皆さんこんにちは!元気ですか?
東ティモールは雨季に入り、どんよりとした空が続いています。先日、プロジェクト・マネージャーのロジーニャの家が大雨により浸水被害にあいました。事務所もポツポツ雨が漏っていますがスタッフはみんな元気です。
東ティモール事務所ではプロジェクト1年目の終わりが近づいており、活動も大詰めを迎えています。今日は皆さんにシェアが建設を支援したベサヘヘルスポスト(注)のその後をヘルススタッフのアネネ(看護師)がお伝えしていきます。
注:ヘルスポストとは
地域住民の日常生活を支える一般的な傷病の治療や健康管理、疾病予防などを提供する保健行政の施設です。村の中心地にあり、住民に一番近い常設の施設で、医療者が併設された宿舎に常駐しています。郡の保健センターの管轄下にあります。
患者さんを診察するヘルスポストの看護師
※本事業は外務省による日本NGO連携無償資金協力の助成の他、皆さまからのご寄附やご支援を受けて実施しています。
ヘルスポストで予防接種や妊婦健診が行われていない?
昨年10月末にヘルスポストがオープンしてから、予防接種や妊婦健診が十分に行われていない状態であることがわかりました。
やっとヘルスポストが完成したのに住民に保健医療が届けられていない、このままではダメだ...と思い、他のスタッフとどうやってヘルスポストをフォローアップしていくか話し合いました。
シェアとしてまずは現状把握をきちんと行う必要があると意見が一致し、ヘルスポストの日々の業務を観察することになりました。
母子手帳を確認する保健ボランティア
看護師の抱える不安とは
ヘルスポストには、看護師1人と保健ボランティア2~3人が働いており、彼らの仕事を見たり話を聞いたりして、どこに課題があるのかを探る日々。
しばらくすると徐々に課題が見えてきました。
・妊婦健診を行う助産師が常駐していない
・保健センターからの助産師派遣が定期的に行われていない
・ヘルスポストの施設内での業務が中心で、住民への保健教育や村へのアプローチまでは手が回っていない
・予防接種ワクチンを冷蔵庫から出した後に保管する小さなクーラーボックスがない
・予防接種を円滑に行うための子どもの名前を登録する台帳がない
しかしそれよりも大きな発見は、看護師が予防接種をすることに不安を感じていることでした。看護師は以前の職場で予防接種にかかわることが少なく、予防接種の管理や子どもへの投与が不慣れだったのです。
課題の解決に向けてみんなで見つけた取り組み
これらのことを踏まえて保健センターのスタッフ、ヘルスポストの看護師、県保健局、シェアとで話し合いをしました。
保健スタッフとの話し合い
その話し合いで、いくつかの提案が出され、実施していくことになりました。
- 毎週金曜に保健センターより助産師をヘルスポストへ派遣する
- 毎週月曜と金曜にシェアスタッフがヘルスポストを訪問する
- ヘルスポストとシェアが予防接種登録台帳の記載を一緒に行う
- 予防接種未接種児のフォローアップを集落長と協力して行う
- ヘルスポストで保健データ収集・分析を行い、保健教育をシェアがサポート
すこしずつ変わっていく医療者やサービスの状況
中でもヘルスポストの看護師が不安に感じていた予防接種に関しては、金曜日が予防接種実施日のため、私がヘルスポストを訪問し、看護師と子どもの名前の登録から投与までの手順を一つ一つ確認しながら行っています。
まだまだ看護師一人で行うのは不安なようですが、彼もやる気が出てきています。
徐々に改善も見られてきています。県保健局から物品の補充があったり、金曜日に助産師が来て妊婦健診をしたりしています。保健データも集まってきているので、今後はそれをもとに村での保健教育を看護師や保健ボランティアと一緒に計画していく予定です。
これからも訪問を続けながら、ヘルスポストが住民の身近な存在になるように、住民が安心してヘルスポストにアクセスできるように、スタッフみんなで活動していきたいと思います。
予防接種台帳を確認する助産師とシェアスタッフ
予防接種を一緒に確認するシェアスタッフ
予防接種をする助産師
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最後にかわいい一幕近くにある小学校の生徒が3人で受診に来ました!おなかを壊した生徒1人に友達2人が付き添ってきたようです。
ヘルスポストに受診に来た生徒たち
文責:柿本 彩(シェア 東ティモール事務所 コーディネーター)