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(認定)特定非営利活動法人 シェア=国際保健協力市民の会 シェアは、保健医療を中心として国際協力活動を行っている民間団体(NGO)です。

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vol.10ソマリア

旅する世界の保健室

破綻から再生を目指して-ソマリア支援の今

アフリカの角│紛争・干ばつ・飢饉の中で
世界基金、國井修氏の著書「国家救援医」では「世界最悪の破綻国家」と形容されるソマリア。「アフリカの角」のまさに「角」の部分に位置するソマリアは1960年に独立、1969年にクーデーターにより軍事政権が樹立するも、その政権も1991年に崩壊、以降国際的に承認された政府がなく内戦状態にある地域です。紛争に加え、わずかな植物しか育たない不毛地帯が続き、干ばつと洪水が繰り返される厳しい環境の中に人々の生活は強いられ、ジブチ、エチオピア、ケニア等の周辺国および国内の都市部に多くの人々が避難を余儀なくされている状況が長年続いています。

2011年の大干ばつとそれに続く飢饉の発生は人口900万人のうち400万人が緊急支援を必要とする状況を生み出しました。今もなお250万人から300万人とも推定される人々が飢餓に直面している一方、南部に台頭するアルカイダ系イスラム組織アルシャバブによる国連組織、国際NGOの排斥、そして、世界一の長さを誇る海岸線沿いに横行する海賊の存在により世界の中でも国際社会からの支援が困難な地域の一つになっています。しかし、2012年9月10日、民主的な選挙によりハッサン・シェイク・モハムド氏が大統領と選出され、今、新たな連邦国家として歩み始めようとしている国です。

命を守る「きれいで安全な水」
多くのソマリア人が紛争や干ばつから逃れ国外へ逃れる一方、現在130万人以上の人々が未だ国内避難民となり自主的に都市周辺に居住区を形成し、劣悪な環境で暮らしています。20年間以上の内戦により公共インフラはないに等しく、避難してきた人々は水や食糧、服、医療、そしてトイレなどの衛生施設でさえも国連機関やNGOが提供する支援に頼っています。そして、その中でも最も必要とされ、健康向上に貢献しているのが「きれいで安全な水」です。

内戦の影響で都市部でさえ水道施設が整っていないため、国内避難民の人々は居住地域内に掘られた浅井戸か、少し離れた井戸よりトラックによって運ばれた水を利用しています。しかし、人々がひしめき合って暮らしている居住地域ではトイレと井戸が間近に建設されていることもあり、多くの井戸の水が汚染されています。そして、コレラの発生が多数報告され、特に子どもたちは元々の低栄養もあり、多くの幼い命が失われていました。私が働く国際移住機関(IOM)では日本の会社により開発された凝集剤で水の中の不純物を取り除き、塩素殺菌処理を施した飲料も可能な「きれいで安全な水」をモガディシュ市内の複数の国内避難民居住地域で配布し、同時に衛生知識の啓発も行いコレラの予防を行っています。結果、下痢などの水系感染症に感染する人々が徐々に減少しています。

緊急支援から地域の自立支援へ
2012年9月に正式な政府が21年ぶりに発足したことに加え、干ばつの影響も落ち着き治安も比較的安定してきたことから、現在難民、国内避難民が少しずつ故郷に戻りつつあります。しかし、帰った故郷ではゼロから生計を立てる必要があり彼らの前途は多難です。今後は水の配布といった緊急支援から地域の人々と共にコミュニティを作り上げる支援が必要になってきていると感じています。




国際移住機関(IOM)職員 仲佐かおい
機関誌「Bon Partage」No.153(2013年3月)掲載


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