健康格差を減らしていくために
シェアの決意と行動
3年前東ティモールを訪れたとき、たまたまある村の母子保健活動(「シスカ」と地元の言葉では呼びます)を見学していると、田んぼの掘っ建て小屋で一人暮らしをする、身寄りのないお婆さんが病気になり衰弱しているから診察してほしい、と村人に頼まれたことがありました。部落長の家の、竈(かまど)のある、暗く、煙い部屋に運ばれ、寝かされていたお婆さんは、すっかりやせ衰え、絶えず咳をしていました。もう数か月も前から咳が止まらないのだそうです。私はとっさに結核を疑い、気の進まないお婆さんを説き伏せて、シェアの車で病院に運び、入院させてもらいました。結局、彼女はひどい結核に冒(おか)されていることが判明し、治療を受けましたが、高齢である上に栄養状態も悪かったため、1-2か月後に亡くなったそうです。
本来、子どもとお母さんのための健診活動の場だと思っていたシスカで、こうした、重い病気をもつ孤老が発見され、病院に運ばれたということ自体、私には驚きでした。大家族で支え合い、多くの子どもが生まれ育っている東ティモールのような若い国でも、こういう「悲劇」が起きえるのだということは、確かに衝撃的でした。しかし、よく考えてみると、ひと昔ふた昔前の日本でも同じようなことが起きていました。岩手県の豪雪地帯である沢内村で、昭和30年代に先駆的な妊産婦健診活動や、子どもと年寄の医療無料化を断行した深沢晟雄(まさお)村長も、「老若」の村民の病と苦しみをなんとか救いたいと発心し、政府の反対を押し切って、医療の無料化に踏み切り、乳児死亡ゼロという画期的な業績を上げたのでした。
21世紀の世界と日本の医療における、共通の目標はユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC:意味は「国民皆保険制度」に近いが、それよりも広い概念)だと言われています。シェアが目指してきたのも、医療や保健における格差を減らし、小さなコミュニティの中でUHCを達成することでした。ユニバーサルとは、まさに 子どもからお年寄りまでです。そして、健康弱者に対して、より温かい配慮とケアを提供することが、ユニバーサルの精神であり、健康格差を減らす営みなのだと言えます。
アジアの国々でも日本でも、私たちはこのUHCのスピリットを大切にして、活動を続けていきます。どうか皆さまから、引き続きの、力強い御支援を賜りますように、心よりお願い申し上げます。
2015年7月
(特活)シェア=国際保健協力市民の会
代表理事

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- 一つの村で乳幼児健診を2回行うことができます。子どもの成長とともに定期的に検診を行う必要があります。
- 医療関係者や医療学生を対象に、在日外国人の保健医療の現状は対応ノウハウを伝える研修を1回開催できます。
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