こんにちは、東京で海外事業担当をしている巣内です。首都圏では週末の外出や移動自粛が各知事より要請され、満開の桜を窓越しに見ることしかできませんでした。
さて、東ティモールでは、3月半ばに首都ディリで豪雨による河川の増水で洪水が起こりました。幸いにも、当会のスタッフは全員無事であることをご報告します。
また、新型コロナウイルス感染者は3月27日現在1名に留まっていますが、3月21日には全国の学校施設の休校、感染予防のための自宅待機や教会でのミサの自粛要請が発表されました。一緒に活動している保健センターのスタッフの不安の声もあり、フィールド活動を縮小せざるを得ない状況です。
洪水と新型コロナウイルス、それぞれの状況をお伝えします。
1.1973年以来のディリでの大洪水の被害、シェアも支援活動に協力しました
洪水の状況は現地代表の吉森より報告を受けました。3月13日(金)16時頃、豪雨が降り始め、事務所は雨漏りを確認。事務所隣りの家屋に大量の水が流れ込むのが見え、近くの川が増水して溢れたとの情報が入ります。18時頃には事務所1階の基礎部分まで増水し、駐車場に停めていた車両のドアが開かなくなる前に脱出することを決定しました。
駐車場部分は吉森の足の付け根まである水深のなか、警護スタッフが手を貸してくれ、事務所に残っていた吉森と他3名の女性スタッフは車に乗り込みました。市内はいたるところで増水し、交通の混乱があり大渋滞でした。1973年以来のディリ洪水と言われているそうです。
死者3名、1,664家庭の 9,126人が被災したと東ティモール政府より報告がありました。被害が大きかったのはディリの中でも市内東部の地区です。家屋の倒壊・浸水、複数の河川が増水・決壊し溢れて、市中の道路が冠水して泥やゴミが堆積、水の汚染が確認されています。洪水後、市内は泥が乾き、土埃として舞っていて視界不良で不衛生です。
ディリ県保健局では仮設診療所を設置し、被災した患者の診療を開始。週明けの月曜日3月16日には保健局長とNGOの緊急招集会議が開かれ、被害地域での保健支援を協議しました。また汚泥や水たまりによる蚊の発生でデング熱の流行が予想され、保健省の医薬品倉庫にあった蚊帳の配布を行いました。
仮設診療所を手伝うシェア看護師スタッフ(左から2番目)
シェアも3月16日から約1週間、ヘルスポストを建設したメティナロ郡の隣のヘラ地域で、支援活動を行いました。看護師スタッフを派遣し、仮設診療所の設置や運営に協力し、また運転手は蚊帳の配布を行いました。仮設診療所では、豪雨の洪水で流れてきた流木でけがをした人や、風邪症状が出ている人などが来ていたそうです。
後述する新型コロナウイルス感染症への対応のために、シェアとしては、これ以降の洪水被害への支援協力は予定しておりません。
保健局による蚊帳の配布を手伝うシェア車両
2.新型コロナウイルスの感染は少ないが移動や集会の制限が発表されました
東ティモールでは3月後半まで国内の感染者は出ていませんでしたが、政府は3月18日に閣議決定し、新型コロナウイルス感染患者がいる国からの外国人の入国を禁止しました。
3月21日に国内で初の感染者(海外研修に参加し帰国後に発症)が報告され、急遽、隔離施設の開設が決定しました。当会は県保健局からの要請を受けて、ディリ市内の隔離施設設置に向けた物品の運搬などの支援を行いました。確認された感染者以外にも、インドネシアなどから帰国した留学生79名が(3月23日現在)市内のホテルで隔離されています。
同日、教育省からは、3月23日から28日まで全国の学校施設の休校の通達が、保健省からは、国民に向けて初の感染者のお知らせと自宅待機推奨の通達がありました。教会でのミサも当面禁止されます。
3月23日には大統領に非常事態宣言の発出を求める書簡の内容を閣議決定しました。この宣言には、移動、不要不急の公的・私的な屋外活動、集会、宗教行事又は慶事行事の制限、及び強制的自宅隔離が含まれます。
この間、当会が現在実施しているプロジェクト内の活動として、保健センターによる移動診療への活動協力を3月16日から19日まで行いました。
3月23日の閣議決定を受けて、シェア事務所では3月24日からスタッフの在宅勤務を開始しました。こうした状況の中で、当初予定していたフィールド活動を一時的に縮小せざるを得ない状況です。
皆様には東ティモールで起きた洪水や新型コロナウイルス感染症への対応で、ご心配をおかけし大変申し訳ありません。当会のスタッフやその家族、保健スタッフや地域住民の健康や安全を優先して、臨機応変に対応するように心がけていきます。また現地の状況はできるだけタイムリーにお伝えするように努めます。
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シェアは20年にわたり、東ティモールで
保健ボランティアの育成や保健教育の普及などに取り組んできました。
現地の人々の健康で平和な暮らしのためには、継続した活動が必要です。
皆さまからの温かいご支援に感謝いたします。