月が経過しました。
本プロジェクトは、2021年から2023年の2年間実施された「新型コロナウイルス感染症パンデミック下における在日外国人コミュニティへの情報提供体制整備と検査・診療へのアクセスを可能にする道筋づくり」の第2フェーズとなるもので、シェア=国際保健協力市民の会、国立国際医療研究センター国際医療協力局のメンバーで構成されている「MINNA」が実施団体として、私が代表として実施しています。

第1フェーズの成果を活かして、第2フェーズの新たな目標を設定し、5月から活動を開始

第1フェーズでは、Facebookや『日本ではたらくベトナム人のための健康ハンドブック』を通じての情報普及、保健医療従事者への外国人対応に関する研修、保健医療サービスへのアクセスが困難な状況にある外国人へのワクチン接種券取得支援、技能実習生の情報を集めた都道府県プロファイル作成、外国人問題に関連する人々との地域連携セミナーを実施することにより、外国人の情報・検査・ワクチンへのアクセス改善に貢献しました。

第1フェーズで培った多様なステークホルダーとの連携・協力、経験、実績を踏まえ、コロナ禍で浮き彫りになった課題に対応すべく、今年5月から第2フェーズに入りました。

この6か月の間に、在留資格が不安定な外国人労働者の健康課題に関する予防・早期発見・対応の改善を目指し、①情報普及のモデルづくり、②専門相談窓口・医療機関に辿り着くまでの道筋の整備、③解決策を生み出す連携・協力体制の強化のための活動、を新たに開始しました。

目指す成果① 情報普及のモデルづくり

一つ目の「健康課題に関する情報普及のモデルづくり」としては、昨年作成した『日本ではたらくベトナム人のための健康ハンドブック』を有効活用する方法を検討していきました。

まず、ハンドブックの電子版サイトを作成しました。今後ベトナム人利用者の利用状況をGoogle Analyticsを使ってモニターし、傾向やニーズを分析しながら、今後の活動に役立てていく予定です。また、多言語化の基盤となる英語版のハンドブックも作成予定で、それをもとに、ネパール語、ミャンマー語などへの翻訳も進めていく予定です。

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目指す成果② 保健医療にたどり着く道筋を整備する

二つ目に「保健医療にたどり着く道筋を整備する:職域を中心に」として、これまでに培ってきた多様なステークホルダーとのネットワークを生かし、茨城県をフィールドとした新たな取組みを開始しました。茨城県では、人口減少が進んでいますが、それを補う形で外国人労働者が増加しており、表面上は人口は減っておらず、多文化共生社会を作っていくための施策づくりが現実的な課題となっています。県内では行政機関各部署や外国人支援団体などが、課題にどう向き合えばよいか、必要な方策はなにかと、必死に取り組みを模索していましたが、保健医療部門がその議論に入っていませんでした。MINNAも参加して話を進めていく中で、実際には、かなり多くの外国人労働者が診療を受けており、かつ彼らが困っていることも明らかになりました。今後はMINNAと地元の支援者とで連携しながら、外国人労働者の保健医療へのアクセス向上に役立つような、外国人支援領域と保健医療部門との橋渡しのための研修等を行っていく予定です。

茨城県での関係者との会議の様子

また、第1フェーズで実施した新型コロナ感染症へのワクチン接種での経験をまとめ「新型コロナパンデミックにおける外国人対応事例集」を作成しました。この事例集は、新型コロナウイルス感染症パンデミックという特別な状況の中で生き彫りになった課題と外国人対応の工夫を紹介し、様々な事例を通じて学んだことを記録として残し、コロナ後の将来に役立てることを目的としています。

目指す成果③ 新たなつながりを通じ、解決策やその糸口を見出す

三つ目に「新たなつながりを通じ、解決策やその糸口を見出す」として、技能実習・特定技能に関する都道府県プロファイルをアップデートしていきました。47都道府県各地で行われた外国人技能実習生への産官学の取り組みについて、SNSやメディアを通じて広報されたものを整理したところ、2022年10月から2023年6月の間に少なくとも346件の取り組みが行われていました。コロナ後は以前にもまして、外国人技能実習生への取り組みやニュースが多く、興味関心の高さが確認できました。

また、成果3の中では、地域連携セミナーとして、10月26日に掛川の中東遠総合医療センターにて、浜松医科大学 地域家庭医療学講座と共催し、医師対象の外国人診療向上ワークショップを行いました。本ワークショップは後期研修医の教育プログラムの一環として、医師が普段診察室以外で出会うことの少ない外国人患者の病気と生活背景に対する理解を深め、さらに外国人の健康に関わる医療機関・民間の支援団体・行政関係者が連携を進める目的で実施しました。

掛川でのワークショップの様子

最後に

半年間の活動の中でも特に印象的だったのは、茨城県八千代町の人々との出会いでした。八千代町では、町長自らが、在留資格を有していない外国人の方々を支援するため、公的機関を含めた支援に取り組んでおり、今後の日本社会の在り方等について考える良い機会となっています。MINNAとしては、この出会いをきっかけに、これまで見過ごされてきた保健医療の課題についても地域の人々と一緒に取り組み、お互いに学び連携しながら、誰もが住みやすい社会を目指し、活動していきたいと思います。

代表理事 仲佐 保

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