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(認定)特定非営利活動法人 シェア=国際保健協力市民の会 シェアは、保健医療を中心として国際協力活動を行っている民間団体(NGO)です。

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マイノリティの人びとの努力と経験から学ぶ - 真にインクルーシブで健康な社会を創っていくために

日本国際保健医療学会 第29回東日本地方会「マイノリティと健康」
マイノリティの人びとの努力と経験から学ぶ
 - 真にインクルーシブで健康な社会を創っていくために - 

東日本地方会会長、シェア=国際保健協力市民の会 代表理事  本田 徹

小さき民の声に耳を澄まし、記録に残すということを、民俗学者の柳田国男は一生の仕事としてきましたが、グローバルな視野をもって「草の根」の人びとの健康に関わる活動にいそしむ私たちも、この問題意識を大事にしていかねばならない時代を迎えていると言えます。
21世紀の今日、マイノリティであるがゆえに、基本的な人権としての健康実現から遠ざけられている人びとを、社会のさまざまな場で認めるようになっています。世界に冠たる国民皆保険制度をもち、「福祉大国」と称されてきた日本ですら、近年、母子家庭、生活困窮高齢者、無保険者、非正規雇用の若者などの間で、健康への権利が侵害される深刻な状況が生まれています。このような不平等や格差が、そのまま放置されることは、社会全体の健康や未来にとって、大きな脅威・不安定要因となることでしょう。
ポストMDGs(ミレニアム開発目標)時代の課題として、世界中から注目されているUHC(Universal Health Coverage: 普遍的な健康サービス保障)という目標もまた、公正で差別のない医療という、世界共通の課題に根差したものと言えます。
 国連持続可能な開発会議(2012年)「リオ20+」の宣言、「私たちの望む未来」(The Future We Want)は、まさにUHCを「開発の課題」として捉えていました。
 「私たちはUHCが、人々の健康、社会の団結、そして持続性のある人間・経済開発に不可欠であることを認識する。」

国際保健医療学会東日本地方会(5月24日(土))を主催するという大役をいただいて、シェアが、マイノリティを主題に取り上げた問題意識の背景には、そうしたことがありました。小さな保健医療系NGO/NPOであるシェアは、これまで30年にわたって、世界の各地で出会い、友人となってきた、地域住民、HIV陽性当事者、難民、ホームレス者とともに学び、彼らから励まされ、活動を続けてきたことを、感謝とともに思い起こしています。
今度の地方会では、医師として、文化人類学者として、またグレートジャーニイの探検家として、長年世界各地の「先住民族」と親しく交わってきた関野吉晴さんから、いかに「小さき民」の声にゆっくりと耳を傾け、彼らの生き方や文化を尊重することを学んでいくべきかについて、豊かな基調講演を聴くこととします。
そして、メインテーマを扱う分科会では、「難民」、「在日外国人」、「ホームレス」、「HIV/AIDSとセクシャルマイノリティ」、「発達障害」の5つのマイノリティグループの、当事者―運動家(支援者)-研究者(著作者)の三者が一堂に会して、それぞれのグループが健康課題として感じ、認識していることをしっかり話し合い、UHCや当事者の権利をいかにして勝ち取り、仲間の輪をひろげ、社会に共感的な理解を求めていくか、じっくりと対話したいと願っています。多くの市民にとって、得難い参加と学びと啓発の機会となることでしょう。
明日のよりよきグローバル・ヘルスと、開かれた、より公正な日本社会を創っていくために、私たちの取り組むべき課題と方向性を、この学会を通して学び合っていきたいと思います。学会員のみならず、広く市民の皆さまの参加を心から歓迎いたします。

 爽やかな風かおる5月に、国立国際保健医療センターでお会いしましょう。

(2014年4月17日)
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