夢に向かって、日本に来たけれど・・・

アジア出身の若者であるアンチャリー(仮名)さん。日本でのキャリアを積むために希望に燃えて来日しましたが健康診断で肺結核疑いと判明、病院に受診したところ肺結核が確定し入院となりました。
まだ日本語があまり話せず、文化や習慣、食べ物も違う国で、会話する相手もなくたったひとり入院を続けることは、とても辛い日々でした。シェアが通訳の派遣依頼を受けアンチャリーさんと担当する保健師さんとつながった後は、保健師さんがアンチャリーさんの相談に乗り、服薬確認や病状確認をするたび、通訳派遣を行いました。

慣れない海外での治療継続を支えるのは何か。

入院からしばらくして病状がやや回復しアンチャリーさんは外出許可がおり、外泊をしました。母国から家族が来ていたのです。言葉のできない日本での治療のストレスが大きくなっていたアンチャリーさんは、家族と会うことでようやくひと息つけた気持ちになりました。それから数日して、アンチャリーさんより帰国して自分の国で治療を受けたい旨の相談がありました。病院や保健所は、治療途中で帰国することで生じる治療中断の危険性などを伝えましたが、意思が固いことと、すでに周囲に感染しないレベルにまで回復していたため、帰国して治療を継続する可能性を探ることになりました。

二か国で支えた治療完了への道。

出身国で薬の飲み忘れが起こり、治療が中途半端になってしまったら、アンチャリーさんは使える薬がなくなり、再発し、命を落としてしまうかもしれません。シェアは、保健師さんより「帰国中、出身国で治療継続できる医療機関や、服薬確認を継続してもらえるところを教えてほしい」という相談を受けました。保健所や専門機関などと連携し、出身国の自宅の近くで結核の治療が可能な専門医療機関と、服薬管理ができる引継ぎ先を探し、帰国後スムーズに治療継続ができるよう事前調整を行いました。

こうして国を超えたサポート体制で、アンチャリーさんは治療を無事完了できました。
アンチャリーさんの夢は終わっていません。治療完了から1ヵ月後、アンチャリーさんは夢の再チャレンジに向けて動き始めました。

治療可能な感染症「結核」で命を落とす

世界人口70億のうち3分の1、約23億人が一生のうちのどこかで結核菌の感染を経験するといわれています(ただし感染しても発病する人は1割程度)。結核は2000年には世界10大死因の一つでしたがこの10年の間に大幅に改善し、2012年では10位内からはずれ、15位内となっています。しかし、いまだにに約90万人が結核で命を落としおり、そのうち95%が低所得国および中所得国の人々です。(単一の感染症としては)HIVに次いで多くの人の命を奪っている病気ですが、治療さえできれば命を落とすことのない感染症です。(参考資料:WHO)

結核治療を継続する困難

日本の新規登録患者の半数(55.6%)は日本人高齢者ですが、若年層の新登録患者では在日外国人の割合が大きく、20歳代では新登録結核患者の3人に1人以上は在日外国人です。(厚生労働省平成24年結核登録者情報調査)
結核は少なくとも6ヵ月以上の服薬が必要で、入院平均日数は2ヵ月です。入院や長期療養となった場合、収入が途絶えたり、職場の理解を得ることが難しい外国人労働者においては治療継続が困難となり(医療費は症状と収入に応じて、無料あるいは5%負担等の小額で治療を受けられる)、解雇や経済的理由により帰国するケースもあります。患者の17.4%が治療途中で帰国(一時帰国含む。2008年日本結核病学会国際交流委員会)していますが、ほとんどのケースで帰国後の治療経過は不明です。帰国先の医療状況が必ずしも整っているわけではなく、途中で治療を中断すると耐性結核となり死に至ることもあるため、原則的には日本での治療完了を追求し、どうしても帰国せざるを得ないときも(人道的観点からも公衆衛生的観点からも)帰国後の治療につなげるところまでサポートすることが大切であるとシェアは考えています。一方、病院側にとって外国人結核患者への対応が困難な点は「言葉・コミュニケーション」が圧倒的に多く、日本国内で治療完了するために医療通訳のサポートが求められています。

(認定NPO法人)シェア=国際保健協力市民の会は、健康で平和な世界を全ての人とのわかちあう(シェア)ために、1983年に結成された国際保健NGO(民間団体)です。私たちはすべての人が心身ともに健康に暮らせる社会を目指し、"いのちを守る人を育てる"保健医療支援活動を、タイ、カンボジア、東ティモール、日本で進めています。 ▶シェアとは

命を守る保健医療支援に、ご寄付をお願いします。

寄付金控除の対象となる認定NPOです。

例えば10,000円で、在日外国人への医療通訳を1回派遣できます。

言葉が通じず、感染症や重い病気で不安がいっぱいの外国人に対して通訳の派遣はとても重要です。年間約200件の依頼に対応しています。

皆さまからお預かりしたご寄付は、在日外国人の保健医療活動に使わせていただきます。またご寄付の最大20%までを、支援活動を支えるための管理運営費に使わせていただきます。

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課題を根本から解決するためには、継続した支援活動と皆さまからの息の長い支援が必要です。(海外及び日本のプロジェクト支援になります)
「いのちのリレー募金」へのご参加をお待ちしています。

小学校に手洗いステーションを2つ設置することができます。衛生面を改善し、病気を予防できます。
HIV陽性者への家庭訪問を1~2回できます。健康チェックだけでなく、家族の相談にのり精神面でもサポートします。
一つの村で乳幼児健診を1回行うことができます。子どもの成長とともに定期的に検診を行う必要があります。
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