母子保健の問題を皆で話そう!村のキーパーソン会議
皆さん、こんにちは!明けましておめでとうございます。
2023年も、皆さんにとって良い年となりますように。
年が明けて、皆さんのお仕事はいかがですか?
今月は、私、オクトが、去年の最後に行った村のキーパーソンとの会議について共有しようと思います。
少し時を遡りますが、インターンでシェアに来ている堀内好恵さんも村での活動をインターンブログとして共有していますので、併せてお楽しみください。(ご興味がある方はこちらもどうぞ↓)
アタウロ県でのキーパーソン会議の様子「村全体で妊婦さんを支えよう!」が合言葉
村のキーパーソンと聞くと、皆さんは誰をイメージしますか? 私たちは村のキーパーソンと呼ぶとき、村で住民のリーダーのような存在の人たち(村長、集落長、ヘルスポスト勤務の医療者、学校の先生、教会関係者、ヘルスボランティアなど)を指します。 今回開いた村のキーパーソン会議の目的は、大きく分けて2つです。
これまで、村のキーパーソンたちが集まり、村で起きている保健の問題について協議する機会はなかなかつくられてきませんでした。彼らと問題を共有して協議することで、彼らから住民、特に妊婦さんに、保健施設にアクセスするように促してもらうこと、そして、彼女たちが行動変容(妊婦健診に行くようになること、そして分娩施設での出産を選択すること)を起こしてくれるようになること…それがこの活動の長期的な目標です。
問題を共有してアイディア出しをするキーパーソンたち
会議の中では、まずはシェアが去年の11月に実施した、妊婦~1歳半未満の母親の知識と行動についての調査結果を発表しました。また、各村での調査結果に加えて、保健センターが提示している保健目標を各集落がどの程度達成しているかを伝えました。例えば、妊娠~出産後の母親の施設利用の現状(4回以上妊婦健診を受診している母親が何%いるか、専門家がいる施設での出産を行った母親が何%いるか、など)と、どの程度正しい知識(妊娠中の危険兆候は何か、新型コロナウイルスに関する症状や予防法)をもっているか、などです。村長と集落長の多くは、結果を聞いて、驚いた顔をしたり、施設から住民の家までの距離を考え、現状に納得している人もいました。
調査結果を発表 皆さん真剣な眼差しです
調査結果を発表するだけではなく、妊娠期~産褥期(産後6~8週間)の母子の変化、危険兆候、気を付けるべきことについて教材を用いて発表しました。キーパーソン会議に出席する人は、やはり男性が多く、母子保健に関して関心のある人がいるか…?と不安な気持ちもありましたが、皆さん興味を持って、たくさんの質問をしてくれたので、時間内に終わらない場面もありました。 妊婦が多くのリスクを抱え、そして子どもを出産することに対し、改めて母親の大切さを実感してくれた男性が多くいました。彼らは、妊婦さんを村全体で守らなければいけない、そのために、今回実施してくれた調査の結果と母子保健目標への達成度を、1か月に一度は提供しに来て欲しい、と自分たちからヘルスポストの医療者たちへ依頼をする場面も見られました。その他にも、教材を用いたこのような重要な情報は学校でも提供していきたいと話す学校の先生もいました。積極的な意見がたくさん聞こえ、私はとても嬉しく感じました。
母子保健教材 「健康な妊娠期を送るために大切なこと」について説明中
母子保健だけではなく、COVID-19に関しての情報も提供しました。「新型コロナウイルスは嘘である」という質問に対し、なんと46%のお母さんが「そう思う」と答えたこともあり(確かに東ティモールではすっかり下火となっていて、マスクをつける人も日常あまり見られなくなってきています)、再度世界の現状を伝えると共に、症状や予防法についてもキーパーソンの方へ聞きながら、一緒に確認していきました。 人は、新しいことや本人たちが重要だと感じたことに対しては、興味を持って話を聞いてくれます。そして、見やすいパワーポイントを使って話すだけではなく、参加者にたくさん質問したり、意見を聞いたり、印象に残る絵を使ったものを使いながら会議を進めていくことでさらに記憶に残るため、このような会議の工夫は大事だな、と感じました。
自分の集落について情報共有してくださった集落長
今回の会議の中で、キーパーソンの方々が自身の役割を認識し、母子保健とCOVID-19の情報を住民に拡散していくことの重要性を感じてくれたと思います。会議の中で、医療者たちへ依頼する場面も見られ、また、医療者たちからも、月に一度村を訪問する計画はあるので、予定が立ったら伝えます、とのやり取りがありました。私たちが提案するのではなくて、彼ら同士がコミュニケーションを取り、分かり合って、そして少しずつ同じ目的に向かって前進していく姿を見られたことが、今回の活動の一番の収穫でした。
キーパーソンからのリクエストに答える医療者。
これからもキーパーソンの一員として村を守ってもらいたいです
今後、村の会議を実施する際には、村に勤務する医療者も呼んで、彼らだけで村の健康について議題にあげ、話し合い、そしていつかその会議が定期的に行われ、村で行われている保健活動の進捗を共有したり、また問題を話し合ってくれるようになったらいいなぁ…と将来像を考えています。さすがに期待しすぎでしょうか…。
今回の会議で、村のキーパーソンたちが一同に介し、忌憚のない意見を言い合えたことは、素晴らしい一歩だったと言えると思います!自画自賛ですみません。。
また良い活動の報告ができるように今年も頑張ります!応援をお願いします。
会議が無事に終わり、満足顔のシェアスタッフ。オクトは撮影。
専門家に日本から来てもらい、母子保健の教材を一緒につくりました。
文責:オクタビオ・コルテ‐レアル(Octo)
フィールドオフィサー
シェアは、いのちを守る人を育てる活動として、保健医療支援活動を現在
東ティモール・カンボジア・日本の3カ国で展開しています。