気づきを活かして工夫したミャンマー人対象の母親学級
こんにちは。在日外国人支援事業部の山本貴子です。シェアの通訳相談電話口で、保健師さんやソーシャルワーカーさんから通訳依頼の内容を聞きながら、妊婦面接や、出産入院時、産後の赤ちゃん訪問時、4か月健診時など、自分が妊娠出産した当時の気持ちを思い出しています。外国人のお母さんはどんな気持ちでいるかなぁと思いながら、日々通訳調整をしています。
さて、12月2日(土)に、「ミャンマー人妊婦のための母親学級」を開催しました。シェア主催の外国人対象の母親学級は、今回で5回目となりました。ミャンマー人対象は今回が2回目。前回のミャンマー人対象の母親学級での気づきを踏まえながら行っていきました。
今回の母親学級には、2名のミャンマー人妊婦が参加してくれました。2人とも参加のきっかけは、旦那さんがSNSで案内を見つけてくれたそうです。そのうち1人の妊婦さんは、夫婦で参加してくれました。旦那さんは夜勤明けでしたが、起きて真剣に話を聞き、質問し、積極的に参加してくれました。
母親学級では、栄養士が「栄養の基本と食事について」話し、助産師から「妊娠中の生活・出産・赤ちゃんのお世話」について、また保健師から「出産後の手続きや保健サービス」の話をしました。
1回目のミャンマー人対象母親学級での参加者の質問から、これまでのネパール人対象母親学級で聞かれなかった”魚”に関する質問が出て、ネパールとミャンマーでは食文化が異なることを実感しました。そのため、ミャンマー人の食文化をもっと理解し、ミャンマー人の食生活に合わせた話をしたいと考え、事前にミャンマー人通訳者にミャンマーの食文化について聞き取りをしました。
それにより、ミャンマーでよく食べられる野菜や果物、ミャンマー人が好きなエビや川魚、豆などの食品を、栄養の話をする際に栄養士が取り上げるようにしました。また、ミャンマー料理の調理方法から妊娠中に油や塩分を取りすぎる可能性があるとわかったため、摂取目安量を計量スプーンで示し、普段使っている量よりも少し減らすようにしましょうと、栄養士がアドバイスをしました。
1月に開催した母親学級では、参加者から「母親学級に参加して、自分一人ではないと知れて、他の妊婦と情報を共有できたのが良かった。また機会があれば参加したい」という感想がありました。たとえオンラインでも、休憩時間に参加者同士が自由におしゃべりできるような場を用意し、産後も励ましあえるような関係性を作れる機会が持てるような工夫が出来たらいいなと考えていました。
そこで、今回の母親学級では休憩時間が始まる前に、通訳さんより「休憩時間は休んでも、自由にお話ししていてもいいよ」と参加者に声をかけ、話しやすい雰囲気を作っていきました。そのため、オンラインの画面越しにミャンマー語で話をして、情報交換をしている姿がみられました。
母親学級の講義だけでなく、リラックスした休憩時間も、参加者にとって、参加してよかったな、楽しかったな、と思える母親学級になっていけたらいいなと思います。
参加者からは、「今日は疑問に思っていたことを色々聞けて良かった。妊娠中どのように栄養をとるのか、また出産前後の手続きなどの話が聞けて、とても訳に立った」との感想がありました。夫婦で参加した旦那さんは、「出産について全くわからなかったので、今回の母親学級はありがたかった」と話してくれました。
参加者からもポジティブな感想が聞かれ、母親学級を通してつながりができる様子もあり、もっとたくさんの妊婦さんに参加してもらえたらいいなと思う一方で、少人数だからこそ、参加者に合った情報が届けられ、すべての質問に答える時間の余裕があり、あたたかい雰囲気で母親学級を行えたことは、良かったなと思っています。
母親学級の回数を重ねていって、口コミやコミュニティのつながりからも情報が拡がり、参加人数も増えていってくれるといいなあと思います。
これからもシェアの在日外国人支援事業を応援していただけると嬉しいです。
※この母親学級は、シェアが赤い羽根福祉基金のご支援を受けて実施している「外国人母子の健康を守る切れ目ない支援体制構築事業」の一環として行いました。
文責:在日外国人支援事業担当 山本貴子
シェアは、いのちを守る人を育てる活動として、保健医療支援活動を現在
東ティモール・カンボジア・日本の3カ国で展開しています。