久しぶりに医療通訳者の募集を開始!~変化するニーズに安定して応えるために~
こんにちは!在日外国人支援事業部の山本裕子です。
8月に白馬岳登山の下りで捻挫をしたのですが、やっと最近普通に歩けるようになってきました。回復の遅さに年齢を感じています。
さて、今回は、本日募集を開始した、新しい医療通訳者の研修・選考会と開始に至った経緯について少しお話したいと思います。
当会は、長年、結核やHIV、癌の告知など重要な場面で通訳が必要な際に、医療通訳者を派遣してきました。2016年からは、母子保健分野での医療通訳にも力を入れ始め、2021年4月からは、赤い羽根福祉基金のご支援を得て、東京都内の4区を主な対象地域として、母子保健場面での医療通訳活用促進に取り組んできました。医療通訳の依頼は年々増え、今年度は昨年度の倍近くになる可能性が出てきました。
また、母子保健場面での医療通訳の活用を促進するうえで、当会としても、医療通訳事業の基盤を強化し、現場のニーズに安定して応えられるように、現状に合わせた医療通訳者の確保は欠かすことができません。 これらのことから、11月23日(祝)に約4年ぶりに(シェア独自では初めて)新規医療通訳者研修・選考会を開催することにしました。
最近の医療通訳対応の傾向などは、ブログ、 クラウドファンディング活動期間終了のご報告、外国人母子にも必要な保健医療サービスが届くように~母子保健通訳の活用状況のご報告~にもまとめてありますのでぜひご覧ください。
通訳のロールプレイをしている様子
バングラデシュ人が話すベンガル語の通訳ニーズは、私がシェアで活動を始めて間もない頃(約10年前)はほとんどありませんでした。当時日本に住んでいるバングラデシュ出身の人たちは、日本語がある程度話せる人たちが多いというイメージがありました。その後、徐々に、日本語も英語もあまり話せないバングラデシュ人が増え、通訳依頼も増えてきています。
シェアには、例えば、元技能実習生の妊婦支援や、小児科での診察や病状説明、産後の育児を一人で行っている母親支援などの、結構複雑なケースの通訳依頼が寄せられています。女性の通訳者が必要と感じる場面も増えており、2016年から1人の通訳さんに頑張ってきてもらっていますが、今年こそ増やせたらと思っています。
現在、当会には、パキスタンの主要言語であるウルドゥー語で登録している医療通訳者はいません。ただ、正式には登録できていませんが、いろいろな団体、いろいろな場面でウルドゥー語の通訳を実際に担っているネパール語/ヒンディー語の医療通訳者がいます。
当会が医療通訳者を登録する際は、必ず対象言語の選考会を行っており、審査を経てからでないと登録していません。審査員として適任な方が見つかればその方の登録や新たな通訳候補者の募集もできるのですが、コロナ流行前に2回ほど、選考会実施を試みた際は、審査員を見つけることができませんでした。現在も大学教授などにご協力いただきながら探しているところです。
これまでシェアに通訳相談があったのは、小児科での病状説明の場面やDVが絡んでいるケースなど、数は少ないですが、しっかり通訳が入って支援することが必要なケースが多い印象を受けています。父親だけでなく母親に話してもらう必要がある場面も多く、文化的な背景からも、ウルドゥー語についても、女性の通訳者を確保できると支援がスムーズになるのではないかと感じています。
東京都の外国人人口では、ネパール人人口が5位ですが、現在、当会に一番多く依頼が寄せられている医療通訳の言語はネパール語となっています。当会の医療通訳者の皆さんはいろいろな団体でも引っ張りだこな方たちですので、ネパール語、そしてベトナム語についても追加で募集することにしました。
医療通訳の際の注意点を伝えるために劇をしている様子(2012年)
2019年に研修・選考会を開催した際は、東京都と協力して結核の医療通訳者の育成や派遣をしていた時でした。今回は、シェアの医療通訳者のための研修ですので、現在力を入れている母子保健はもちろん、いろいろな医療の場面での通訳に対応できるような方の登録を目指して行う必要があります。研修内容や、ロールプレイを行う際のシナリオなど、一から見直す必要がありますが、研修・選考会は、新しい応募者や審査員の方々とつながれる素敵な機会でもあり、開催できるのが楽しみです。
周りに、応募していただけそうな方がいらっしゃいましたら是非ご紹介いただけましたらうれしいです。
詳細はこちらをご覧ください。
在日外国人支援事業担当
山本 裕子
シェアは、いのちを守る人を育てる活動として、保健医療支援活動を現在
東ティモール・カンボジア・日本の3カ国で展開しています。