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葉酸サプリを飲むと難産になる?!迷信にとらわれず研修で正しい情報を伝えよう!

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  • 東ティモール事務所 フィールドオフィサー アラオ・シメネス・モラト(Arao)
葉酸サプリを飲むと難産になる?!迷信にとらわれず研修で正しい情報を伝えよう!

日本の皆さん、Ia-tai(元気ですか)?私はアラオです。先日の日本ラグビー、悔しかったですね。これからも応援しています。 そして昨今の物価高…。日本はどうですか?東ティモールはどんどん物価が上がっています。ガソリンやお米がひどいです。東ティモール人はお米をお腹いっぱい食べないと食べた気がしないので、食べるお米の量を減らすことは難しいです。私は毎月金欠です…

皆さん、先月のブログは読んでもらえましたか?スタッフの赤裸々告白でしたね。私も読みながら「がんばれー!」とエールを送りたくなってしまいました。

さて、今回は東ティモールに伝わる妊婦さんの迷信についてお話しします。

東ティモールの言い伝え ”妊婦は葉酸を飲んではいけない”?!

妊娠中、妊婦さんが飲むサプリメントは日本にありますか?東ティモールでは妊婦健診に行くと、葉酸(※1)と鉄剤のサプリを必ず処方されます。

※1 葉酸はビタミンの一種で、代謝に関係する栄養素です。細胞分裂や成熟にも関連するので、特に早期の胎児には重要な成分です。葉酸は妊娠初期(可能な限り妊娠前から)摂取することで、おなかの赤ちゃんの脳や脊髄(せきずい)の異常(奇形)を減らすことができると言われています。

でも、間違った迷信を信じて処方されたサプリを飲まない人が多いんです。間違った迷信を広める人たちを、私たちは「影の医療者」と呼んでいます。だって、間違った知識を広めることで妊婦さんに悪い影響を与えるんですから。

「影の医療者」は一体なぜ飲まないほうがいいと思っているのでしょう?サプリを飲むと「母親は太り、お腹の子も大きくなりすぎ、難産になる」と信じられているそうです。そのため、妊婦健診でサプリを処方されても、帰り道の途中で捨ててしまう人、枕の中に隠して飲んだフリをする人などがいるそうです。この情報は専門家である山本裕子さんと共に村に訪問した時、保健ボランティアが教えてくれました。

保健ボランティアから情報を得る山本裕子さん

保健ボランティアも混乱!一体どれが正しい情報?

保健ボランティアと話をしていて私たちが感じたのは、地域に正しい情報を広めるために彼ら(保健ボランティア)自身が正しい情報を知る必要がある、ということです。特にアタウロは男性の保健ボランティアが多いので、「女性、特に妊婦に言われてしまったら、男性である私たちは何も言い返すことができなくなってしまう」と彼らは言います。「(迷信が本当で、)薬を捨てるのはいいことなのか?それとも捨てるべきではないのか?正しい情報が欲しい」とその保健ボランティアは困り顔で話してくれました。

私たちはこの情報をディリのスタッフに伝え、ディリ(メティナロ)でもこのような言い伝えがあるのか、調べてもらうことにしました。「影の医療者」の影響はディリにもあるのか…?私たちは保健ボランティア研修の前にそれを知り、研修の内容を検討する必要がありました。

スタッフ会議の様子 トピックについて話し合います

研修までの道のり

ディリのスタッフにも保健ボランティアに聞いてみてもらったところ、やはり同じような迷信があるようでした。私が驚いたのは、シェアの中にも迷信を信じ、妊娠中サプリを飲まなかったと告白したスタッフがいたのです…!!!私たちは、「妊娠中の食生活」を1つのトピックに取り上げ、その中でサプリメントの話もすることにしました。

保健ボランティアたちに身につけて欲しい知識、そして、最終的に住民たちに届いて欲しい情報は何かという視点で研修のトピックを選びます。そして今回どうしても伝えたい情報は、「なぜ妊娠中に葉酸と鉄剤を摂取することは大切なのか」ということです。葉酸は胎児の臓器を作ることを助け、鉄剤は貧血を防ぐ、貧血はどうして母体に悪いのか?まで、トピックの中で伝えることを意識しました。正しい情報を得た妊娠中の母親が、渡された薬を飲むようになること、それが一番の目標です。

スタッフ同士がグループに分かれ、トピックについてディスカッション中

伝えたいことが決まったら、セッションの組み立てを行います。スタッフ1人ひとりにいろいろな意見があるのでまとめるのが大変でした。構成が決まったら、今度は教材の開発です。教材は私たちもアイディアを出しますが、最終化は日本人スタッフの二人が行ってくれました。教材が完成したら、ボランティアに研修をする日まで練習の毎日です!!

研修計画を立て、参加して欲しい保健ボランティアや保健センターを招待したりと調整を始めました。

研修の中で歌う歌の練習♪ 研修では歌も織り交ぜて飽きないように工夫します

スタッフ同士で練習しているところ

研修で正しい情報を伝えよう!

アタウロでは、研修を4村で実施しました。食生活のセッションを実施した際、保健ボランティアたちは興味津々でした。きっと、保健ボランティアたち自身が知りたい情報をトピックに取り上げたのが良かったのだと思います。

研修後、正しい情報を得た保健ボランティアたちは、「これからは自信を持って情報提供できる」と言っていました。

今後は保健ボランティアが研修で学んだその内容をしっかりと住民に伝えられているか活動のフォローアップを頑張ります。「影の医療者(迷信)」に負けず、きちんと薬を飲んでくれるお母さんたちが今後増えていきますように…!

みんなお疲れ様でした!

アラオ・シメネス・モラト(Arao)
フィールドオフィサー

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