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(認定)特定非営利活動法人 シェア=国際保健協力市民の会 シェアは、保健医療を中心として国際協力活動を行っている民間団体(NGO)です。

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vol.15日本(熊本)

旅する世界の保健室

熊本被災地支援と保健室

1.はじめに
阪神・中越・東日本の震災で支援活動経験のあるシェアは、4月に震災に見舞われた熊本でも避難所支援活動を行いました。

被災地における保健医療ニーズの変遷
時間 場所 主要な問題点 重要度の高い活動
超急性期 ~3日間 自宅、避難所 外傷、急性疾患 救急医療
急性期 ~2週間程度 避難所など 急性感染症
PTSD、ストレス性疾患
慢性疾患の悪化
医療
看護
心のケア
亜急性期(移行期) ~2カ月程度 避難所、仮設住宅
自宅
PTSD、ストレス性疾患
感染症、慢性疾患
保健、看護
心のケア
慢性期



~数年など


仮設住宅
復興住宅、自宅

PTSD、ストレス性疾患
孤独死、慢性疾患

保健、介護、訪問
心のケア




2.被災地ニーズの変遷
震災医療支援と聞くと、まずイメージするのは救急医療のスペシャリストが傷ついた方々に対応する救急措置かもしれません。震災後数日間はそんな働きはとても大切です。しかしシェアは過去の経験の中で、経過に伴い被災地の保健医療ニーズが変遷することを学んでいます。

被災から数日で救急医療の必要性は急速に減り、2週間以降から医療の必要性は更に低下し、健康を支え疾病予防を行う「保健・看護」の必要性が増します。

熊本震災直後、厚労省より災害医療派遣チーム・日本DMAT(Disaster Medical Assistance Team)が、被災地全体に配属され、救急医療に関しては十分な対応がなされたようです。亜急性期以降も、行政は保健師派遣/日本医師会災害医療チームJMAT(Japan Medical Association Team)などを派遣しました。しかし、それでも急性期のDMATほどの質量ともに充実したケアとはいえないようです。亜急性期以降のニーズは生活と密着した細やかで繊細なものだからとも考えられます。このニーズに対応するには、地域に根を下ろした保健医療者の視点は欠かせません。シェアはこれまで現地の医療者・地域行政の方々の意見に沿う活動姿勢を大切にしてきました。東北では、仙台で奮闘する診療所を支援し、気仙沼市役所保健福祉部の地域への働きを支えました。さらに地域NPOと協働で生活支援に取り組みました。

3.熊本への視察訪問
今回、益城避難所を運営する熊本YMCAからシェアへ支援要請が入りました。私は4/29~31、熊本を訪問しました。益城総合運動公園は厳しい状況でした。2千人もの避難者が付属施設の廊下まで溢れ返り寝起きし、混乱状態でした。

管理する熊本YMCAスタッフが言いました。「診療テントが閉まっている夜間が心配だ」

私達は考えました。求められている事は「避難している方々の夜間の心配を少しでも減らす取り組み」だろう。聴診器を持ち待ち受ける医師より、暮らす方々の不安や心配に寄り添える看護職が望ましいだろう。それはまさに、学校で子供たちの不安を受け止める「保健室」と同じ働きです。

4.夜間健康相談室
その後準備期間を経て東北震災支援経験のある東京の2か所の訪問看護ステーション(コスモス・台東区、みけ・墨田区)の協力を得て、5/18~7/31夜間健康相談室(保健室)が運営されました。体育館では、長い避難生活の疲労で食欲/体力低下から体調を崩す人や、長引く避難生活から深い不安感で悩む人などがみられ、連日訪問看護師による細やかな対応が行われました。

日報から。「避難所生活の辛さ、先のみえない希望のない生活の辛さを訴える方がでてきた。このような方は長期化する避難所生活の中で今後更に増えていくだろう。話だけでも聞いて貰いたい、それだけでスッキリするからという方がいらしたが、そのように気持ちを表出できない方ももちろんいらっしゃる。そのような方への関わりをどのように行っていくのかが今後の課題になるのか。」

被災された方の深い辛さ・悲しみに寄り添えるケアが行われ、多くの方から「楽になった。助けられた」との声が寄せられました。益城「保健室」からの連日の報告書で私は日々学ばせていただきました。



シェア理事・仁科晴弘(江東病院:緩和ケア医師)
機関誌「Bon Partage」No.158(2015年10月)掲載

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