HOME > 数字で見る国際保健 > 東日本大震災、変化するニーズを振り返る
2011年3月11日の東日本大震災では、各地から支援が集まりました。しかし、三陸沿岸の被災地は複雑な地形のために小規模の避難所が多数あり、これらの避難所や在宅被災者には、支援の手が行き届きにくい状況がありました。シェアは、気仙沼市が県外の自治体派遣保健師、ボランティアによって構成した「気仙沼市巡回療養支援隊」の「巡回健康相談班」として、在宅被災者を中心に巡回訪問を行いました。訪問記録のデータ1から見えてきた被災地のニーズをお伝えします。
相談人数、相談率ともに時間の経過とともに減少していきますが、6月は相談率(71.6%)が増加しました。仮設住宅への入居が始まり、新しい生活環境に入る方々が増えたことや、地元の保健師が訪問へ同伴したりサポートが可能になったため、相談しやすくなったことなどが背景にあります。また「巡回健康相談班」も、震災直後の安否や被災状況把握の時期を過ぎて、PTSDを含めた精神面への支援にも重点をおき、時間をかけて訪問ができる体制になっていました。
相談内容は、高齢者介護が全体の2割を占めています。高齢者のみで暮らす世帯もあり、電気や水道などのライフラインが止まり、被災で行政や福祉事業所が機能しない状況下で、高齢者同士で介護することは困難です。体力低下により、新たに介護が必要となるケースもあります。
医療救護と同様に災害時の介護サービスに関して、外部支援の受け入れ体制や、介護関連事業所や行政が連携してのサポート体制を準備していくことが必要ではないでしょうか。
訪問診療班など外部からの医療支援への紹介は6月以降大きく減少します。再開した医療機関・福祉事業所等が地域の医療を担うようになり紹介先を切り替えたからです。住民も自ら医療•福祉サービスにアクセスするようになり、「健康相談班」からの紹介も次第に減少しました。相談内容も介護や心のケア、障害者福祉が中心9となり、健康増進課など気仙沼市行政に対応を引き継ぐ件数が増えました。
シェアは、徐々に回復する行政、医療機関、福祉事業所などと連携をとり本来の地域の形に戻していくことを大切にし、緊急支援を行ってきました。
緊急支援の主役は、自ら被災しながらも地域で被災した人々の命•健康を守るために奮闘する地元の人々であると考えています。
COPYRIGHT © SHARE ALL RIGHTS RESERVED.