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《インターンレポート》会場一体となり熱くディスカッション!日本に住む外国人健康問題の「今」を専門家が報告~シェア40周年記念シンポジウム~

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《インターンレポート》会場一体となり熱くディスカッション!日本に住む外国人健康問題の「今」を専門家が報告~シェア40周年記念シンポジウム~

みなさん、こんにちは。修士論文が大詰めとなり、進捗状況にハラハラしながら日々を過ごしているインターンの岡田です。

さて、シェアでは9月3日(日)に「40周年記念シンポジウム 今語り合いたい、共にまもり育む健康といのち~日本に暮らす外国人支援から~」を開催致しました。

シェア設立当初、草の根の立場から行動を起こし、その後もシェアとともに歩み国内外各地でご活躍されている方、また、その思いを受け継ぎシェアとして新たな挑戦をされている方等が、これまでの軌跡と社会情勢・経済状況が目まぐるしく変わる「今」の時代に感じている思いを語って下さいました。

<パネルディスカッションの様子>
写真左から、仁科晴弘氏、山本裕子氏、青木理恵子氏、沢田貴志氏、藤田雅美氏

パネルディスカッションで感じたこと

<外国人の医療アクセス>

外国人母子の支援現場では、以前は夫婦の一方が日本人というケースが多かったのですが、最近は夫婦どちらも外国人という夫婦が増えてきているとのことでした。一方で、外国人の医療アクセス時の医療機関の反応がここ数年でシビアになり、以前は受け入れてくれたようなケースでもなかなか受け入れてもらえないことも増えてきたとのことでした。

こちらのお話からは、技能実習等の制度で外国から日本に移り住む方々が年々増加している一方で、医療機関側も自らの経営維持が困難となりつつある時代背景の影響について考えさせられました。時代が移り変わるスピードがあまりにも速い昨今、お互いの社会的・経済的事情を理解しギャップを埋め合い、常にアップデートしながら関係を築き続けていく必要があること、また、その難しさを学びました。

外国人労働者の健康対策と就業環境

また、シェアを知るきっかけでもあり、自らの専門分野でもある労働者の健康管理という枠組みの中における外国人の健康管理や就業環境についての発表やディスカッションを大変興味深く拝聴しました。

会場からの声の中には「(外国人労働者の就業環境の問題は)技能実習生を多く受け入れている中小企業等の経営者が必ずしも悪いわけではない。経営者自身もわからなくて模索している中で起きている問題もある。経営者側に”知ってもらうこと”については今後どのように考えているのか」という問題提起がありました。

私はこれまで様々な業種の企業で健康施策立案・労働環境改善を行ってきて、企業内では、”知らない”中で、過去に正解だとされたことを踏襲しているケースがとても多いと感じると同時に、”社風や組織体制に合わせた計画的な情報提供”、”課題の本質と解決することのメリットをデータで見える化すること”、”経営陣に必要な情報を知ってもらうこと”ができれば、会社体制は着実に変わっていけるという経験も何度もしてきました。

現在、大企業では10年以上の年月をかけ健康経営(労働者の健康対策による企業価値や生産性の向上)の取り組みが広く定着しつつあり、今後は中小企業への拡大が課題となっています。しかしながら、その健康経営の文脈においては、働く女性の健康や格差について少しずつ触れられるようになったものの外国人労働者についてはまだ触れられていません。今後、健康経営が中小企業に拡大していくとともに外国人労働者を高い割合で雇用している企業の参画が増え、その健康・安全問題についても自然と言及される時代が訪れる可能性が高いと考えています。

目下の課題は、まだまだ現状の健康経営の取り組みすら知らない中小企業も多いということです。すぐできる取り組みとして、このような既存の制度も活用しながら、中小企業経営者に日本人・外国人の垣根なく従業員に対する基本的な健康・安全対策の情報提供や支援を行っていくこともヘルスリテラシー向上、知識のインフラ対策としての1つの手ではないかと感じました。

仲佐代表理事からの言葉

仲佐保代表理事からは締めの言葉として、「国内に住む外国人についてこのようにフォーカスしたのはシェアとして初めてのこと」、「今後は医療職として活動するのみではなく政府提言も行っていきたい」との決意が聞かれました。
これまでの歩みを大切に繋ぎつつ、変わりゆく時代の中でシェアとして新しい形へと進む未来が垣間見えました。

仲佐保代表理事

本田前代表理事のハーモニカ演奏

シンポジウムの最後には、本年3月までシェアの代表理事をされていた本田徹医師が大変素敵なハーモニカの音色を聞かせてくださいました。現在は福島で在宅医療に従事されていますが、住民の皆様とのコミュニケーションのきっかけづくりの一つとして新たにハーモニカ習得に挑戦されているとのことでした。思いのこもった素敵な「ふるさと」の音色で会場全体がとても温かい雰囲気に包まれました。

<ご登壇者紹介>

基調講演

  • 石川信克氏:結核研究所名誉所長、医師/JOCS日本キリスト教海外医療協力会(1978-1986年バングラデシュ派遣ワーカー)

パネルディスカッション

  • 青木理恵子氏:CHARM(Center for Health and Rights of Migrants)事務局長
  • 藤田雅美氏:国立国際医療研究センター 国際医療協力局/医師
  • 沢田貴志氏:シェア副代表、港町診療所所長/医師
  • 山本裕子氏:シェア在日外国人支援担当/保健師

モデレーター

  • 仁科晴弘氏:シェア理事/江東病院 医師

ご登壇者の皆様、ご参加者の皆様から多くの学びや刺激を頂いたシンポジウムでした。
40周年を迎えたシェアをこれからも応援よろしくお願い致します!

登壇された皆様&事務局のシェアメンバーで記念撮影

文責:シェア インターン 岡田結生子

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