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(認定)特定非営利活動法人 シェア=国際保健協力市民の会 シェアは、保健医療を中心として国際協力活動を行っている民間団体(NGO)です。

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デビッド・ワーナー(2)

David Wernerの活動とインパクト
彼、デビッド・ワーナー(David Werner)の名前に初めて接したのは、ESCAP(国連アジア太平洋経済社会委員会)の仕事でネパールを訪れた1986年だった。私が担当していた後発開発途上国の障害政策発展のためのプロジェクトは、その頃注目を浴び始めたCBR(地域に根ざしたリハビリテーション)の推進を目的としてネパールで最初の実践をしようとしていた。すでにNGOによって小規模な実施が始まっていたネパールでは、WHOのマニュアルでCBRについて学んでいた私以上に知識や情報をもっている人に出会った。その一人が教えてくれたのがデビッド・ワーナーの『Where There Is No Doctor (医者のいないところで)(*1)』であり、私がその存在を知らなかったのが関係者の驚きであったくらい、WHOのCBRマニュアルと同様に重要視されていた。
彼の名前すら知らなかったので、バンコクに戻り本を買い求めようとしているうちに次の著書『Disabled Village Children (障害をもつ村の子どもたち)』が発行された。WHOのマニュアルにはない実践的な知識にあふれていて、読み物としてもとても面白かった。同書は今も途上国を中心に普及し、ウエブからどこでも誰もが無料でダウンロードできるよう(*2)配慮されていることは素晴らしいと思う。今ではWHOのマニュアルと合わせて大半のCBRの現場で利用されている。

実際に彼に出会えたのは1998年に著作「いのち・開発・NGO-子どもの健康が世界をかえる」の日本語版出版記念のために来日された時だった。東京でCBRに関する講演会が開催され、司会と後半部分の通訳を務めた。彼に会えるとドキドキしながら参加した私同様、障害分野での一回のみの講演であったため、会場は有名な彼の話を聞こうと遠方からもつめかけた多くの聴衆の熱気にあふれた。
その頃から日本でもCBRに関する関心が高まり今に至るが、彼が理想とするような真に差別を受けていた者が権利を享受できるような社会変革に至るCBRを途上国で支援する団体が現れてこないのは残念である。彼は「たまたま障害者が集まってきた」と言っていたが、世界においてもサービス提供者が従来の非障害者ではなく障害当事者となってCBRを発展させてきたケースは彼のPROJIMO(プロヒモ)プロジェクト以外聞いたことはない。社会サービスや権利擁護活動までも含めた、同様な地域に根ざした活動を行っているバングラデシュの障害当事者団体BPKSは、活動の成功に自信を得て一時は「CBRはいらいない」とまで言っていた。

プロジェクトは治安の悪化から90年代になると場所の移転、規模の縮小などあまりいいニュースが届かず、どうなったのかと心配していた。政府が好ましくないと思っていた活動であったためか、1998年にメキシコのDPI(障害者インターナショナル)の世界会議で出会った同国の障害者活動家たちはPROJIMOの名前すら知らなかった。デビッドがプロジェクトを見捨て、また活動の成果である本の収益をプロジェクトに還元していないなどの、日本の専門家などによる否定的なニュースを見聞きすることもあった。嬉しいことに昨年はプロジェクトを訪問された本田徹氏のシェアのスタッフ日記でのポジティブな報告(*3)に接し、とても嬉しく思った。
どのプロジェクトでも、海外から注目を浴びたり豊富な資金があったりする活動が盛んな時期と、資金が減少したり、スタッフが退職し活動が低下される時期がある。とりあえず主要スタッフが残り、活動が継続しているPROJIMOの活動には一定の評価が与えられるべきだと考えている。ワーナー氏から、自立したプロジェクトを彼が今度どのように支援しようとしているのか、今回の来日で伺うこと楽しみにしている。

*1 日本語訳「医者のいないところで」は色平哲郎氏の訳によって http://wndoc.hp.infoseek.co.jp/からダウンロードできる。
*2 http://www.hesperian.org/publications_download.phpから彼の他の著作とともにダウンロードできる。
*3 シェアウエブサイトNGOスタッフ日記・Dr本田のひとりごと(23)

文責:アジア・ディスアビリティ・インスティテート代表 中西由起子
機関誌「Bon Partage」No.145(2009年秋号)掲載
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