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(認定)特定非営利活動法人 シェア=国際保健協力市民の会 シェアは、保健医療を中心として国際協力活動を行っている民間団体(NGO)です。

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マイクロティーチング

「話が長くなると、人(ひと)は他人(ひと)の話をきかないものである」
講演会開始20分で眠ってしまって講演会にきた意味がなくなってしまったという経験はないだろうか。 特に南の多くの国では保健教育だけのために1時間も割くとなると参加できる人が減る。「それでなくても忙しいのに」と思いながら保健教育のセッションに座っている(参加しているのではない!)だけ、などということもある。 そこで、保健教育を住民のちょっとした空時間にやってしまおうとしたのがマイクロティーチングである。例えば市場の前で5分だけ。保健センターの待っているお母さんにちょっとしたメッセージを・・・。参加者の負担を減らすのである。 マイクロティーチングとは、「短い時間で他人が腑に落ちるようにメッセージを伝えること」である。特に保健教育に限ったことではない。保健教育では15分以内と私自身の中で設定している。5分でも効果的に保健教育ができる。短い時間の中で、保健教育の参加者(以後「参加者」)が腑に落ちるように伝えるのである。 ただ時間を短くするのではない。以下のように構成を考え、準備、練習する。 (1)導入 (2)目的(何をめざした話か) (3)本論 (4)評価(参加者が腑に落ちたかどうかを確かめる) (5)まとめ(要点を再度示す。一枚の絵や覚えやすいフレーズがあれば良い) では上の構成で15分以内に話せば効果的な保健教育になるのか?ここでは「マイクロティーチングがどうしたら効果的になるか」を私自身の経験に則しポイントを書いてみる。

ポイント1:Keep it simple and smooth"KISS"
やさしい言葉でスムーズに腑に落ちる内容を。Smoothには「耳に心地良い」とか「魅力的な」という意味もある。当たり前のことだが意外と難しい。伝え手の話が長くなりがちである。ではどうするか。答えはシンプル、練習あるのみ!練習しないと話が長くなる。

ポイント2:参加者が映像化(picturize)できるか
伝え手はどのようにして言葉を選ぶのか。その基準は参加者が「映像化」できるかどうかである。頭の中で「マ」「ラ」「リ」「ア」という言葉だけが残ってもそれは一単語の知識でしかない。参加者の頭の中に家族の顔があらわれ、自分がどう対応しているか絵が描けて初めて学びの獲得(Aquisision)である。頭の中で実際の絵が描けていると実際の行動に結びつく。映像化されているかのチェックは、(4)の評価のところで参加者の言葉で語ってもらおう。

ポイント3:自身の言葉・自身の例をもつ
映像化につなげるコツは何か。伝え手自信が腑に落ちた使う言葉、使う事例であること。自分が納得し絵が描けたことでなければ参加者にも伝わらない。できれば、自分が体験したことがリアルに伝えられる。それを短い話にしたり絵にしたり準備しておく。しかし、全て経験するわけにはいかないので、「隣町の人から聞いた話だが・・・」などと、他の人から聞いた話で映像化しやるい話でも構わない。参加者が知っていることを取り上げると参加者が絵を描きやすくなる。伝え手の練習の中で、同じ地域の伝え手どうしが自分の体験をシェアすると、他人の経験も使えるようになる。

ポイント4:トリガーで反応を引き出す
トリガーとは受け手の反応を引き出すものである。例えば導入部分でのトリガーストーリーは伝え手自身の経験や、受け手である参加者の地域で起こった健康に関わる「事件」に対する伝え手の感じたことを短く話すことである。劇やパントマイムにしても良い。その話や劇に対して「それ、知っている」「私もそう思った」「否、私はそうは思わない」などと、参加者が何か反応してくれれば、しめたものだ。トリガーピクチャーなら1枚または2,3枚の絵を最初に見せて「これは何でしょうか」と話し始める。例えば、マラリアだったら蚊の絵をみせる。他にも、トリガーフレーズ、トリガークイズ、トリガーダンス、トリガーミュージックと、トリガーグッズ(実物)でけでなく、参加者の脳を刺激して反応をもらえるような「トリガー」を考えてみる。

 私が気をつけているポイントを書いてみたが、もっとたくさんのアイディア・ポイントをお持ちの実践者がいらっしゃるはず。伝え手が違えば、参加者が違えば、場所、時間が変われば、その特性に合わせて計画し直す必要がある。保健教育実施者のブラッシュアップ研修などの機会を利用してティーチングスタイルやトリガーなど、他の人の良いところで自分が腑に落ちたところをどんどん取り入れよう。実施者自身の特性を生かしたマイクロティーチングが作り出せると良い。

                                                                                                                           文責:明治学院大学教員 平山恵
                                                                                                        機関誌「Bon Partage」No.137(2007年9月)掲載
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