シェア流の支援のしかた ~参加型オリエンテーションで変化のうながし~
日本の皆さん、Olá!元気ですか?看護師のフレリアです。わたしはヘルスオフィサーとして勤務しています。最近の日本は天気が荒れていると聞いて心配しています。雨雲や雪、電車の遅延などにも十分気を付けてくださいね。
私たちは、現在実施している「母子保健サービス活性化」事業の2年目に医療器材の供与支援を行いました。これは1年目から少しずつ準備してきた活動の1つです。シェア代表理事の仲佐さんに専門家として日本から来てもらい、医療施設(私たちのカウンターパートである保健センターやヘルスポスト)にはどんな器材があるのか、一緒に確認を行ってもらった経緯もあります。
今から皆さんに医療器材オリエンテーションについて話すのがとっても楽しみです😍
私たちが医療器材の譲渡を行うまで、それはそれはなが~~いプロセスを踏みました。多くの組織・団体が、「買って渡したら終わり」な中、シェアは違います!
まずはディリ県保健局に、通常保健センターと診療所にどんな医療器材がなければならないのかを確認しました。確認後、医療器材チェックリストを作り、譲渡予定先の保健センターとヘルスポストを回って、保健局に指定されている医療器材が置かれているかどうか?をチェックしました。ちなみに、へーそんな決まりみたいのあるんだ!と思った皆さん、私も初めて知って驚きました(笑)。
前回のブログでネルソンが書いていましたが、シェアは医療従事者に対し、分娩介助技術向上トレーニングと研修後のフォローアップも行っています。技術が上がっても、必要な医療器材が無ければ良いサービスは提供できませんよね。なので、医療器材の提供も大切な活動の一部です。
母子保健専門家(仲佐代表)がセンターを訪問時、医療器材の状態確認も行いました。
さぁ!カウンターパートの方々と話し合いです。とても大変だったのは、支援する器材やその数を決めることです。“必要なものを必要な数だけ”ということを伝えていましたが、助産師や保健センター長からリクエストされたのは、婦人科用のテーブル、エアコン、ヘモグロビン濃度検査のための遠心分離器などなど…。
保健センターやヘルスポストが行うサービスの範囲を超えているものもあり、リクエストされる度、どこで、何のために使うのか、保健局からもらっているデータはこうですよと伝え、理解してもらう事を忘れずに行いました。
少し面白かったのは、支援してもらったら取っておいて、いつか壊れたときのために置いておきたいと答えた助産師さんがいたことです。棚に飾ってどうするー!!と思わず失笑してしまいましたが、壊れたあとどうすべきかについての理解が不足している事がわかった瞬間でした。その際も、支援したものは必ず使って欲しい、壊れないようなメンテナンスも大切だし、それについても指導するから、と伝え、理解してもらいました。
皆さん、電化製品や日々使うものを新しく買ったとき、取り扱い説明書を読みますか?私はほとんど読みません。壊れたときに「あ、そういえばトリセツに書いてあったかも~」と思い出す程度です。東ティモールで使われている医療器材も同じです。ものによっては取り扱い説明書自体無いものもあります。
今回支援する器材の取り扱い説明書について保健省や県保健局に問い合わせをしましたが、取り扱い説明書は無いことがわかりました(※保育器、超音波診断器などはあるそうです)。
購入した器材にすでにトリセツがついていたものもありましたが、もちろんテトゥン語表記ではありません。医療者に質問してみると、「トリセツなんて読んだことないよ~だって、使い方は知っているもん」という回答でした。
とにかく読んでもらえて、医療者の助けになるもの。そして、長く使ってもらえる術が読んだだけでわかるもの…!と考え、今回私たちはトリセツよりもちょっとグレードアップした、『使用維持管理マニュアル』をつくりました。医療器材を大切に長く使ってもらうため、使い方はもちろん、日々の管理や保管の仕方ついても記載しました。
また、このマニュアルはオリエンテーションで使う前に保健省にも提出して確認してもらい、承認を得てから使いました。
オリエンテーションでは参加型を目指し、たくさんの質問を用意しました。
👉 医療器材ってなんだろう?
👉なぜ医療器材を使うとき、決まりに従わないといけないの?
👉 各器材の機能と使い方(シェアが支援する器材のみ)
👉 使う前と後のメンテナンス方法は?
👉 壊れた、失くしたときどうすれば良いか?
以上の質問に対してグループに分かれて考えてもらい、発表してもらいます。その後、ファシリテーターを依頼した県保健局母子保健プログラム責任者の方から正解の発表です。もちろん、これらの質問の答えはマニュアルの中にも書かれています。困ったときに見返せるように!そして、新人医療者の役にも立てるように。『使用維持管理マニュアル』を作って本当に良かったな~と私自身思っていますし、これがやっぱりシェアの他の団体との違いではないかなと思います。
オリエンテーション中、みんな一生懸命!
自分のものでない時、人はものをぞんざいに扱いますね。メティナロの保健センターでもそうでした。人によっては、妊婦健診用の聴診器なのに、違う課に持って行って使い、戻さず、いつの間にか紛失!という事が良く起こっていました。また、国立医療研修所が実施した分娩研修の中で、医療器材の消毒と整理の仕方についても指導があり、その研修に参加した人は消毒や整理の仕方を心得ていました。が他の人は知らない&実践しません。他の人がやらないなら自分もやらなくていいや…となり、医療器材の状態はどんどん悪くなり、錆びていき、使えなくなっていた器材がたくさんあります。ドップラーはジェルをつけて胎児の心音を聞いたあと、器材についたジェルもそのまま放置していました。
でも、オリエンテーションのあと!!すごい変化があったんです。それは、医療者同士で勉強会を開き、消毒の方法の教示と実演を行ったことです。また、今後どのように医療器材を管理するのか、シフトに組まれた医療従事者の中で器材責任者を決め、勤務前と後で確認するようにもなったそうです。器材を大切に扱うことを理解してくれ、そして他の医療者にまで広めてくれたのです!
私たちのオリエンテーションを通してこのような変化に出会い、私はとても嬉しくなりました。今後も彼ら自身で医療器材を管理し、大切に扱い、良い医療サービスを提供して欲しいと思います。
私のブログはここまでです😍
アリガトゴザイマス皆さん❤
フレリア・ファティマ・ピント(Anene)
ヘルスオフィサー(看護師)
シェアは、いのちを守る人を育てる活動として、保健医療支援活動を現在
東ティモール・カンボジア・日本の3カ国で展開しています。