「外国人労働者の健康課題解決のための情報普及・保健医療サービスへの道筋整備・連携体制強化」プロジェクトの進捗報告
こんにちは。シェアの仲佐です。
シェアでは、2023年5月から2年間、国立国際医療研究センターとの合同プロジェクト「みんなの外国人ネットワーク(MINNA)」として、「外国人労働者の健康課題解決のための情報普及・保健医療サービスへの道筋整備・連携体制強化」を実施しています。コロナ禍で取り組んだプロジェクトに続き、在日外国人が十分な保健医療サービスを受けられない状況の改善を目的としたプロジェクトです。このプロジェクトでは「健康課題に関する情報普及のモデルづくり」として、健康ハンドブックの普及、「保健医療にたどり着く道筋整備・連携体制強化」として、地域における連携推進を中心に、活動をしています。
昨年、日本で生活するベトナム人の健康課題の解決に役立つよう「日本ではたらくベトナム人のための健康ハンドブック」を作成し、今年3月に、ベトナム人以外の外国人への情報普及も進むよう、英語版の「健康ハンドブック」を作成しました。今後は、在日外国人のうち、コミュニティの歴史が長く強固な中国人、韓国人、フィリピン人、ブラジル人に次いで近年増加してきている、ネパール人、インドネシア人、ミャンマー人を対象とした「健康ハンドブック」の多言語化も進めていく予定です。
英語版の健康ハンドブック
2023年12月20日に、東広島市市民文化センターにて、東広島市、JICA中国、みんなの外国人ネットワークの共催で、地域住民や関係団体を対象とした地域連携セミナーを開催しました。このセミナーは、地域の実情や取り組みに焦点を当て、新たな協力関係の構築や、地域や領域間での橋渡しを行っていくことを目的に実施しました。
地域連携セミナー@東広島でのパネルディスカッションの様子
東広島市は、中国四国地方で外国人住民の割合が最も高く、地域の外国人支援団体への事前ヒアリングでは、「“英語でなければ外国人とコミュニケーションを取ることが難しい”と考える日本人側の苦手意識を変えたい」というニーズも聴かれました。セミナーでは、やさしい日本語で外国人とコミュニケーションをとる方法や、外国人労働者に対する日本各地の取り組み事例の紹介等を行い、その後、「困ったときにはどうしよう?外国人住民と日本人の双方からできることはなにか」をテーマにした外国人住民と日本人住民によるパネルディスカッションを実施しました。
地域連携セミナー@東広島のチラシ
セミナー開催をきっかけに、その後、2024年3月に東広島市議会議員が「やさしい日本語」の勉強会を開催したり、同4月には西条住民自治協議会が、地元大学で「やさしい日本語」を用いて外国人留学生を対象にAED講習会を行うなど、地域で活動の広がりを見せています。
このプロジェクトでは他にも、47都道府県各地における外国人技能実習生に関わるニュース等の情報を取集し、産・官・学・その他、に分けて整理しています。2023年10月から2024年3月の半年間では、331件のトピックを洗い出しました。この時期は、2023年11月の政府の有識者会議にて、技能実習制度の廃止と、新しく「育成就労制度」とするための最終報告がまとまり、2024年3月に在留資格「育成就労」の新設が閣議決定されたこともあり、収集した情報からは、各地で技能実習制度に関する活発な意見交換が行われた様子が見受けられました。また、技能実習制度への課題が前進する期待感もあってか、全体的に新たな取り組みや、前向きな交流も多く見られました。
2年間のプロジェクトの半分が過ぎていますが、今後も新たな連携づくりを目指して、活動を拡大していきたいと思います。
文責:シェア代表理事
仲佐保
シェアは、いのちを守る人を育てる活動として、保健医療支援活動を現在
東ティモール・カンボジア・日本の3カ国で展開しています。