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(認定)特定非営利活動法人 シェア=国際保健協力市民の会 シェアは、保健医療を中心として国際協力活動を行っている民間団体(NGO)です。

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MDGsから見るカンボジア母子保健の現状

カンボジアMDGs

2000年9月の国連ミレニアム・サミットで、世界の貧困を半減するために国際社会が取り組むべき、「国連ミレニアム宣言」が採択されました。この宣言と国際開発目標を統合し、2015年までに達成すべき具体的な8つの目標としてミレニアム開発目標(MDGs)が世界共通の目標として掲げられました。

シェアの活動国であるカンボジアにおいても、9つの目標と25のターゲット、106の指標からなるカンボジアMDGs(表1)が設定され、様々な分野において取り組みがされています。カンボジアは近隣諸国と比べて母子の死亡率が高く(表2)、目標4、5にあるように母子保健状況の改善が重要課題なっており、2015年の目標達成に向けて、カンボジア保健省は国家保健戦略計画を策定し、MDGs達成のために国際機関やNGOなど様々な開発パートナーとの連携による改善プログラムを実施しています。

表1:カンボジアMDGs

目標1 極度の貧困及び飢饉の撲滅
目標2 普遍的基礎教育(9年)の達成
目標3 ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上
目標4 乳幼児死亡率の削減
目標5 妊産婦の健康の改善
目標6 HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延防止
目標7 環境の持続可能性の確保
目標8 開発のためのグローバル・パートナーシップの推進
目標9 地雷、不発弾の除去と犠牲者支援
出典:国連開発計画(2005)

表2:カンボジア、近隣国、日本の主要保健指標比較

5才未満児死亡率
(対出生千人)
乳児死亡率
(対出生千人)
妊産婦死亡率
(10万人あたり)
平均余命(才)
カンボジア 82 65 470 59
ベトナム 17 15 160 62
タイ 8 7 24 70
日本 4 3 8 82
出典:UNICEF(2008)

MDGs達成に向けた母子保健指標の変化と現状

母子の保健状況について、指標の変化(表3)をもとに見てみましょう。

「目標4:乳幼児死亡率の削減」に関しては、2005年に実施された人口保健調査により、5歳未満死亡率の低下が確認されています。一方で、新生児死亡率の改善は若干遅れているため、今後保健省が力を入れて取り組むことが合意されています。また、「目標5:妊産婦の健康の改善」に関してはこの保健調査では死亡率は依然高いままであり、2008年に新たに策定した保健戦略計画では、優先課題の一つとなっています。

このように、様々な取り組みにより、変化が出つつある一方で、数値目標達成を目的とした活動による弊害も生まれているのが現状です。

乳幼児死亡率については数値的な改善が見られ、達成できるであろうといわれている一方、改善が立ち遅れている妊産婦死亡率については達成が難しいと予測されています。こういった状況のなか、妊産婦死亡率という特定の分野に限った改善プログラムが重点的に実施されているため、報告の義務のない乳幼児の病気や死亡については軽視されるといったプログラムの歪みが現場で起きています。また、MDGs達成を見据えた保健プログラムが様々な援助機関によって支援されています。各ドナーがこのプログラムの成果として数値目標的達成を求めるため、地域の保健スタッフはこの数値を報告する作業に時間を割かざるを得ない状況です。公的保健サービスが本来持つ「母と子の健康を守る」という目的が「数値達成」に置き換わる傾向にあり、健康を守る役割を担えていないことが懸念されます。


表3:カンボジアMDGsの主な保健関連数値目標
基準値(年) 推定値
2005-08年
目標値
2015年
目標4 5歳未満時死亡率 124
(1998)
83 65
乳児死亡率 95
(1998)
66 50
目標5 妊産婦死亡率 437
(1997)
472 250
合計特殊出生率 4
(1998)
3.4 3
専門技能者による
介助分娩比率(%)
32
(2000)
55 80
家族計画普及率(%)

18.5
(2000)
27

60

出典:カンボジアMDGs、国家保健戦略計画 2008-2015 保健省

シェアの活動とMDGs-乳幼児死亡率の改善のキーは栄養ある離乳食-

乳幼児死亡率の50%以上は、その背景に栄養不良があるといわれています。なぜなら、栄養が十分に摂れていない場合病気に罹りやすく、免疫も十分ではないため、ともすれば下痢や呼吸器感染症等の予防可能な病気で死に至ってしまうからです。この状況は、シェアの活動地でも見受けられています(表4)。

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シェアが子どもの健康増進を目指した乳幼児健診活動(表5)を進めるなかでこれまで把握されていなかった栄養不良児(低体重)の存在が発見されるようになりました。健診後、なかでも重度の栄養不良状態だった子ども48名に対し家庭訪問を実施したところ、33名が2週間以内に、咳・発熱・下痢症状があり、既に2名が呼吸器感染症で亡くなっていました。また、彼らのうち21名が安全な水へのアクセスがなく、19名が離乳食の摂り方に問題があることがわかりました。具体的には、出生7~8カ月まで、塩のみのお粥だけだったり、母乳の補助としてコンデンスミルクを与えたり、スナック菓子を与えたりと、必要な栄養が全く与えられていないケースが多く見られました。子どもの栄養不良対策で、もっとも重要なことは6ヶ月までの母乳継続・栄養ある離乳食の摂取です。シェアは母親への離乳食教室や、乳幼児健診研修、住民組織との連携等を通して、子どもの健康改善に取り組んでいきたいと考えています。


写真:村の母子への栄養に関する保健教育

表4:子どもの死亡率の主な州比較
新生児
死亡率
0歳児
死亡率
乳幼児
死亡率
5歳未満児
死亡率
モンドキリ州/
ラタナキリ州
56 65 122 165
プレイベン州 52 69 121 143
シエムリアップ州 34 33 67 94
プノンペン(首都) 24 18 42 52
出典:Cambodia Demographic and Health Survey 2005

表5:アウトリーチでの乳幼児健診活動
数値
シェアが乳幼児健診をサポートした村 69ヶ村
シェアスタッフによるサポート受けた HCスタッフの数 26名
シェアスタッフによるサポートを受けた 保健ボランティアの数 116名
1回以上乳幼児健診を受けた子ども (2歳以下) 1056名
2歳以下の低体重の子どもの数 169名
2歳以下の重度の低体重の子どもの数 53名
2010年4月末現在

シェア=国際保健協力市民の会「年次報告書2009」 掲載

プロジェクトの進捗を報告します。ブログ「青空の下の乳幼児健診、私たちには守りたい命がある」

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